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夢現の幸せ時間3

店員が奥の厨房に引っ込んでから数分、先程の店員がわたくし達のテーブル席に来ました。


「こちらが新作のケーキの5品でございます。」


目の前には5品のケーキが並べられ、店員が一品ずつ説明して下さってましたが

わたくしは右から左に聞き流していて、マティアス様が店員に何かおっしゃっていましたが

それも気にせずにケーキに釘付けになって、魅了してたのです。


ああー例えるならば、こんな感じかもしれません。


ふふ、こっちのほうが美味しくてよ。

いやいや、この僕こそ食べたくなるよ。

何をおっしゃってますの、私に決まってましてよ。

なに言ってんだ、この俺こそ美味いんだぞ。

あらあら、わたくしでしすわ。


まるでそのような声で、誘惑するケーキ達。

とてもとても魅力的であり唾をごくりと飲み込んでいると

マティアス様クスクスと笑う声にてハッとし、前方を見ますと微笑みを浮かべていました。


いけませんわ、わたくしったら、ついケーキに釘付けになって

このかたの存在を忘れて、自分の世界に浸るというミスをおかすなんて

わたくしは咳払いをして場を誤魔化して、新作の試食してもいいのかの確認した。


「食べても宜しいのかしら。」

「···もとより食べていいさ、好きに選べ。」

「そう、では···頂きますわね。」


了承も頂きましたし、ケーキを選ぶことにします。

5品は名称的だけは聞いてたので、まずはザッハトルテというケーキを選びわたくしの側に持っていく。

フォークで一切れにして口に入れますと、甘いのにほのかな苦味があるチョコレートとスポンジケーキと生クリームの味が混じりあって、口いっぱいに幸せ時間が広がっていく。


「美味しい~ですわ。」


ふわりと幸せに浸ると、もう一口含んで咀嚼し食べていきますとなくなってしまう

ですがわたくしの幸せ時間はここで終わりではないのですわ、いざっ! 次のケーキを頂きますわねよ。

などと意気込みチョコレートケーキやブラウニー、チョコマフィン、チョコロールケーキを食べて満足感に浸り気づく、わたくしってば一人で全部平らげていることに。


あまりにも美味しくて止められなかったこともあって、気まづい思いのままマティアス様をみますと

なにゆえに楽しげなのかしら、見たことも無いような良い笑顔で肘をついて顎に手をあてて観察されるの

ハッもしかしたら、ケーキを食べたリアクションで相手を観察してたってことかしら。

ってことは、女性限定に何か思案してるのかも、ふふ流石、跡取りよね。


うんうん、と納得して甘味の後の締めである紅茶を飲んでいたのでした。

まさかこの時マティアス様がまったく、わたくしが考えていたことではなく

見当違いの思考で思案してたとは思いもよらなかったのだった。



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