第二話 出会い
こころコ 第二話 出会い
〜ある日曜日〜
(俺、永山 八志智はアヴィスとビスのいる生活と左眼のない生活に慣れてきてしまったのだった・・・・。)
パクッ
「あーーーーーー!?それ俺様のカレーまんだぞっ!何勝手に食ってんだよっ!!!」
(ビスか・・・・てか全部俺の買ったもんだろーーがっ!!)
「あー・・・・もー・・・・・何もやる気しねぇ・・・。アヴィスに代わってやるよ・・・。」
ビスはふてくされてそう言った。
グルンッッッ!?
ビスは首を大きく回し、瞳を緑から黄色に変えた。
「わーーーーーい!!コンビニいってきたんだぁーーー・・・・・・・あれ?・・・・アンまんさんは・・・・・?」
「え?・・・買って来なかったけど・・・・?」
「うそーーーーーーーっ!なんでかってこなかったのーーーーーーっ!!アンまんすきなのヤシチしってるでしょーーーーーっ!!!」
アヴィスは駄々をこねる子供のように怒った。
(いや、そんなの初耳だし・・・・・・・・。)
「ヤシチのバカーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
そういうとアヴィスは家を飛び出した。
(・・・・バカってアンまん買って来なかったくらいで・・・・まぁそのうち帰ってくるだろ・・・・。)
「拾ってください。」
ダンボールにはそう書かれて空き地の奥の方に置かれていた。
「こんなとこに・・・・・捨て猫かな?悪い人もいるんだなぁ・・・・・。」
一人の少年がそのダンボールに近づいた。
「スゥ・・・・スゥ・・・・・・。」
「・・・・・?・・・・寝息かな?・・・にしても大きいな・・・・・犬かな・・・・・・・?」
少年はダンボールを覗いた。
「!!!・・・・・・人っ!・・・・女の子っ!!」
その声が大きかったせいか、ダンボールで寝ていたアヴィスは目をこすりながら起きた。
「・・・・・・ここは?・・・・・・・そか、ヤシチとケンカしちゃって・・・・・・・。・・・・ん?」
アヴィスは少年に気づき、じっと見た。
「きょうがっこうないのに、どしてそんなかっこうしてるのぉ?」
アヴィスは少年に寝ぼけまなこで問いかけた。
「え?・・・あ!生徒会の仕事があって学校に行ったからなんだけど・・・・・。」
「あれ?びみょうにせいふくわたしのとちがう。・・・どして?」
少年はアヴィスにも色々聞きたかったが、される質問に答えることにした。
「制服って言うのは学校ごとに違うからじゃないかな・・・・・?」
「そ〜なんだぁ・・・・・てことはわたしとはちがうがっこうにいってるんだぁ!!」
「そぉいうことかな・・・。えと・・・・どうして、ここに君は寝てたの?」
「きみじゃないよぉ!アヴィスだよぉ!!」
「・・・・・じゃぁ、アヴィスは何でここにいたの?」
少年は少し首を傾けながら問いかけた。少し考えてアヴィスはなぜここにいるのか答えた。
「ヤシチとケンカしちゃったの・・・。で・・・・いえとびだしちゃったの・・・・・・。そしたらねむくなっちゃった・・・・・。」
「・・・ヤシチって?」
アヴィスは八志智に「天使のこと誰にも言うな」と言われたのを思い出し、言わないように説明することにした。
「・・・・・・・・えと・・・・・・・しんせきっ!!」
「へぇ・・・・親戚いるんだぁ。」
「そぉ!!・・・・しんせきっ!!」
アヴィスはホッとして表情をゆるめた。
グゥゥゥ・・・・・・キュルルルルゥ・・・・・
おなかが鳴って、アヴィスは少し顔を赤くした。
「・・・・・えと・・・・おなかすいちゃった。」
恥ずかしそうにアヴィスは言った。
「じゃぁ、ちょっと食べに行こうか。」
