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第六話 転入生

    こころコ 第六話 転入生



 「おーい、アヴィス行くぞー。」

玄関で八志智が靴を履いている。今日から学校は二学期になるのだ。

 「ちょっとまってよぉ〜。・・・・・。そういえば、このまえこしてきたひとみたことないけどどんなひとかしってる?」

アヴィスが不思議そうに八志智に聞いた。

 「俺も見たことないんだよなぁ・・・引越しの荷物がまだ片付いてねぇのかな?・・・つか、そんなことよりさっさと学校行くぞ!!」

八志智はアヴィスを急がせた。

 「ちょ、ちょっとまってよぉ。」

アヴィスは慌てて靴を履いた。



 キーンコーンカーンコーン

 「なんとか間に合ったけど、まだ先生来ねぇな。なんかあったのか?」

八志智は独り言を言っている。

 「知らないの?なんかまた転入生が来るらしいよ!今度はツンデレ系のキャラがいいなぁ!!」

八志智の独り言が奈留まで聞こえたらしい。

 ガラガラッ

ドアを開けて先生が入って来た。

 「みんな、席に着けよぉ。」

先生がみんなに促した。するとみんなは言われたとおりに席に着いた。

 「これから転入生を紹介するぞっ!!・・・入ってきなさい。」

 ガラガラッ   スタスタスタ・・・

ドアを開いて出てきたのは茶髪の美少年だった。

 「じゃぁ、自己紹介を頼むよ。」

先生が言った。

 「如月きさらぎ 宗助そうすけと言います。よろしく。」

宗助は軽く頭を下げた。

 「じゃあ、席はアヴィスの後でいいな。」

先生が指で指しながら言い、指示通りに宗助は席に向かった。

 ガラ・・・

椅子を引いて席に座るとアヴィスが宗助を見た。

 「わたし、アヴィス。よろしくね。・・・・ボソッ・・・」

アヴィスは小声で挨拶した。

 「あっそ!」

宗助は何故かそっぽを向いた。

 「・・・?」

アヴィスはちょっと困った顔をしながら、黒板の方に顔を戻した。



 「昼食ターーーーーイム!!」

奈留が先生が部屋を出て行ったと同時に叫んだ。

 「んじゃあ、今日は鈴ちゃんもお弁当忘れたから、みんなで学食を食べに行こーーーーーーう!!」

奈留が張り切りながら鈴とアヴィスの背中を押している。そして、その後に八志智がついてきている。

 「あ!!そういえばソースケもくる?」

アヴィスは宗助の方を向いて聞いた。

 「俺は弁当持ってきてる。」

宗助は不機嫌なのか少し怒り気味で言った。

 「早く行かないと時間の無駄遣いだ。行こう、アヴィス。」

鈴が急ぎ足で教室を出た。

 「あ、まってぇ〜!」

アヴィスは走って追いかけた。



 「バクバク・・・・やっぱりあの子、ツン系だね!!」

奈留が天丼を食べながらわけの分からないことを言っている。

 「ズル、ズルル・・・・てか、なんであんなに不機嫌なんだ?」

ラーメンを食べながら八志智が不思議そうに言った。

 「ズズ・・・・どちらかというと永山さん、つまりアヴィスさんがお話をする度に不機嫌になっているような気がしますが・・・。」

鈴が食後の熱いお茶をすすりながら言った。

 「アヴィス、おまえ何かしたのか?」

八志智が疑った目で見ている。

 「アヴィスはなにもしてないよぉ!」

アヴィスは激しく首を横に振った。

 「じゃあ、何が原因なんだ?」

八志智は腕を組んで考え始めた。



キーンコーンカーンコーン

 「部活も終わったし帰るぞ、アヴィス。」

荷物を背負い、八志智が言った。

 「はぁーい!」

アヴィスは元気いっぱいに手を上げた。

 「あ!そうそう、今日は私もそっち方面に行くから一緒に帰ろう!」

奈留がアヴィスに近寄って言った。

 「んじゃ、いっしょにかえろう!」

アヴィスが微笑んだ。


 

 てくてくてく・・・

 「そういえば、奈留はこれから何しに行くんだ?」

帰りの交差点を曲がったあたりで八志智は聞いた。

 「ああ、先生が如月君に渡しそびれたプリント、てゆか手続きの書類?みたいなのがあったらしくてそれを届けに行くのよ。これで先生の私への株が上がるわ!!・・・キラーン」

