殿下からの頼み事に義理はなし
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反抗出来ないまま、前方を歩く婚約者レオンハルトにしっかりと掴まえられた手を恨みがましく見つめた。
何で毎回わたくしのいる場所をかぎつけますの?
絶対に貴方がこれないような木の上にいても、いつの間に取得したのか先にいるし
あるときは女子寮の門で待っていることがあって、裏口から逃げようとしたら、いつの間にいたとき恐怖で叫びそうになりましたわ。
だって「逃がさないよ」って、にっこり言うんですもの
貴方は何時からわたくしのストーカーになりましたの!
と問い詰めたくなりましたが、いやに真っ直ぐ見る目は楽しげな表情なせいか、相手したら負けた気分になり
無視して通りすがるも、いまのように手を握られたそうになって捕まることもあった。
まあ捕まっても、ただの仕事の手伝いでしたけどね生徒会の
でもね、わたくしが生徒会に仕事していたのは、レオンハルトのお願いだったけど
今は彼女がいるんだから、わたくしなんかに構わないでほしいものだ。
小さく舌打ちして前方のレオンハルトをにらんでいると、不意にアレっと首を傾げる
周囲がいつの間にやら、いつものルートではなく屋上に来ていた。
自分の思考回路のなか、諦め気味に連れて来られたせいで、何故に屋上だとしか感想はでない
「···えっと殿下、何で屋上なんですの?」
前方のレオンハルトなどを見ずに、握られた手を見ながら告げてやる。
「うん? あーそんなの、君と二人っきりになりたくてね。」
レオンハルトが淡々と心に思ってない言い回しに呆れる。
「冗談はいりませんわ、わたくしと二人っきりになって誰が得するんですかバカバカしい、何か用があるのでしょう。」
「うーん冗談じゃないんだがな、やれやれ。まあいい、お前に頼みたいことがあったしな。」
実はとレオンハルトがわたくしに頼み事の要件を話し始める。
なんでも最近になって生徒達の物が紛失したり、壁際に謎の爪痕があったりしていると私書箱に投稿されていたらしいと。
ふーん、手伝いしかしてないから、私書箱の存在はしってるけど、その案件に対してわたくしが役立つ義理はないのよね。
ほとんどレオンハルトの為だったから
「で···なに、それを手伝えって命令するのかしら。」
「まあ···命令はせぬが、今回は色々と急がしく手が回らなくて困っていたんだ。助けてくれまいか。」
真っ直ぐに見つめた瞳はわたくしを捕らえているのに、婚約者に頼むちょっと構いたくなる表情は卑怯だ。
王子ぜんと人前じゃ頭を下げられないからって、わたくしにだけ見せるなんて
絶対に嫌がらせよー!!