第1話 「直後」-6月13日 火曜日-
20170704公開
20170816セリフ表記変更
その日、日本中に、3度目の『召喚』の嵐が吹き荒れた。
今回の行方不明者は1,457名と、前の2回よりも規模が小さかったが、巻き込まれた犠牲者にとっては心休まる事実とは言えなかった・・・
誰かが俺の身体を揺すっている・・・
右肩と左胸に手の感触が有るのが分かった・・・
≪おとうちゃん、おきて・・・ おとうちゃん・・・≫
聞き覚えが無い声も聞こえる・・・
でも何故か心に引っ掛かる・・・
徐々に覚醒する意識の中で自分が置かれている状況が朧気に分かって来た。
多分、俺は仰向けに寝かされている。
そして、誰かに揺すられている。
右肩と左胸を押している手はそれぞれ2つだから左右から2人に揺すられているみたいだ。
≪みずき、もっとゆすって≫
≪そういうかえでも、もっとゆすって≫
みずき? かえで?
水木と楓か?
そう言えば、聞いた事が無い声だが、口調は俺の双子の娘たちに似ている気がする。
目を開けた途端に頭痛が襲った。
思わず呻き声が出た。目を開けるどころでは無い痛みだ。
≪あ!?≫
≪おきた!≫
娘たち(仮)の声に驚きと喜びの色が加わった。
揺すっていた手が一旦離れる。
寂しいという気もしたが、まずは目を開けなければ・・・
もう一度、ゆっくりと目を開ける。
今度は激しい頭痛は襲って来なかった。なんとか耐えられる程度の痛みだ。
焦点が合わない中で、2つの顔が俺を覗き込んでいるのが微かに分かった。
≪おとうちゃん!≫
≪よかった!≫
俺の目に映ったのは、人間と言うか、動物と言うか、謎としか言えない生物のものだった。
強いて言うと猫に似ている気がするが、多分目の印象が猫に似ているせいだろう。
鼻は低いが人間の物だ。
耳は猫耳?
口は人間?
顔にも毛が生えているが、他の箇所に比べて細くて短いか?
頭髪は娘たちの髪型が残っている?
顔全体の印象は猫人間? 擬人化された子猫?
夢か・・・・・
この時点で、もう一度夢の世界に戻ろうとした俺を2人の猫娘がまた揺すった。
≪だめ! おきて、おとうちゃん!≫
≪おきてよ、おとーちゃん!≫
あ、このビミョーなイントネーションの違いは楓と水木だ。
今度こそ目が覚めた。
2人が泣きながら抱き付いて来たので、それぞれの頭を撫でてあげようとするが手が届かない。
ん? 思わず目を手に向けたが、そこに映ったのはスーツの袖だった。
今日の授業参観で着る為にわざわざ新しく買ったスーツだ。
混乱した頭を振りながら、起き上がろうとする。
だが、何かがおかしい?
自分の身体を見下ろして何がおかしいのかを理解した。
娘たちと変わらないサイズに縮んでいた・・・・・・・
お読み頂きありがとうございます m(_ _)m
新連載始めました m(_ _)m
連載初期は1話当たり短めです m(_ _)m




