001.ある日 森の中
目の前には新緑に彩られた世界が広がっていた。どこを見ても必ず木が視界に入り、背の低い草は鬱蒼として、チラチラと目に入る微かな木漏れ日は鬱陶しい。
そんところに佇んでいると、切り離された世界に自分一人だけがいるような感覚になり、恐怖心すら湧いてきた。
混乱と恐怖と森独特のマイナスイオン効果が絶妙なバランスで混ざりあい、俺の落ち着きが維持される。
なんで俺はこんなところにいるんだろう……
夢のようにしか思えない。さっきまで家にいたはずなのに。
元凶はなんとなくわかっている。突然送られてきたあのヘルメット、きっとアレが元凶だ。
あのヘルメットを被ってからの記憶が曖昧だし、明確に覚えている現実的な最後の記憶がそれだったから、確実だろう。
とにかく、その元凶が送られてきた原因を思い出そう。今のこの状況が少しはわかるかもしれない。
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昨日の夜、俺はパソコンで面白いゲームの情報を探していた。
なぜなら、五連休の三日目で、色々とやりたいことをやり尽くしてしまい、暇すぎて娯楽に飢えていたためだ。
普段は見ることのない某掲示板の過疎スレッドまで覗いていたのだから相当だと思う。
そして、そんな過疎スレッドの一つで、ある書き込みを見つけてしまった。
『新作ゲームのテスター募集らしい』
そう書かれた文章の下にはURLが書かれていた。
休みのせいで頭まで春になっていた俺は、何も考えずにその怪しさ満点のURLをクリックしてしまう。普段なら絶対に警戒してクリックなんてしない。
押した後にブラクラの可能性とかウイルスの可能性とかを思い出したが、ブラクラだった場合は目を瞑ろう、ウイルスだったらセキュリティソフトに任せよう、と完璧な対抗策(笑)を瞬時に考え、ページが開くのを待った。
やけに長いロードが終わると、タイトルらしき大きな文字がすぐ目に入った。黒単色の背景に白文字だったため余計に目立つ。
ブラクラではなかった事に一安心、ロードが長かった割には陳腐なサイトでがっかりしつつ、そのタイトルを黙読する。
『World of Yggdrasil』
頭の中で最後まで発音した直後、謎の眠気が俺を襲った。それまで眠気なんて少しもなかったはずなのに。
あまりにもその眠気が急すぎて、何かの病気かと考え焦ったりもしたが、すぐにその考えや焦りは眠気により霞がかかる。
目の前はぼやけるし、思考はほとんど働かないし、なぜか手だけは勝手にマウスを動かす。
気付けばマウスはタイトル下の『募集ページに進む』というリンクにカーソルをあわせていた。
クリックしたかしてないかの記憶はない。ただ気付いた時には画面が切り替わっていて、『事前キャラクリエイト』という文字と、いくつもの選択肢が並んだページが画面に映し出されていた。
そして、その画面を目にした後、俺の意識は完全に落ちた。
俺が次に意識を取り戻したのがいつだったのか正確にはわからない。窓から日が差していなかったのでまだ夜だったとは思う。
時間に関しての記憶はそれぐらいしかない。なぜなら、意識を取り戻したといってもまだ朦朧としていて、時間を確認するという余裕がなかったからだ。
しかも、心には謎の達成感と、やっぱり吸血鬼は金髪美少女に限るとか、可愛いは正義とか、謎の熱い気持ちが心を支配していた。
自分自身何を言っているんだという思いはあるが、事実朦朧とした意識の中で、そういう気持ちがあったのだから仕方がない。
そして、ぼやける目でパソコンの画面を見てみれば『応募ありがとうございます。当選は発送をもってかえさせていただきます。』という文字が映し出されていた。
相変わらず黒背景に白文字だった。
そこから先の記憶はない、きっとまた意識が完全に落ちたんだろう……
次に意識を取り戻したのは玄関のチャイムが鳴り響く中だった。
椅子に座った状態だったため腰がとにかく痛いが、来客が帰ってしまう前に急がなければと思い、腰に手を当てながらも玄関に走っていく。
玄関の扉をあけると、そこには武蔵運輸と書かれた帽子をかぶった少しガラの悪そうな20代後半ぐらいの男性が、荷物を両手で抱えるようにして持ち、立っていた。
