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第三話 目覚め

    こころコ 第3話 目覚め




ビスは呼吸を整えると八志智に下を向きながら話し出した。

 「・・・・・あの男、絶対家に入れるなよ!!あいつだけは・・・ぜってーー許さねぇ・・・・。」

 「あいつって何者なんだ?」

 「あいつはおまえに会う前の契約者・・・つまり元契約者だ。」

 「じゃあなんでそんなに警戒してんだ?」

 「あいつ・・・俺様たちをただの人形だとしか思ってない最低なやつだ!!もし・・・アヴィスがあいつを見たら正気を失うかもな・・・・。」

グルンッッッ!!

ビスは首を大きく回し瞳を緑から黄色に変えた。

 「はやくアンまんたべよーー!・・・あれ?ヤシチどうしたの??」

アヴィスは八志智の顔を覗きながら不思議そうにして言った。

 「・・・・なんでもない。早く食わないとアンまん冷めるぞ。」

そういうと八志智は玄関の鍵を閉め、自分の部屋に入っていった。

 (・・・・・にしてもあの男・・・・ほんとになんだったんだ?・・・・・元契約者とか言ってたけどアヴィスになにしたんだろ・・・?)



 〜翌朝〜

 「アヴィスーーー学校行くぞーーーーー!」

アヴィスの部屋のドアをノックしながら八志智は言った。

キィ・・・・・

ドアが開き、アヴィスが出てきた。しかし、どうやら様子がおかしい。

 「きょうなんかすごくねむくてふらふらするの・・・・。」

いつもの笑顔が消え、少し辛そうな表情でアヴィスは言った。

 「大丈夫か?今日は学校休め。ちゃんと寝てろよ。・・・あと鍵閉めるから誰が来ても開けるなよ。」

そう言い残すと八志智はアヴィスがベッドに入ったことを確認し、家の鍵をかけ、学校へ出かけた。



キーンコーンカーンコーン

 「やっと授業終わったよ・・・早く帰ってアヴィスの様子見てやらないと・・・・菊池には一応アヴィスのこと伝えたし、部活休んでもいいだろ・・・。」

ダダダダダダダダッ・・・・

校舎に大音量の足音が響いた・・・。

バシコンッ!!

八志智は後から頭を叩かれた。

 「なっがやっまくーーーん!なに一人で帰ろうとしてんのかなーーー!!」

奈留率いる漫画研究部がやって来た。

 「今日話しただろ!アヴィスが体調崩したって!!」

 「だ・か・ら・今日の漫研の活動は、アヴィスちゃんのお見舞いに行くことに決まったのーーーー!!」

 (勝手に決めてるしーーーーーー!!こっちの都合も考えろよっ!!)

 「・・・・ってことでレッツゴーーーーーー!!!」

奈留はそんなこと御構いなしに八志智の家に向かった。



家の手前まで着くと八志智はキョロキョロとあたりを見渡した。

 「なにしてんの?・・・まさか!!なんかの覗き?!」

奈留は少し八志智を遠ざけた。

 「ちげぇよ!!昨日、元の契約者とかいうやつが家の前に立ってたんだよ!」

奈留は八志智と同じようにあたりを見渡した。

 「・・・で、今日はいないみたいね。・・・・つまんないのぉ・・・。」

 「なに言ってんだよ!いなくてよかったんだよ!!・・・いいやつじゃないみたいだし・・・。」

そういうと八志智はもう一度あたりを見渡した。すると、2階のアヴィスの部屋の窓が開いているのが見えた。

!!!

