歌い手の門を叩きました。
思いつきで描いた小説なのでチグハグなところや実際のやり方など違いがあるかもしれません。ご了承ください
カタカタカタと響くキーボードを叩く音。
目を輝かせながらPC画面に映された説明文と区切られた空白に説明を書き込み、その下にあるタグという欄にタグを付け更にその下の『投稿』というボタンにカーソルを合わせクリックする少年。
少年は投稿が完了したことを確認し『動画を投稿しました‼︎是非見てください』という文と自分の『動画』のURLを添付しTwitterでつぶやくと満足げな顔をしPCをシャットダウンした。
少年の名はーーー彩野 玖音
17歳のどこにでもいる高校2年生。
そして今あらゆるメディアに注目されている動画投稿系サイト『ニコニコ動画』にアップロードされている『歌ってみた動画』にハマり、魅了され、たった今歌い手という門を叩いた少年。
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ついに憧れてる人たちが歩んできた道を自分が歩み始めたことに喜びを感じていると急に電話がかかってきた。
iPhoneを見てみると西條 玲というクラスメイトで親友の名前が表示されており、画面をスライドし電話に出てみると
「もしも『玖音!!とうとう上げたのか!!』
「あ、あぁ………」
何事かと思い電話を受けるや否や玲は怒鳴り声にも似た声に思わずiPhoneを耳から離してしまう。
『なんだ。玖音お前普通だな。歌い手になりたいって言ってた割には。』
「いや、さっきまで嬉しすぎてぼーっとしてた。お前の怒鳴り声で興奮はどっかに行ったが……」
『すまんすまんwとうとう玖音が歌ってみたをうpしたか〜』
玲がしみじみといいだした。それも無理はない。
玖音は玲に前から相談していたのだ。歌い手になりたいと。
そのためにはどんな機材が必要なのかなどその他諸々を。
それを聞いた当初の玲は驚きすぎて口を開けたまま硬直していたが数分後涙を流しながら『俺にできることならなんでもやったるで!!』と豪語した。
だから思うところがあるんだろう。
「あぁ、玲のおかげだよ。ありがとな。」
『おう!感謝しろ!』
「感謝してるよ。歌い手に必要な事とかどんな機材がいいかとか調べて教えてくれたのは玲だから」
『よせよ!改まって照れるじゃないかよ!……///』
自分で感謝しろって言っていたくせにどっちだよと玖音は電話越しの親友に苦笑を浮かべていた。
『じゃあ、これから頑張れよ!久遠 零!」
久遠 零というのはニコニコ動画で玖音が使っているユーザーネームで漢字は違うが自分の名前と玲の名前をつなげたもの。
大層な意味はないが強いていうなら『歌ってみた動画をあげられたのは玲という協力者が居たからできた事。玲への感謝の気持ち』という思いを込めて付けた名前だった。
もちろん恥ずかしくてそんな事は玲に話せてないが。
「あぁ頑張るよ。じゃあな」
そういうと玖音はiPhoneを閉じて寝っ転がった。
次第に玖音の口元がニヤつきはじめ、また暫くは嬉しさの余韻に浸るのであった。
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最後までありがとうございました。