奈留が目を輝かせている。

 「てか、あいつどこ住んでんだよ?」

八志智は、奈留が持っていた住所の書かれたメモを奪った。

 「えと・・・・!!・・・・これ俺ん家のとなりのアパートじゃん!」

八志智は目を丸くして驚いている。

 「・・・・・。」

アヴィスが空の方をじっと見上げている。

 「どうしたんだ?アヴィス・・・。」

 「・・・・・。」

八志智が聞いているのに、アヴィスからの返事は返ってこない。

 「どうしたの?」

奈留も心配している。

 「・・・・・きた。」

 バサッッッ・・・

そう言うとアヴィスは翼を広げ、式服に着替えた。

 サァッ・・・

すると、ビルの向こうからエリーザが出てきた。

 「・・・・あぁ、みつかっちゃった。まあいいけど・・・。」

エリーザはそう言うと銃を構えた。

 「じゃ、始めるわよ。」

エリーザが笑顔で言う。

 「きょうは、いどうしないの?」

アヴィスが聞く。

 「ここはそんなに人通り多くないからいいじゃない。ってことでスタート!」

 バァ・・・ン

 シャッ

スタートと同時にエリーザが銃弾を放った。しかし、アヴィスは剣に見立てた鍵で払い除けてかわした。

 バッ!!   カチャ・・・

 「・・・・・!!」

払い除けて隙ができている間にエリーザが目の前にやってきて銃口をアヴィスの身体に押し付けた。

 「やっと決着がついた。今更ビスに変わってもこれじゃあかわせないわよね。The endよ・・・。」

 グルン・・・

 「シールド・・・。」

 ヴアンッ

アヴィスがそう囁くと球体の透明な壁が一瞬だけ彼女を包んだ。そして、エリーザはその壁に跳ね返され、アヴィスから遠ざけられた。

 「・・・どういうこと?アヴィスとビスにはそんな能力はないはず・・・。」

エリーザは考え込んだ。

 「久しぶりですわね・・・エリーザ・・・。」

アヴィスはそう言うと、少し笑みを浮かべた。前髪のせいで眼が隠れ、少し不気味だ。

 「ああ・・・・なるほど・・・・あんたね・・・。」

エリーザは正体が分かったのか、冷静さを取り戻した。

 「それにしても、相変わらずエリーザの登場の仕方・・・・地味ですわ!」

 グサッ!!

アヴィスが見下すように笑って言った。その言葉がエリーザの心に刺さったようだ。

 「な、なんですってーー!あんただって相変わらず嫌味ったらしい性格じゃない!!」

エリーザが言い返す。

 「あらあら、図星を着かれて言い返すなんて子供ですこと・・・オーホホッ!!」

アヴィスは腰に手を置き、もう片方の手を口の前にかざし、甲高い声で笑っている。

 「うるさい!!」

 ダッ!

エリーザがアヴィスに迫ってきた。

 シャラン・・・

一瞬、鈴のような金属音がした。

 「・・・?」

みんな鈴の音がする方を見た。すると、和服を身に纏い、なぎなたのような長い杖を持った宗助がビルの屋上に立っていた。

 「くっ・・・・またはずれか。天使と同じ周波数出してるからやっぱ見つけにくいな・・・。つか天使とか居なくていいんだよ。」

宗助がレーダーみたいなものを見ながらわけの分からないことを呟いている。

 「宗助、おまえ何してんだ?!」

八志智が叫んで聞いた。

 「ん?ああ、八志智とかいう奴か。・・・!!」

宗助がアヴィスの方を見た。

 「やっぱり天使か。」

宗助が不機嫌そうに呟いた。

 「何がなんだか知らないけど、とにかく攻撃よ!!」

 バンッ バンッ バンッ

エリーザが宗助に向かって銃弾を放った。

 シュッ シュッ シュッ スチャッ

宗助は銃弾を華麗に避けながらエリーザに迫っていき、杖のとがった先端をエリーザの首の寸前で止めた。

 「俺は天使が嫌いだ。けど殺しも嫌いだ。だからさっさと失せろ。」

宗助は鋭い眼つきでエリーザを脅した。

 「フンッ・・・分かったわよ。今日はこのくらいにしといてあげるわ!次会ったときは覚えてなさい!!」

エリーザはそう言うと後ろ向きに帰っていった。

 「・・・にしても八志智とか言ったっけ?あんな天使一匹も追い返せないできそこないの天使とよく契約したなぁ。」

宗助が腕を組みながら言った。

 (いや、契約しようと思って契約したわけじゃないし・・・。)

八志智が心で悟った。

 グルンッ!!