八志智の脳裏に嫌な予感が浮かび上がった。

ダダダダダダダダッ・・・・

いきなり八志智は走り出した。

 「ちょっと!どうしたのよっ!!」

奈留たちは慌てて追いかけた。



2階のアヴィスの部屋に着くと八志智は愕然とした。

部屋は窓が開き、カーテンがひらひらとなびいていた。しかし、そこにはアヴィスの姿は見つからなかった。

 「・・・・・・・・・アヴィスちゃんいないじゃない。どこいったのよ?」

奈留が部屋を見渡しながら言った。

ダダダダダダダダッ・・・・

いきなり八志智は部屋を飛び出し、家を出て行った。

 「・・・・・・どこいくのよーーーー!!」

奈留の問いにも答えず、八志智はただ探しに走ったのだった。

 「おーーーーい、アヴィスーーーーーどこだーーーーーーーーーー!!」

そう叫びながら町内を駆けた。しかし、どこからも返事が返ってくるようすはなかった。



八志智が探し回って2、3時間はたっただろうか。八志智は公園にいた。静まり返った公園にぽつんと独りでいた。

タッタッタッタッタ・・・・

誰かが走ってきた。奈留だった。走り疲れていたようだった。

 「ハァ・・・ハァ・・・・ケータイも持っていかずに家飛び出すんだから・・・・探したわよ・・・・ハァ・・・ハァ・・・。」

 「・・・・なんのようだよ。」

八志智は少し奈留に八つ当たった。

 「かわいくないなぁ・・・・せっかくアヴィスの情報手に入れたのに。」

 「!!・・・ほ・・・ほんとか?!」

 「嘘言ってどうすんのよ!ほんとよ、ほんと!!ちょっとついて来なさい。」

八志智はそう言われると奈留について行った。



連れて行かれた場所には大きくて立派な家があった。

 「・・・・・・誰の家?」

八志智は指をさしながら尋ねた。

 「柳葉君の家よ。彼、お金持ちなのよ!知らなかったぁ?」

 (知るかーーーー!!てかあのオタク君こんなとこ住んでたのかよっ!!見かけによらねぇな。)

ピンポーーン

 「菊池 奈留でーーーす!」

ベルを鳴らし、奈留がそういうと家の門が開いた。広い庭を通り、家の前まで来ると女の人がドアを開けてくれた。どうやら本物のメイドのようだ。いかにもメイドのような服を着ている。

 (・・・・・このメイドさんの服、オタク君の趣味か?少し高そうな生地を使ってるな・・・)

メイドさんに案内されながら八志智は思った。

コンコンコンッ

 「菊池様をお連れしました。」

メイドさんはドアをノックしてそう言った。

 「入って来てもらってください。」

部屋の中から八志智いわくオタク君の返事がした。

カチャッ

ドアをメイドさんが開けると三夫と奈留の秘書の未来が待っていた。

 「お茶はいらないからもうさがって良いですよ。」

三夫にそういわれるとメイドさんはお辞儀をして部屋を出て行った。

 「・・・・・・・・・」

八志智はキョロキョロとあたりを何回も見渡した。

 「落ち着きなさいよ!ていうかアヴィスちゃんのことで来たんでしょ!!」

奈留は何度か来たことがあるのか、冷静だった。

 「さっき見つけたんですけどここのサイトに・・・・。」

・・・・・・!!!

部屋の中に衝撃が走った。なぜならモニターには、手足を縛られ、ゴスロリなどの服を着せられたアヴィスの画像が何枚も出てきたからだ。

 「これ・・・・アヴィスちゃん・・・・・・・よね・・・・・・・・・?」

奈留が八志智に確認した。

 「・・・・・・・・・たぶん。これ出してるやつどこに住んでるとか分かんねぇのか?!」

八志智は驚きを少し隠しながら言った。

 「・・・・・・すいません。分からないんです。分かっていることは・・・・KJIケージェイアイという人物がこのサイトの創始者ってことだけです。」

未来が気まずそうに答えた。

 「どうすればいいんだよ・・・・」

沈黙が当分の間続いた。



カシャカシャッカシャッ

誰かアヴィスを写真に撮っている。どうやら未来が話していたKJIという男らしい。アヴィスは薬で眠らされているのか身動きひとつない。そして、KJIは撮り終えると違う衣装にアヴィスを着替えさせ、また写真を撮り始めた。

