002.狼に出会った
まさかブックマークもらえるとは思っていなかった!ありがたき幸せ!
「これからどうしよう……」
いや、どうするべきかはわかっている。さっさとこの森から出て、人を探さないといけない。
わかってはいるけど、これからの事を考えると不安で、どうしても声に出てしまう。
深呼吸を何度かして落ち着く。森の香りに癒やされる。
「はぁ、立ち止まってても仕方がない、歩きだそう」
最初は慣れない体で森なんて場所を歩くもんだから、躓いてコケたりしてかなり大変だった。
だけど、徐々に小さい体にも慣れたのか、躓く事もなくなり、早足だって駆け足だって問題なく行うことができるようになっていた。
そうして、歩くのにも慣れてくると、歩くのに使っていた意識が別の方向に向いてしまい、どうしても不安になるような事を次々と考えてしまう。
今はまだ木々の隙間から差す光があるから大丈夫だけど、もし日が暮れて夜になってしまったら、どうしよう。
こんな森の中で夜とか洒落にならない、光がある今でさえ孤独な森の中というのは怖い。これが夜になり、真っ暗になってしまったらどうなってしまうのか。
更に不安になり、早足になっていく。
ここがもしファンタジーな世界だったら、モンスター的な存在もいるんじゃないだろうか、もしそんなのに遭遇したらどうしよう。
たまに聞こえる謎の鳴き声は鳥だろうか? それともモンスター? わからない、怖い。
少し尖っていて手頃そうな石が視界に入ったので拾っておく。頭の中で何度も投げるシミュレーションをする。こんなのでどうにかなるとは思えないけど、何もないよりかマシだ。
もし森から出られたとして、背中に翼の生えている自分が人と会っても大丈夫なんだろうか、化物呼ばわりされてしまうんじゃないか、もしそうなったらどうしよう。
いや、それは今考えても仕方がない、この森から出られたら考えることだ。
食べ物だってないし、飲み物だってない、森から出られなかったら、死。
死……いやだ、いやだ、いやだ! 餓死とか最悪だ! 俺の最後は老死だって決めてるんだよ!
木漏れ日が赤みを帯びてきた、無情にも時間がたっていく。もうすぐ夜が始まる。
「くそ、くそ、くそ……どっちに行けばいいんだよ!」
焦りから早足から駆け足になる。
それでも森の出口は見えない。森の出口に向かっているのかもわからない。
その不安から駆け足から全力疾走になる。驚く事に不安定な足場だというのにものすごく速く走れた。
この体、身体能力がものすごく高い。けど、そんなことに感動している暇も喜んでる暇もない。とにかく道なき道を走った。
木々の隙間からチラっと見えるだけの空に、星の光がいくつも見える。これだけ綺麗な星々を見るのは初めてだ。
俺は立ち止まり、耳をふさぎ、絶賛現実逃避中だった。
なぜ耳をふさいでいるのか、それは闇に支配されてしばらくすると奇妙な鳴き声があちらこちらから聞こえてきたからだ。
耳を塞いでいては危ないのはわかっているけど、冷静になる時間がほしかった。
そして、少しは冷静になったところで、耳を塞ぐ手を退けた。
今まで生き物に会わなかったのが奇跡なんだろうな、と思えるぐらい、様々な鳴き声が聞こえる。
ただそんな絶望の中でも希望はあった。
夜目がものすごく利いているのか、闇の中でもしっかりと周りが見えている。
これなら歩ける。まだ見ぬモンスターに怯えて立ち止まっていても何も変わらない。むしろ一番最悪な選択肢だ。
歩こう。とにかく歩こう。森にもきっと終わりがある。
俺はあまり音を出さないように、周りをこれでもかというぐらい警戒しながら歩いた。
しばらくそうして歩いていると、草や木々の隙間から光のようなものが4つ見えた。
じっと動かないそれが何なのかわからず、大きな光る虫か何かかと思ってしまう。
そういえば暗いところで猫の写真を撮った時、こんな風に目が光っていたよなぁ。
そこでハッとした。なんで俺はあれだけ警戒してそんな呑気な平和ボケした考えをしていたんだ!
俺は光とは逆方向に全速力で駆ける。
後ろから何かが迫ってきているのがわかる。この身体能力がなければとっくに捕まっていた。
怖い、怖い、怖い! 怖すぎて後ろを振り向けない! どこまで迫ってきている!? あとどれぐらい!? どこまでいけば逃げれるんだ!
「はぁ! はぁ! はぁ!」
助けて助けて助けて! 誰か! 誰か……
「あっ……」
涙目になり視界がぼやけていたのが原因で、足元を疎かにしてしまっていた俺は、むにゅっとした少し弾力のある何かを踏みつけてしまい、足を取られてしまった。
そのまま走った勢いのままコケて転がり木にぶつかり止まった。
「がはっ」
恐怖のあまり痛みが半分ほど麻痺していたのが不幸中の幸いだった。結構な衝撃はあったがすぐに動くことができる。
木に手をかけてすぐに立ち上がろうとする。だが、足に何かが絡まっていて上手く立ち上がることができなかった。
右足にひんやりとした感触がある。そちらの方に目を向けてみれば、緑色のゼリー状の蠢く物体が右足に絡みついていた。
「スライムッ!?」
ファンタジー定番のあのスライムかっ!?
スライムは足に絡まっていた姿から瞬時に足を離れ楕円形へと姿を変える。
よし! 足が動く! 俺はすぐさま立ち上がろうとしたが、スライムが更に形を変えたことでそれを中止した。
なぜなら、スライムがこれから何かするぞと言わんばかりに体を縮こませたためだ。
スライムが生き物を殺す時どうするか、オタク知識で瞬時に考える。俺は咄嗟に左腕を顔面の前に持っていきガードした。
べちゃっという音と共に左腕がひんやりとした感触に包まれる。俺は目の前に見えるゼリー状のそれを右手で力任せに引っ剥がして、どこかに投げようと視線を上げた。
そして、全身から血の気が引くのを感じ、意識が飛びそうになる。視界はもう一瞬何をみているのかわからなくなり、一つ瞬きをする。
目の前には、目を光らせ真っ黒な体毛に覆われた、トラやライオンぐらい大きな狼がこちらを見ていた。
( ˘ω˘)文章力が高まれば書くスピードあがるだろうか……