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こころコ  作者: Fill
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第八話 Snow White

今回は短縮しすぎたかも。

反省してます。

    こころコ 第八話 Snow White



 「じゃじゃーーん!!見てみてこの衣装!テーマは【和】!近頃なにかと流行ってるからねぇ!!」

奈留とビスと未来が衣装を着て、きれいにラッピングされたクッキーの袋を持っている。

 「なんでこんな格好してクッキー売らなきゃいけねぇんだ?」

ビスが嫌そうに衣装をばたつかせた。

 「だってコスプレ喫茶は人数的に無理かなぁ・・・って思ったからクッキー販売にしようって決まったじゃん!」

奈留がうなずきながら言う。

 「誰が決めたんだよ!そんなこと話し合った覚えないぞ!それに、何でコスプレなんだよ!普通の制服でいいじゃん!」

ビスは怒り気味で言った。

 「分かってないなぁ。ふっつーーーの制服で売ったって面白くないし、目立たないじゃない!!コスプレしてれば面白いし、目立つから人が集まってくるじゃない。そしたら自然と売り上げもアップするじゃない!!」

奈留はガッツポーズしている。

 「へいへい。」

ビスが二回返事する。

 「けっこう綺麗な衣装ですわね。」

アリスが黒猫のようなぬいぐるみの姿をしている。

 「ところで、おまえ、なんでぬいぐるみの格好なんだ?」

八志智が指差して言った。

 「午後から劇をするとお聞きしましたので。劇のような非現実的なものは嫌いですわ。見たくもありません。とくに姫や王子が出てくるものは・・・。ところで、この黒猫のぬいぐるみ、御主人様の妹様が作ったんですの?とても綺麗ですわ!このしっぽの長さがすばらしいですわ!」

アリスがしっぽを振り回している。

 「それ・・・・・・黒豚らしいんだが・・・。」

 「・・・・今、なんと?」

アリスが聞き返した。

 「だから、黒豚。」

 「・・・・・・・・・・・・・・こんな小さな鼻でスマートボディの豚がどこにいるんですの!!しっぽなんて明らかに猫ですわよ!!製作者絶対、頭おかしいですわ!!!」

アリスが大声で怒鳴った。

 「俺にそんなの怒鳴られても、妹のセンスだし・・・。」

八志智がぽりぽりと頭を掻いている。

 「センスの問題ではありませんわ!!頭の問題ですわ!!」

アリスは怒鳴り続けている。

 「そういえば、うちのクラスの劇ってなんだっけ?」

奈留が話しを逸らした。

 「白雪姫だろ!アヴィスが白雪姫!だから、午後からはこの身体使えねぇんだよなぁ・・・。なのにこんなクッキー売りなんて・・・・俺にも自由が欲しいなぁ・・・。」

ビスの表情が暗くなった。

 「王子様役は如月君だよね!」

奈留が宗助の方を見た。

 「ああ・・・。」

宗助はあまり乗り気じゃない。



 【ただいまより、2年A組による白雪姫を行います。】

体育館の中には大勢の人が集まっていた。

 【むかし、むかし。あるところに白雪姫という美しい女の人がいました。・・・】

ナレーションが始まり、アヴィスの演技が始まった。

 「ところで、奈留はナレーターのようですけど、御主人様は何の役ですの?」

ぬいぐるみの足をバタつかせながらアリスは言った。

 「どうせ、幕を開いて、閉じるだけの雑用だよ!!」

八志智にはアリスの台詞が嫌味ったらしく聞こえたようだ。

 「ところで、劇は見たくなかったんじゃないのかよ!」

八志智はイライラしている。

 「ええ、そうですわ。でも、気になることが・・・。」

アヴィスの方を見た。

 チラッ

今度は八志智の左眼を見た。

 「なんか、顔についてるか?」

 「いえ、なんでも・・・。」

アリスは眼を反らした。

 「にしても・・・・アヴィス、元気ないですわ。」

 「えっ!」

そう言われて、八志智はアヴィスの方を見た。

 「いつも笑顔だけど、今日は寂しげですわ。」

 (たしかに、アリスの言うとおり、少し寂しそうだ。なんでだろう?・・・・・!!)

八志智は何かに気付いたようだ。

 「アリス、頼みたいことが・・・ゴニョゴニョ」

八志智は何か思いついたことをアリスに話した。



 【小人たちは毒リンゴで倒れた白雪姫を見つけ、大慌てです。】

 「そろそろ、如月君の王子様の登場ね!」

ナレーションを一段落終え、奈留が部活用のビデオカメラの確認をした。

 「よし!ちゃんとさっきの場面も撮れてたし、ビデオの残量もまだ余裕!!ラストスパートは絶対完璧に撮ってやる!!」

奈留は気合充分だ。

 【そこへ、王子様がやって来ました。・・・?】

ナレーションの後、すぐに舞台に出るはずだった王子様がなかなか出てきません。

 「なにして・・・・・!!」

 コツコツコツ・・・

舞台裏から出てきたのは宗助ではなかった。

 「あの人って・・・。」

奈留は見覚えがあるらしい。

舞台の役者たちは王子様役の人が急に変わったのでとても困った顔をしている。アヴィスは横たわって目を瞑っているので何が起こったのか分からないようだ。

 「ごめんな、如月。」

舞台裏で八志智が宗助に向かって謝った。

 「べつに・・・やりたくなかったし。それより、あいつ誰?」

 「ああ・・・あいつ・・・。」

八志智は少し寂しそうな顔をした。

 「あたしが連れてきたのよ!てゆか頼まれたの!!」

舞台裏の小窓からエリーザの姿が見えた。

 「一応、この前のワサビロールの貸しを返しただけ!それだけだから!次からは敵として戦うんだから、覚えときなさい!!」

エリーザは、ビシッと人差し指を突き出した。

 「でも、これでアヴィスが笑ってくれますわ。・・・つまり、わたくしのワサビロールのおかげですわ!オーホッホッホッ」

アリスはいつもより小さな声で笑った。

 「キスするまねするだけだからじっとしててね・・・・ボソッ」

アヴィスの耳元で誰かが囁いた。そして、そっと頬に触れた。

 パチリッ

アヴィスが目を開くとそこには勇の姿があった。

 「・・・?あ!えと、えと・・・・王子様ありがとうございました。だっけ?」

アヴィスは突然勇が現れたので台詞を言うのに戸惑ってしまった。

 「あ〜あ。演技力に欠ける劇になってしまいましたわね。」

アリスがガッカリしている。

 「でも・・・・あいつ楽しそうだな。」

宗助がアヴィスの顔を見て言った。

 「ええ・・・そうね。・・・・・・でも、そろそろ危ないかも・・・・ボソッ」

アリスが何か呟いた。

 



 第九話に続く・・・

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