カシャカシャッ

 「いいねぇ!でももっとインパクトが僕としてはほしいなぁ・・・・そうだ!!」

すると、アヴィスの衣装を脱がせ、鎖を身体に巻きつかせた。

 「これでいい。」

そういうとまた写真を撮り始めた。



その頃、まだ三夫の部屋には沈黙が続いていた。

八志智はふと窓を見ると、黒い飛んでいるものが見えた。カラスだろうか?しかし金色の髪の毛がある。目を凝らして見ると昨日襲って来た天使のエリーザだった。

 (・・・・・・・・・・・・!!そういえばあいつ天使の反応がどうとかって言ってたな・・・・。ってことはあいつアヴィスのいるとこ分かるんじゃねぇか?)

もう一度八志智は窓を見た。すると、エリーザが見えなくなっていた。

 (しまった!!早く追わねぇと!)

八志智は慌てて部屋を飛び出した。

 「待って!どこ行くのよー?」

奈留たちも必死に後を追った。



外に出ると、エリーザが遠くを飛んでいるのが見えた。その方向に八志智はものすごいスピードで駆けて行った。

 「ねぇ!なにを追ってるのよーーー?!」

奈留が八志智に追いつき言った。

 「あの黒くて金髪のやつだよ!見えるだろ!!」

八志智が答えた。

 「そんなの見えないわよー?幻覚でも見てるんじゃないのぉ??」

 (・・・・・・そうか!!こいつら天使見えないんだっけ!)

八志智は少し考え直した。

 「天使だからおまえらには見えねぇけど、あいつに聞けばアヴィスの居場所がわかるはずだ!」

そのとき、こちらの気配に気づいたのかエリーザがこちらを向いた。そして八志智を見つけると、降りながら向かって来た。

 「あたしのストーカーしてなんのつもりなわけ?すごいムカつくんだけど!!」

腰に手をやり、不機嫌な顔をしながらエリーザは言った。

 「別にストーカーしてたわけじゃないが・・・・・・おまえ・・・・・・アヴィスの居場所知ってるか?」

するとエリーザは後ろの奈留たちをちらっと見ると羽を収めた。

・・・・・・・・!!

奈留たちは驚きを隠せないようだった。そして三夫は、アヴィスのときと同じようにケータイのカメラでエリーザを撮りまくるのであった。

ボコッ!!!