「ほんとにぃっ!やったぁーーーーー!!」
アヴィスは大喜びで少年に付いて行った。
「・・・・・・おいしい?」
おおはしゃぎで食べてるアヴィスに少年は問いかけた。
「うんっ!このハンバーガーっていうのおいしいっ!!ありがとぉ!・・・・・えと・・・・なまえ・・・・・・?」
「あ!そういえばまだだったね。勇・・・・西園寺 勇です。」
笑顔で勇は答えた。
「イサムだね!よろしく〜!!」
アヴィスも笑顔で返した。
勇はアヴィスの笑顔を見ると少し顔を赤くした。
「ごちそうさま〜〜〜!!」
アヴィスはそう言ってお辞儀をした。
「じゃあ、お家まで送っていくよ。」
勇はそういうと席を立った。
「・・・・ムゥー・・・・おうちにはまだかえりたくない!!」
アヴィスは少し不機嫌になった。
「・・・・じゃあ、食後の散歩でもしよう。」
「わーーいっ!それならするーーーー!!」
アヴィスの機嫌が戻り、二人はお店を後にした。
二人は近くの公園のブランコで座っていた。するとアヴィスが話し始めた。
「・・・・・ヤシチにわるいことしちゃったかも・・・・ううん・・しちゃった・・・・・・どうしよぉ・・・・。」
気が付くと、アヴィスは泣き出しそうになっていた。
「大丈夫だよ。謝ればきっと許してくれるよ。」
勇はアヴィスの目を見てやさしくそう言った。
「・・・・・・・ほんとにそうかな・・・・・?」
「そんなに悪い人なの?」
アヴィスは首を横に大きく振った。
「ヤシチはわるいひとなんかじゃないよぉ!!」
「なら大丈夫だよ。アヴィスもその人のこと信頼してるみたいだからね。」
「うん!!」
アヴィスは涙を拭き取りニッコリ笑った。
「・・・・・・おー・・・・い。アヴィスー・・・・・。」
八志智の声が遠くから聞こえた。アヴィスはその声が聞こえた方に言葉を返した。
「ここだよぉーーーーーーーー!!!」
アヴィスの声に気づいたのかヤシチの声がだんだん近づいてきた。
「じゃあ、わたしかえるね!またね、イサム〜〜!!」
そう言って手を横に振りながらアヴィスは八志智のとこまで駆けて行った。
「またね。」
勇は笑顔で返し、後姿を見せて帰っていった。するとアヴィスの顔が薄い朱色に染まった。
「ハァ・・・・ハァ・・・・どこまで行ってたんだ・・・・探したぞ!!・・・・・・・ん?」
八志智は勇の方をじっと見た。
「・・・ヤシチ?・・・・しってるひとだったの?」
「知らねぇけどあの制服って超有名な私立校のじゃねぇかっ!アヴィスどうやって知り合いになったんだよっ!!」
「・・・え・・・ふつうにだけど・・・・。」
(ありえねーーーーーーーーーーーーー!!てかこの女自体ふつーーじゃねぇーーーー!!!)
「あ!そういえばアヴィスの好きなアンまん買っといたぞ。」
「ほんとにっ!やったぁぁぁーーーー!・・・・・・・・!!」
バキュゥゥ・・・・・・・・・・・ンッッッ!!!
いきなり銃声があたりを包み込んだ。
アヴィスの足元には銃弾が地面にめり込んでいた。
「チッ・・・・はずしたわね・・・天使の反応があったと思ったらアヴィスだったようね・・・・」
空から黒いアゲハ蝶のような翼を持った金髪でツインテールの女の子が言った。
「誰だあいつっ!?てかなんで銃なんか持って・・・・・?」
「あのこのなまえはエリーザ・・・・おなじ天使なの・・・・。」
「じゃあ何で撃ってきたんだよ!!」
「力をうばいにきたんだとおもう・・・天使どうしの力のうばいあいはフェニックスにもきょかされてるから・・・・。」
アヴィスは必死に八志智に説明した。
「なにごちゃごちゃ言ってんのよっ!さっさとその力もらうわよっ!!」
銃を構え、エリーザは言った。
バサッ!!