宅配に心当たりのない俺は、誰から何が送られてきたんだろうかと考えながら、見た目のわりに軽い荷物を受け取り、すぐさま伝票に目を移して確認する。
伝票の差出人は空欄、品名の欄には『World of Yggdrasil』とかかれていた。
もうそれを見た時点で完全に俺の思考は数秒停止して、それから背筋が凍り全身の鳥肌が立つ。
どう考えてもありえない、その品名はありえない。昨日見たばかりのその文字列。当選は発送を持ってとか書かれていたけど、早すぎる。
念のためスマホで日にちを確認してみても、今は連休四日目だった。意識が落ちてから数日たっているという事もない。
不気味すぎて恐怖心はある。けどそれ以上に中身が気になる。高揚した気持ちを抑えきれず、その場ですぐに荷物を開けた。
荷物の中には、木で作られたと一目でわかる木目が美しいフルフェイスヘルメットが入っていた。
あまりにも神々しく美しいヘルメットだと思った。そして、気がつけばダンボールから取り出し、被ろうとしている自分に気付く。
あっと思った時にはすでに遅く、震える手は上手く動かせず、ヘルメットをすっぽりとかぶっていた。
そこからの記憶が曖昧だ。断片的な感覚しか覚えていない。
最初は空中にぷかぷかと浮いてるような感じだった。それからしばらくして何かに無理やり引っ張られるような感覚が続いた。
それが終わると、一息つく間もなく目の前に光が現れ、その光が急激に大きくなり目の前を覆う。あまりにも眩しく目を閉じるしかなかった。
そして、目を開けた時にはもう森の中だった。
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思い出してみた結果、『World of Yggdrasil』という名のゲームであるという事しかわからなかった。
「ありえない……」
そう口に出してみれば、更にありえない出来事に気付いてしまう。
そしてそれを確認するように声を出してみて、
「あーあー……あああああああああ!? 声が違う!? なんじゃこの可愛い声は!?」
あまりにも衝撃的だったため無意識のうちに口元に手を当てていた。そのせいでなんだか手の感覚が違うことにも気付く。
口元から手を離して確認してみれば、自分の体の一部とは思えないほど見覚えのない可愛らしく綺麗な手があった。
そして、そのままか細い腕から上半身にゆっくりと視線を移していく。
何やら微妙な膨らみが胸にある。
膨らみ……?
「はあああああああああ!? 胸! 胸! これおっぱい!?」
手で揉んでみればしっかりと感覚がある。夢じゃない。柔らかい! グッドおっぱい!
そして、着ている服も普段とは全く違う。完全に女の子の服で、しかも黒ベースに赤が混じったゴスロリだった。
「ありえない、おかしい、性別が違う。俺は誰だ、マジで誰だ?」
もうとにかく体のありとあらゆる部分を手で確認してみる。
そして、人には言えないような部分を触り、女の子ってこんなふうになっているんだなーっと半ば現実逃避していると、背中に違和感があることに気付く。
腰まである長いプラチナブロンドの髪の毛を、邪魔にならないように左手でまとめて退けて、右手を背中に回してその違和感の原因を探ってみれば、何やらすべすべつるつるな手触りの何かに触れる。
そして、背中についている何かにも感覚があるようで微妙にむず痒い。
形を探るように触っていけばなんだか翼っぽい事がわかった。体が柔らかいってすごい。前の体だったら翼に触ろうとした時点で腕釣ってたな。
「ってか翼が生えてるって、人間ですらないのかよ……」
誰かこの状況を説明してくれよ。
天を仰いでも誰も答えてくれない。変わらずチラチラと目に入る木漏れ日が鬱陶しい。
文章力が皆無なため、それを克服するべく小説を書いてみました。
完全な見切り発車、なんとなくの展開とか設定とかは考えてあるけど、細かい部分はまだまだ未定。
1話から書き溜め無し!いえーい!
そして、何度も書き直したりしているので投稿が超遅い予定。
あと、投稿したやつ書き直す事も多いかもしれません。
お試しで投稿してみた感じと言ってもいい。