エリーザが撮りまくっている三夫に拳骨をくりだした。

 「なんなのよ!この気色悪いやつは!!・・・・・てゆーか、なんであたしにアヴィスの居場所を聞くわけ?・・・・・まさか!逃げたわけ??」

エリーザは笑い気味で八志智に聞いた。

 「逃げたんじゃねぇよ!ちょっと分かんなくなっただけだ!!で、結局居場所分かんのか?」

 「フンッ・・・・そんなの分かるに決まってんじゃない!教えるわけないけど!」

腕を組み、少し偉そうにエリーザは答えた。

ガッ

 「さっさと教えろ!!」

エリーザの首元を掴み、八志智は真剣な眼差しで言った。



カシャカシャカシャッ

一方、アヴィスは相変わらず鎖を巻かれたままKJIに写真を撮られていた。

 「う〜ん・・・・・やっぱ何かが足りないな。・・・・・そうだ!血だ!!きっと鎖との相性はばっちりのはずだ。ちょっと持ってくるから待っててね。僕のドール・・・。」

そういうとKJIは包丁を台所にとりに行った。



ダダダダダダダダッ

 「ほんとにこっちであってんのかよ?!」

八志智は走りながらエリーザに聞いた。

 「失礼ね!!あたしが信じれないわけ?それなら帰ってもいいのよ?!」

エリーザは怒りながら言った。どうやら素直に案内しているようだ。

 「にしても・・・・まだ着かないのぉ?」

奈留は疲れてきたみたいだ。走るのが遅くなってきている。

 「まだ10分と走ってないのにダメな女ねぇ。あともう少しだからがんばりなさいよ!!」

そうエリーザに言われると奈留の足が少しだけ速まった。



 「ただいまぁ。」

KJIが包丁を持ってアヴィスのもとへ帰ってきた。

 「さて、どこから血を調達しようかぁ。やっぱ手首かな?結構たくさん出そうだし・・・・・。」

そういうとアヴィスの手を掴んだ。

シュッ

迷いなくアヴィスの手首を切ると、血を身体のいろんなところになすりつけた。

 「・・・・・まだ何か足りないなぁ・・・・そうだ!血の涙でも流してもらおうか・・・・・。」

そういうと、先程の血のついた包丁を手に取った。KJIは、包丁の鋭い方を下に向け、アヴィスの顔を上に向けた。強引に開けたアヴィスの瞳に血を落とすようだ。

ピチャ・・・・・・・・・ン・・・・・・・・・・・・・・・

バッ

左目に血が落ちた一瞬のできごとだった。いきなり鎖がKJIを襲い、動けないようにした。

 「なっなにがどうなったんだ?」

驚いたのか、KJIからは大量の汗が噴き出している。

 「御主も運が悪いやつだなぁ・・・・いや、わらわに会えたのだから運がいいのかもしれぬなぁ・・・クククッ・・・・」

眠っているはずのアヴィスが身体は立ち上がった。左眼はまるでの血ように紅く染まっていた。そして、もう一方の眼の右眼は左手で覆っている。

 「・・・・にしても、鎖はわらわの配下だぞ・・・・・・それも知らずに巻きつかせるなんていい度胸だな・・・・クククッ・・・・・」

鎖はどんどんKJIの首に巻きついていく。

 「・・・・にしても・・・・よくもこのわらわの身体を傷つけてくれたな・・・どうしてくれようか・・・・・」

KJIは少し息苦しそうにしている。

 「そうだ・・・・・・死ね」

ガッ!!!

そういうと一気に鎖が首を強く締め付けた。KJいの意識がなくなってきた。

 「なんだ・・・・そなた・・・・意外にもろかったのだな・・・・・・クククッ・・・・・・!!」

ジャラ・・・・・・・ン!!

いきなり鎖の締め付ける力が消えた。

 「くっ!・・・・・まだこの身体に慣れてないからか力が・・・・・・・・・まぁ良い!!次に目覚めたときはありとあらゆるものを破壊してやる・・・・・・・」

そういうと次第に左眼の色が紅から黄色に変わっていった。

ゆら・・・り ゆら・・・り

アヴィスの身体は今にも倒れそうだ。

 「あぶない!!」

いきなり八志智が部屋に入ってきて倒れかけたアヴィスを抱き留めた。アヴィスは眠っているらしい。

 「あ〜あ、こんなにぶちまけちゃって・・・・。」

エリーザに言われて八志智はあたりを見渡した。すると、壁や床、天井にまで血が付いていた。しかも近くにおいてある家具やカメラ、全てが何かに叩きつけられたように壊れていた。

 「こ・・・これって全部アヴィスが・・・・・?」

八志智は不安な表情でアヴィスの顔を見た。何事も無かったかのような寝顔だ。

 「そっそんなことより警察を!!」

奈留が慌ててケータイから通報した。



 (数分後に警察が来た。KJIはその場で逮捕され、俺らは事情をくどいくらいに聞かれている。そして、アヴィスは簡単な治療を受けている。よかった、そこまで大怪我じゃないみたいだ。そういえば、エリーザは警察が来る前にさっさと帰っていってしまった。面倒事は避けたいらしい。)

 「それじゃぁ、今日はもう遅いし帰っていいぞ。」

警官にそう言われて、寝ているアヴィスを担いで八志智たちはその場を後にした。



奈留たちと別れ、八志智は家に着くとアヴィスをベッドに寝かせた。明日は学校を休もうと考えながら、今日のことを考えていた。

 (俺たちが着いた時、KJIとかいう男は意識がなかったのはどうしてだろう?血が天井にまで付いたのはなんでだろう?)

などの事を考えながら八志智の心には大きな不安が残るのであった。




 第四話に続く・・・


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