魔物の予測とブルーム様の冷笑 2
わたくしの叫ぶ声にブルーム様は不敵にも冷気を纏わすような笑みを浮かべるとパチンと指を鳴らす。
その瞬間にはブルーム様の後方にいた魔物の姿が一瞬で焼け焦げていたのです。
え! ええええええーーーー!!!
あまりにも呆気なく処理された現場に、わたくしはポカーンと口をあけたまま
心の中で絶叫の如く驚いておりました。
「おやおや、えらく間抜けな顔ですね···どうしましたか?」
ブルーム様はまるでさっきの出来事などなかったかのような素振りで話すもので
わたくしはハッと我に返り、ワナワナと震えてしまいます。
「間抜け顔で悪かったですわね。っていうかブルーム様、さっきの魔物の気配にえらく的確に狙いましたわね。」
「ああ···その事ですか。いやはや魔物言うのは頭が悪いのか一旦マーキングした場所に舞い戻る癖があるようだったので、丁度良いかと処理してしまいましたよ。まったく駄目ですね、せっかくの魔物の手がかりでしたのに僕は短気なようですから。」
「···短気で魔物を簡単に焼き殺さないで下さいませ、本気で心配したわたくしがバカみたいですわ!」
「へえー僕の事を心配してくれてたんだ。」
ニヤリとブルーム様が不敵に笑みを浮かべてくるも、わたくしはムスっとして考えておりました。
まったくブルーム様はいつも冷静なくせに、頭が良いせいか物事を楽観的な処置をなさるのですから
とくに自分の事にいたっては無頓着な性質をお持ちで心配しますもの。
俗に言う弟属性って奴ですわね。
うんうん、と一人で納得して現実に戻りますと、何故でしょうか眼前にブルーム様がわたくしを壁に寄せた状態で手で囲われていました。
「ブルーム様、何をなさっていますの?」
「おや? 現実に戻ったのですね残念、正気のない状態でブリアーナ嬢の唇でも奪おうかと思ってたのですがね。」
「ふえ···ふぇみゃーーーー!!! バカにゃんですの、ふなしてくんさいませ!!」
(訳:な···なにをーーーー!!! バカなんですの、ふざけないでくださいまませ!!)
ぬぬ、噛んだ、恥ずかしいですわ!
ブルーム様はわたくしの抗議に、プッ···あははと離れて笑い出しました。
この反応は絶対にわたくしが噛んだことで笑われてると気付き、ブルーム様! と文句を言えば
ブルーム様は何かツボに嵌まったらしく、殊更にわたくしを見て苦しげに笑われました。
「そこまで笑うとか女性に失礼ですわよ。」
「······いや····ゴメン。でも突発的に噛んだりするし、ブリアーナ嬢のその表情は男にはヤバいよマジで、ククク。」
何でしょうか、褒められてる気がしませんわね。
妙な顔になるものの、頭を切り替えて、ついさっきの魔物の事を考えているとふい思い出しました。
先程、魔物がマーキングした場所に一旦は戻るとブルーム様は仰っておりましわよね。
と言うことは、この爪痕は2つですがブルーム様が倒した魔物の大きさを検討しても一致しないと疑問点が浮上しました。
「ねえブルーム様、さっきの魔物って本当にここへマーキングしてたのでしょうか?」
「ん、ブリアーナ嬢ってば頭の切り替えちゃったのか残念。」
「ブルーム様!」
「あーはいはい、答えますよ。つい先程の魔物だろ、僕も最初ブリアーナ嬢の叫ぶ声で後方を一瞬見たけど目的外の魔物だったきとは瞬時に理解したんだ、だからねこうーイラッとして殺したわけなんだ。」
ブルーム様のあの冷笑の理由がマーキングした本命と違ってたから殺しちゃったと飄々とした物言いに、この方は心底面白がってるのではと考えてしまうのでした。