アヴィスは翼を広げ、式服に着替えた。
そして、持っていた十字架の鍵を大きくし、剣のように見立てた。
「そんなので私の攻撃を防げるわけ?・・・・あんたの能力そんなんじゃないでしょ?・・・私やるなら本気でやりたいの・・・・。」
エリーザはそういうと何かを待つかのように銃を下ろした。
「うぅ・・・・わかったよぉ・・・・。」
カシュゥ・・・・・・・・・ン
アヴィスは十字架の鍵を銃のように変形させた。どうやらアヴィスは相手の武器をコピーできるらしい。
「そう・・・・・・・・それでいいの・・・・・・。」
エリーザは満足気に銃を構えた。
バァ・・・ン バンッバンッバンッ
バキュウゥ・・・ン
銃声があちこちに響き渡る。しかし聞こえている人間は八志智だけのようだ。
「アヴィス・・・・・そろそろ・・もらうわっ!!!」
そういうとエリーザは銃の標準をアヴィスに絞った。
バァァァ・・・・グルン・・・・ン
「終わったわね・・・・・・・。」
銃撃のせいかあたりにはすごい煙が立ちこもっていた。
「・・・・・・・!!」
エリーザは煙の中からうっすら見える人影を見て驚いた。
「ビス、ただいま参上!!」
ビスは変形する前の鍵を前に構えて銃弾をしのいでいた。
「ったく・・・・戦うなら俺様にかわれよな!!・・・・・・・・じゃ、そろそろ再開するか・・・・。」
そういうとビスはどこから糸を取り出し、一瞬にしてエリーザの周りを覆った。
「俺様の能力、エリーザも知ってるよな!!・・・・糸で相手の動きを一定時間封じ込める・・・ってことでこっちはムシャクシャしてんだ攻撃させてもらうぜ!!」
(ジャイ○ンみたいなこと言ってるーーーーー!!てか俺のことお構いなしで戦ってるしーーー!!)
八志智は少し離れたところで様子を見ていた。
グラッ・・・
ビスがエリーザに攻撃しようとしたとき体がふらついた。その瞬間にエリーザは逃げ出した。
「今日はこれまでにしといてあげるわ!!次のときはこんなもんじゃないんだから!!」
そういってエリーザは空高く飛んで行った。
「くそっ!!逃しちまった・・・・にしても左眼の調子悪かったなぁ・・・慣れてねぇせいかぁ・・・・?」
ビスはそう言うと八志智の方に降りていき、翼をしまった。
「・・・・・腹減ったんだけど・・・・ちゃんとカレーまんも買ってきたんだろうな・・・?」
ビスは少し照れくさそうに言った。
「ちゃんと買ったよ。」
「うぉーーーーーーしっ!それでこそ契約者だぜ!!さっさと帰って食うぞーーーーーーー!!」
ビスは八志智をおいて家まで走り出した。
(はえぇーーーーーーーー!!・・・・てかカレーまん自分で持ってけよっ!!)
八志智は走って追いかけた。
家の数メートル前でビスは立っていた。
「ハァ・・・ハァ・・・・おまえ走るのはえぇよ・・・・・・・・!!」
ふと気づくとビスは目が丸く、顔がこわばり、身体全体がガタガタと震えていた。
八志智はビスが見ている方を恐る恐る見た。すると家の前に黒髪の眼鏡をかけた男の人がいた。
「大丈夫か?・・・・あの男がどうかしたのか?」
「な・・・・でも・・・ねぇ・・・。とに・・・・かく・・・・い・・・え・・・には・・・・い・・・て・・から・・・・・・だ・・・・・・。」
ビスは震えながらそういうと八志智の服を掴みながら家まで少しずつ歩いて行き、玄関に入ると呼吸を整え始めた。
家の前の男は奇妙に笑いながらこう言った。
「見つけた・・・。僕のドール・・・。」
第三話に続く・・・