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第60話 「3日目9時15分」

20171129公開

 主に山本氏けんじゃが通訳というか、交渉をしてくれたが、朝食後に行われた話し合いは実り多いものになった。

 彼らは黒ポメの集落の情報も包み隠さず教えてくれたし、俺たちにとってはとても重要な情報も教えてくれた。


 まず、彼ら7人の情報だが、2人が護衛役で残りの5人が彼らの集落での顔役だった。

 その筆頭が『しがかわなのひこ』で、他も現役を引退して相談役をしている人物?ばかりだった。

 とはいえ、引退と言っても狩猟の最前線から退しりぞいただけで、集落では未だに厳然たる影響力を持つ者たちだった。

 交渉が決裂して、猫もどきに殺される最悪の結果を招いたとしても、2人の現役狩人を失うのは痛いが、それでも集落全体の戦力から見れば許容範囲内だろう。

 だが、交渉が可能ならば、その任に彼ら以上の人材は居ないという理由から志願したそうだ。

 まあ、こちらとしても、下手に血気盛んな若い人物よりは遥かに交渉し易いので、この人選はお互いに有益だった。


 集落の規模としては46戸300人強で、今は一時的に増えている。

 この数字は山本氏けんじゃと佐藤先生(歴女だった事がこの時に発覚した)の解説によると、決して驚くほどの数字では無いらしい。

 人口が二桁の集落が大部分を占める縄文時代の集落としては確かに大きいと言えるが、それでも三内遺跡では200戸ほどの竪穴住居が在ったそうだし、弥生時代の有名な環濠集落の遺跡では最盛期は1000人を超える人口が居たそうだった。

 俺でも環濠集落くらいは知っているし、今後の方針として行く行くは環濠集落を造ろうと思っていたが、2人の方が詳しかった。

 今後の方針を決める際には大いにその知識で力を揮ってもらおう。

 

 黒ポメの文明レベルだが、2人の見解では縄文時代に近いらしい。

 主にトリケラハムスターなどの草食動物を対象とした狩猟で動物性たんぱく質を摂り、近くの森で採取出来る木の実を粉にしてパンもどきを作っている事がその根拠と説明された。

 俺も『縄文クッキー』くらいは知っているから、納得と言えば納得だ。

 衣服を見れば分かる通り、布製品は麻に相当する繊維を編めるレベルだ。それでも十分と言えば十分と言える。

 まあ、今後は綿に相当する植物を発見出来れば、綿織物に移行したいところではあるが。

 土器も作られているが、実用性重視のものが主流らしい。縄文土器で1番有名なパンクなデザインの火焔型土器は無いそうだ。

 

 また、主な武装は石器で作られた細長い鏃を先端に括りつけた槍という事からも、縄文時代相当の文明という事は当たっているだろう。

 鉄器や銅器は作れないが、『召喚』されて、この世界にやって来た始祖たちが持っていた鉄剣が集落には残されているそうだ。

 だが、錆びてしまって武器としては役に立たなくなっているらしい。

 そりゃあ、漢字が伝来していない時代って事は、1500年以上昔の遺物だから錆びて当たり前と言えば当たり前だ。

 むしろ、それだけの時間を絶滅せずに一族を存続させて遺物を守り続けた事に、俺は思わず敬意を抱いた程だ。

 

 俺たちにとって1番重要な情報は、彼らの集落で20人の『被災者』を保護している事だった。

 全員が茶ポメで、男性7人に女性が13人だった。

 特に健康状態に問題を抱えている『被災者』が居ないと分かった時はホッとした空気が流れた。

 ただ、残念な事に意思疎通は不十分らしい。

 もしかすると、今日来た理由の一部には彼らの存在が含まれている可能性は否定出来ない。

 早速、こちらから何人かが黒ポメ使節団の帰りに同行して、彼ら『被災者』がこちらに合流する意思が有るかを確認する事になった。



「宮井さん、彼らにクマもどきの死体を見て貰うってのはどうでしょう?」


 山本氏けんじゃがそう言って来たのは、話し合いが途切れた時だった。


「俺は構わないが。抑止力としてだね?」

「ええ。こちらの戦力を目に見える形で誇示する事は色々な意味で有益です。それにもし彼らにクマもどきの毛皮を鞣す技術が有れば、彼らにクマもどきの毛皮を進呈する事で、20人もの日本人の面倒を見て貰った事に対する対価とする事が出来るかな? と思いまして。どうせ我々では有効活用出来ないですし」


 山本氏けんじゃといえども、俺が重宝している気配察知能力を会得していないし、視線から相手の情報を得る量は人間の頃と変らない。

 だから、黒ポメがどれ程俺を恐れているかまでは掴み切れていないのだろう。

 まあ、クマもどきの死体を見せたからと言ってこちらが不利益を被る訳でも無い。


「そうだね。持ち掛けて貰っていいかな?」


 山本氏けんじゃが切り出すと、すぐに見に行く事になった。

 


 

 黒ポメ使節団7人の反応は一見の価値が有った。

 どれ程価値が有ったのかは、彼らの反応を見て金井さんが洩らした一言が端的に表していた。


「日本でもリアクション芸人として売れるで」



 いや、芸風では無く、真剣に驚いているからね、金井さん・・・

 



お読み頂きありがとうございます。


 読みたくなる小説を発見出来なくて、時間が空いていて、続きを書きたくなったので更新します(-。-)y-゜゜゜

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