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受付へと戻ると、アレッシオさんが爽やかな笑顔で手を振り、迎えてくれた。

「おかえりー」


「えっと、お待たせしました」

俺は冊子をカウンターの上に置いて開き、依頼書に書かれている受注条件を見比べていく。


えっと、フロストベル薬草検定B以上、戦闘技能一般基準D以上、一ヶ月の間に失敗した依頼が一つでもある方は不可。そして、ソロ可と。

あとは、パーティの場合一人でも必須技能を満たす人がいれば受注可。


ふむふむ、なるほど。

アレッシオさん所持資格はフロストベル薬草検定Bで戦闘技能は一般基準のC、一ヶ月以内に失敗した依頼はなし……


「ティアちゃん、BとかCってなんですか?」


「それは評価にゃ。Sが一番すごいにゃ。次にA、そのあとにBCDEFと続いていくにゃ」

なるほど、すごく覚えのあるシステムだ。ファンタジーな物語でよくある。一般基準っていうのが気になるけど別にいいか。


「ティアちゃん、受注条件大丈夫そうです」

「それなら依頼書を冒険者に渡して、パーティ全員の冒険者番号と受注責任者の名前を書いてもらうにゃ。新人は冒険者の冊子に依頼番号と依頼名と日時を書き込むにゃ」


えっ、冊子の方は俺が書き込むのか、嫌だなー。字が下手なんだよね……


というか、日本語で大丈夫なのかな。

まぁそれ以外で書きようがないので、日本語で書いていくしかないんだけど。

きっとあのアビリティ――生活調和の御都合主義――がなんとかしてくれるだろう。


俺は依頼書をアレッシオさんに渡してから、近くに置いてある羽根ペンを手に取り、ペン先をインク壺に浸してから書いていく。

羽根ペンなんて使い慣れていないから書き辛い。


「新人、字が下手にゃ」

うぐっ……あのアビリティでは字の下手さを誤魔化せないようだ。

「でも、ぎりぎり読めるから大丈夫にゃ」

良かった……


「僕の方は書けたよ」

えっ、俺はまだ書き終えていない。


「少々お待ちくだ……くだ……くっ……」

うがー、下手な字を書いているところを見られるのは恥ずかしい。

ペンを急ぎ走らせる。


「終わりました!」

ふぅ、と一息つく。

文字書くだけで何かやり遂げた感じがする。


「それじゃぁ、次は書いてもらった依頼書を確認するにゃ」

「わかりました」


「はい、依頼書」

アレッシオさんは俺に依頼書を手渡してきた。

それを受け取り、書いてもらった内容に間違いがないか確認していく――


「大丈夫そうです」


「次で最後にゃ。依頼品を届ける場所の確認にゃ。納品場所が冒険者協会じゃない場合も多々あるにゃ。そういう場合たまに届ける場所を忘れる人がいるにゃ。覚えられない冒険者にはメモをとらせるにゃ。あと依頼達成の証明書もらってくるのを忘れるやつもいるにゃ」


「わかりました、確認するようにします。えっと、届ける場所は……」

「ああ、それなら問題ないよ。ナリアさんのところでしょ」


依頼書を確認してみると届け先として住所が書かれていて、その下にはナリアと書かれている。

「はい、ナリアさんのところです。証明書も大丈夫、忘れたことなんてないよ」


ティアちゃんは最後って言ってたし、これで終わりかな?

「えっと……それじゃぁアレッシオさん、依頼がんばってきてください」

これで一人目終わりっと思ったけど、アレッシオさんはまだ何かあるようで、立ち去らない。


「ルルちゃん、カードが返ってきていないということは、専属の受付嬢になってくれるというサインかな?」

「あっ、ごめんなさい、忘れてました。カードお返しします」


俺がカードを差し出すと、カードごと俺の手を包み込み、そのままの状態で――

「それで、今晩食事で――」

何かほざこうとするので、俺は即答で「嫌です」と答え、手を無理やり離す。


そして、トドメとばかりに制服で手を拭く、さりげなく相手に見える感じで。

「ル、ルルちゃん、なかなか……その……なかなかガードが硬いね……」

アレッシオさんの爽やかだった笑顔が若干引きつり、ショックのあまり俺の行動に対応できていないようだ。


「ウフフ、それでは、さようなら」

愛想笑いを浮かべ、上品に芝居がかった感じで〆た。

無断で何度もお触りしてくるのでイラッとして、つい。

男に触られて喜ぶ趣味はない。このロリコン野郎。


……異世界だからロリコンという概念がない可能性……アレ? 俺も立派なレディー扱い? こんな姿で?

物語で描かれる異世界は十歳や十二歳で結婚可能とかよくあるしなー……

俺が言うのもなんだけど、紳士であってほしいものだ。


「新人、見かけによらずなかなかやるにゃ……」

ティアちゃんは感心したように呟く。


まぁ異世界の常識なんて考えたってわかるはずもないし、それ以上は思考を放棄。さっさと冊子を元の棚に戻しておこう。

「それじゃぁ俺はこれ片付けてきます」

「待つにゃ」

棚の方に歩きだそうとしたところでティアちゃんに止められる。


「それだと効率が悪いにゃ。次の冒険者の対応をしてカードを受け取るにゃ。それで、次の冒険者達の冊子を取りに行く時に、前の冒険者達の冊子を片付けるようにするにゃ」

確かに、そっちの方が効率いいかも。

「わかりました」


「あとその時ついでに机に置いてある受注済みの箱にさっきの依頼書を入れておくにゃ」

「はい」


「それじゃぁ次の冒険者が待ってるから呼んでみるにゃ」

「えっと、次の方どうぞー」

こんな感じかな。


俺の前に現れたのは、いかにもなローブを羽織り、大きな帽子を被った魔法使い風の綺麗な女性だ。

さすが異世界。コスプレみたいには見えず、いかにもな魔法使いに見える。そして、容姿の平均レベルが高い。


「いんやー、ルルちゃん近くでみりゃぁどえらい美少女やなぁ。あっ、これカードと依頼書だで」

…………

ファンタジー感台無しだ! なんでそんな訛ってるの、方言? 色々とおかしくない?

異世界の言葉が変な感じにねじ曲がって俺に伝わっている気がする。ねぇ! どうなのアビリティさん!?


「わりな、うちは訛がどぎついらしくてなぁ、聞き取りづれぇかもしんね」

俺が困惑した顔をしていると、その女性が申し訳なさそうに言う。


俺は「大丈夫です、大丈夫……」と言い、何とも言えない気持ちになりながらも、対応を進める。


俺は受け取った依頼書をカウンターに置いて、冒険者カード三枚とアレッシオさんの冊子と受注済みの依頼書を手に持ち、冒険者資料の棚へと向かう。

その途中で受注済みの依頼書を箱に入れるのも忘れずに済ます。


あとはアレッシオさんの時と同じように対応をした。

相手がパーティでの受注だろうと、人数が増えて手間が増えただけで何も変わらない。


その後に続く冒険者達も同じように対応をしていった。


投稿がかなーり遅くなって申し訳ありません。

書き溜めってモチベがものすごく下がるという事がわかった。

手が全然進まない、やっぱり投稿後の達成感必要(´・ω・`)

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