 「なんだと!!アヴィスに向かってそんなこと言うやつはこの俺様が許さねぇ!!だいたいおまえだって、できそこないの陰陽師みたいな格好してんじゃねぇか!!!」

ビスが怒鳴りながら言い返した。

 「・・・・・・。」

宗助は、口をあんぐりと開けている。男口調に驚いているようだ。

 「えと、その、なんだ?・・・おまえ女だよな??」

宗助が言い難そうに聞いた。

 「馬鹿か、おまえ!どうみても俺様はおと・・・・・」

ビスは自分の身体を改めて見た。

 「いや、身体的には女だ!!でも男だ!!」

自信満々に言い切った。

 「どっちなんだよ・・・。」

宗助は鋭い突っ込みを入れた。

 「えと、とりあえず降りてきて話したらどうだ?」

八志智が案を唱えた。

 「それもそうだな・・・。」

宗助とアヴィスは八志智に向かって降り始めた。



 「・・・・ってことはこの天使は二重人格なわけか。」

やっと宗助に分かってもらえたらしい。

 「まあそういうわけだ。・・・・・ところで、その服なんとかならねぇのか?・・・・人通りが少ないからいいものの、やっぱり恥ずいぞ。」

八志智が言い難そうに呟いた。

 「仕方ないだろ。俺のこの式服は天使みたいに着替えれないんだから。杖は小さくできるけどな。」

 (なら着るなよ・・・。)

八志智はあからさまに危ない人を見るような目で宗助を見ている。

 「私はカッコイイと思うわよ、その格好!漫画に出てきそうだし!!」

奈留が潤んだ目で見ている。

 「あ!!そういえば、さっきレーダーみたいなのもってたけどなんのレーダー?」

奈留が興味津々に聞いている。

 「あれか、まあ、言ってもいいだろ・・・。」

 ゴソゴソ

宗助はレーダーを取り出した。

 「あれ?何の反応もないけど・・・?」

奈留が頭を傾けた。

 「これはさっきみたいに天使が本来の姿、つまり式服の姿になったときに出る独特の周波数をキャッチして居場所をつきとめる機械だ。」

 「おぉ〜〜〜!!」

みんな話しを理解したのか否かは分からないが、すごいものだというのは理解したらしい。

 「でもこれで何探すんだよ?!」

ビスはやはり偉そうな口調だ。

 「天使と同じ周波数を持ったやつ。そして天使を創った者・・・・つまりフェニックスだ。」

宗助はレーダーをギュッと握った。

 「でも見つけてどうすんだ?焼き鳥にでもして食うのか?」

ビスはよだれを垂らしそうになっている。

 「血を飲むんだよ。そうすれば不老不死になる。って言っても俺は不老不死になりたいわけじゃないから、少量の血をもらえるだけでいいんだが・・・。」

宗助は少し下を向いた。

 「あ!!そうそう!これ先生に言われてたプリント!・・・・あと、入部届け!!絶対我が漫画研究部に入るのよ!!入らなかったら毎日ピンポンダッシュするから覚悟しときなさい!!」

奈留が人差し指を突きだした。

 「なんで入らないといけないんだ?」

宗助が疑問に思っている。

 「キャラ的に。」

さらっと奈留が答えた。

 「・・・・・・。」

宗助が絶句している。

 「んじゃあ、プリントも渡せたし、帰るねぇ!バイバーイ!!」

奈留が走って帰っていった。

 「んじゃ、俺たちも帰るか。・・・・あんまその格好で俺に近寄るなよ・・・マジ恥ずいから。」

八志智が冷たい目線で宗助を見た。



家の前に着くと立ち止まって少し話をした。

 グルン・・・

 「そういえば、ソースケはだれかいっしょにとがっこういくの?」

アヴィスが聞いた。

 「いや、誰とも一緒に登校してない。これからもする気はない。」

 (友達居なさそうだもんなぁ・・・。)

八志智は心の中で呟いた。

 「じゃあ、あしたからいっしょにがっこういこぉ!!」

アヴィスはほのぼの〜とした声で言った。

 「い、いや、だから一緒に行く気ないって・・・。」

宗助は必死に断ろうとしている。

 「明日の8時にここ集合だよぉ!!」

アヴィスの耳には全く宗助の声が入っていない。

 「んじゃ、バイバーイ!」

そう言うとアヴィスは八志智の背中を押して家に入ってしまった。

 「・・・・この町の女はみんな強制的なのか?」

疑問に思いながら宗助もアパートに帰っていった。




 第七話に続く・・・


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