お茶会は幸せの味がするのですね4
学生のお茶会には別にルールなどはないけれど、今回の生徒会では少しだけルールがある。
1つは殿下、レオンハルト様がいるのですから無礼な行動は取らないこと。親しい友人であるならばまだしも、ラフな言葉など使えないはずなのですが.......。
「独り占めしないでくれない、私にも渡しなさいよ!」
「いいや、コレは渡せないね。せっかく私の為に作ってくれたクッキーだ、独り占めして何が悪い!!」
目の前の光景には子供のようにお菓子の袋を互いに奪い合うレオンハルト様とセイレーンさんが言いあいをしているのです。
とてもラフで...やはり仲良しなのですわね。
コクコクと紅茶を飲みながらレオンハルト様とセイレーンさんを眺めていますと、前方にいるブルーム様が呆れたように溜息を吐き、軽く手を振れば殿下の持つお菓子の袋がテーブルの上に瞬間移動する。
するとセイレーンさんとレオンハルト様が同時に、あ!!と叫びお菓子の行方を探し始めてテーブルにお菓子があるのを見つけるなり飛びついてこようとするも、バチッと音がして二人は仰け反ったのです。
何が起こったのだろうと思っていますとブルーム様が軽く咳払いをしてレオンハルト様とセイレーンさんを冷たい眼差しを向けた。
「お二人方、いまはお茶会ですが無礼講でもなしに二人で子供のような行動は辞めてくれませんかね。それに...このお菓子も殿下一人で食べるのは少々いただけないと思いますがね。だいたいヒルメリア嬢は言ったはず、皆さんに作ったお菓子です、どうぞお召し上がりくださいとね。違いますか、異論がございましたら反論は受け付けますよ。」
クスクスと不敵に笑う姿は、まるで魔王様のように黒いオーラが周囲に漂っています。
「うっ! 確かに。」
「そうだったな、異論はない。」
「わかれば良いのです。お茶会を再開しましょうか。ヒルメリア嬢のお菓子は皆んなで食べるで良いですね。」
シュンと凹む二人はコクンと頷き、ネコ耳降臨して反省しています。
うっ可愛い。
わたくし疲れているのかしら?
もう一度紅茶を飲み気持ちを落ち着かせていますと、目の前に突然ケーキがワンカットずつ切られたものが色取りに並び始めました。
「なんや二人が騒いでから運ばせずらかったが、コレが新作ケーキだ。アイデアは企業秘密だが【モンブラン】【シュークリーム】【チョコムースケーキ】と言う名だ。」
従者や侍女が手早くケーキを一つずつ皿に乗せてくれた。
おお! 美味しそうですわ!!
コレが新作ですのね、色違いや見かける光景は美味しそうで魅惑的すぎて、わたくしが作ったお菓子は微妙なものに映る。
チラッと自分の作ったお菓子を見て微妙な気分でいますと、新作ケーキよりも皆さんが一斉に...わたくしのクッキーに手を伸ばして来ました。
「いい名前だが、その前にヒルメリア嬢のお菓子を先に食べようかな、美味しそうだ。」
「あ、殿下...ズルイですわ! 私がヒメちゃんのお菓子を先に食べるんですから!!」
「何してんだか! 先に食べちゃおうぜ!」
「ですね。阿保二人はほっといて食べてしまいましょう。」
「だな、へえー意外にもナッツ使ってるし、コレってチョコレートチップかよ美味しそうじゃん。」
それぞれがクッキーに手に取り食べようとするものだから。
ついわたくしはストップ! と声かけてしまいます。
ん? どうしたって感じで見られましたが、これだけは確かめておきたくなったのです。
「何故にわたくしのクッキーを先に食べるのです、新作ケーキだって魅力的だと思うのです。このようなお菓子ではなくケーキを先に食べては如何ですか?」
先にわたくしのクッキーなど食してからの新作ケーキなど、味を比較されるほどには美味しくはないもの。
ギュムとスカートの裾を握りしめて、真っ直ぐに思いを告げたら、皆さんはキョトンとしつつも首を振り。
「せっかく我々の為に作ってくれた、ヒルメリアのお菓子だ。新作よりも価値あるものだと思っている。それに久しぶりに君からのお菓子だ先に食べさせてくれないか。」
「うわーキザっぽい。引くわー。」
セイレーンがレオンハルト様に失礼な言葉を言ってましたけど、それよりもわたくしが昔に作ったお菓子の事を覚えてくれてたことが嬉しくて。
「そうですか。ふ、ふーん。」
プイッと恥ずかしくて顔を背けると、ブルームとマティアス様が小さく笑う声とハーゼロイ様がウマッと言う声をかわきりに、みんなしてクッキーを食べてくださいました。




