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「二人を助けろ!!!」

フェイスさんの叫び声が合図となり、一斉に動き出す。

向かってくる冒険者たちに向かって、異物持ちは異物である大太刀をすごい速度で横に振る。

たったそれだけで大太刀の長さでは到底届かない場所にいる冒険者達を切り裂いた。


傷は深くはなさそうだけど、助けにこようと走っていた冒険者たちの足は止まってしまう。

大太刀による技? それとも魔法? 正体がわからない攻撃に警戒するのは当然と思えた。


更に地面からは水が柱のように吹き出て、冒険者達を攻撃する。

これまでとは違う攻撃パターンと速度に、回避行動をするのが精一杯のようで、助けになんてこれそうにない。


逃げなきゃ……! 自力で逃げるしかない!

でも、どうしよう!? ノーラさんが……きっと俺のせいだ!

でもでもでも、俺にはどうしようもないし、ここで逃げなきゃノーラさんが助けてくれた意味が!

でも、どうやって!? どうやって逃げれば! あぁぁ、どうしよう!? どうすれば!


俺の頭が混乱しているところに、異物持ちは容赦なく水で出来た槍のようなものを3本も飛ばしてくる。

先程ノーラさんに向かって飛ばした弾丸より少しだけ遅い速度。

俺は咄嗟に虚空から剣を取り出し、その水の槍を弾き消そうと振った。

一つは奇跡的に弾け消えるが、その衝撃で剣は吹き飛ぶ。


そして、その衝撃は剣だけでなく腕にまで及び、俺の腕は振り上がった形となり、痺れてしまった。

そんな動けない俺の右肩と右足に、水の槍が命中する。


強く押し込まれながら、肉を巻き込んでねじられるという想像を絶する恐怖が一瞬で体中を駆け巡る。

強烈な痛みと同時に、ねじ込まれた水の槍が弾け散る。

後には水と血が混ざりあった雨が降り、水溜りを作り上げた。


「ぅぐぁ! あっ……あっあっああああああああああああ!!!」

痛いぃ! 痛い! 痛い! 痛い! 

痛みを抑えるように、震えた左手で足に触れようとする。


だが、水の槍が弾け散った衝撃か、太ももから先が千切れていた。

右腕も動かない、動かない……? 違う、右腕がない。


大量の血が、肩から足からどんどんと流れていく。

ああああ、痛いぃどうしよう、どうしよう、腕が! 俺の足が! 血がああああああああああ!


「ああっ! ああああああああああ! ああああああははははは! ははっはははははは!」

えっ? あれ? なんで? なんで、笑ってるんだろう俺? 痛いはずなのに楽しい、あれ? なんで?


「ふふ、ふふふふ。なんで? なんで? なんで? なんで? なんで? 楽しい。はははははははは! 楽しい、どうしよう。楽しんだけど、どうしよう。ははは!」

苦痛のはずの痛みが、どうしようもなく面白い。楽しくて楽しくて仕方がない。


はははは、俺は今まで何に恐怖を感じていたんだろう? 何に苦痛を感じていたんだろう?

なんなんだろう、この変な感覚。

俺の感情のベクトルというか思考回路が急に変わったみたい。

なにこれ、痛いのが面白い、楽しい、ドキドキする。


ふふふ、ははははは!

これが吸血鬼? 楽しい。


って、楽しんでる場合じゃない。

どうしよう血が流れていってる。腕も足もないや。

……あぁそっか、そういうことか。

なぜだか、どうすればいいのかがわかる。


血を集めなきゃ。

千切れて転がっていた俺の足と腕は溶けたように血へと代わる。

そして、飛んできた水の槍を防ぐため、自身の血を操り盾にした。


水と血がぶつかり合って飛び散る。

俺は飛び散った自身の血を再度操り、太ももから先のない足に集め、新たな足を作る

肩から先のない腕も同様に、新たな腕を作った。


「新人の嬢ちゃん!? お前それは無事なのか!? 一体どうなってやがる! 他の異物の干渉か!?」

遠くから聞こえるフェイスさんのその声で、どれだけ動揺しているかがわかる。

他の冒険者たちも今の光景をみて動揺し、一歩も動けないでいた。


大丈夫だよ。全然いける。

というか、楽しくて仕方がなくて、このまま終わりになんて出来ない。

どうしよう、完全に変になってしまったみたい。

ふふっ、なにこれ、やばい。


「フェイスさん、俺戦えます。だから、ノーラさんを助けて」


「はぁ!? 戦えるだって!? 何言って……いや、わかった! その意味のわからない状態、信用する! お前ら、絶対にノーラを助けるぞ!!」

何一つとして理解できないという顔をした冒険者たちは、困惑した顔のままフェイスさんの指示で一斉に動きだす。

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