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1-11 神代憑依

 ......くそっこいつらは何体いやがるんだ......


 俺はいま、骨どもに囲まれていた。ドレッドが連れて行かれた時、地中から生えてきたのはどうやら奴らの腕だったらしい。


 斬っても暫くしたらくっついて再生しやがるし、数は多いしでいま八方塞がりな状況だ。どうしたら再生しなくなるのか......あ、剣に炎を纏わせればいいかもしれない。よし、やってみるか。


「【魔力付与(エンチャント)】」


 剣に青い炎が纏われる。試しに斬ってみたところ、骨が再生する兆しはみれなかった。これなら敵を倒せる。早めにドレッドの元へ行けるはずだ。


 しかし現実はそう甘くはなかった。俺が3体目の骨を斬り捨てた頃、遠くの方から物凄い爆発音が聞こえた。あれは......ドレッドがいる方向じゃないか!


「じゃぁぁぁまぁぁぁだぁぁぁぁ!!!」


 目の前を塞ぐ2体の骨を薙ぎ払い、【加速】を使い駆ける。一秒でも早く、ドレッドの元へ辿り着くために。


 ようやく目的地に着いたとき、俺の目に写ったのは信じられない、否、信じたくない光景であった。


 地面は抉れ、水浸し。壁は穿たれた後がありそして......人影が一つ。


 だがしかし、それはドレッドではなかった......


 そこには、ドレッドの持っていた杖を持ち、静かに佇む異形の骨がいた。


「......ドレッドをどうした?」


 答えが魔物から帰ってくることはない。そうわかってはいながらも、ドレッドが生きていると信じ質問せざるをえなかった。だから、答えが帰ってきたときは驚き、そして絶望した。


「ドレッド?......ああ、あの魔法使いの小僧か。それなりに強かったぞ。だが、所詮はそれなりだ。私を相手に魔法戦で挑むとは......あ、そうそう。杖を貰ったから、代わりに痛みを感じないように消し飛ばしてやったぞ。」


 しわがれた声で、まるで感謝しろ、と言わんばかりに返答してきた骨。


「死んだ......?ドレッドが、死んだだと?」


「ん?だから、わしが殺したと言っておるではないか?まだ接近戦で挑んでくれば勝算があった“かも”しれぬがのぅ......愚かな小僧じゃった。相手が何者で、何が効き、どうすれば勝てるか、などを碌に考えずに己の知識のみで判断しようとしたのだから......お主もここでワシに挑んで消えるか?それとも命乞いでもして次の部屋に進むか?......まぁ次に進んだところで勝てるかはわからないがのぅ......」


 ドレッドが.....死んだ......俺の耳にはもう奴の言葉は入ってこなかった。


 ただこの胸の内で膨れ上がる感情は......憎悪。


「憎い。憎い。貴様が憎い。我求むるは殲滅の力。祈りに答えよ我等が神よ!「【神代憑依(ゴットディペンデンス)】!!!」


「神代憑依じゃと......!?しかしまだ憑依(ディペンデンス)の状態か......ふむ、このままではこやつの身体が壊れるのぅ......よし、ではこうするか。」


「なぁにをごちゃごちゃいっているぅぅぅ!ドレッドの、皆の恨みぃ!俺の想いを受けてみろぉ!【混沌速撃(カオスザッパー)】!!!」


「これはちとまずいのぅ......【聖壁】【聖盾】そして【聖域】」


 聖魔の前に、光の壁と盾が無数に展開し、聖魔を中心に魔法陣が展開される。


 敵の凶刃の前に割って入る壁。その護りは剣速を緩め、盾によって完全に防がれた。


 こんなにも素早く防御魔法を発動できたのは、聖魔の技能【高速詠唱】によって詠唱の部分を短縮できたからこそできた芸当である。


「まさか防がれるとはなぁ.....だがまだ俺には貴様を倒す手ならいくらでもある。そう、この神の力がある限り......」


「その驕り、年長者 (だからまだ召喚されて一日ry) として正してやらないとなるまいのぅ......」


「ほざけぇぇぇっ!貴様に何ができる?ただ防ぐことしか能のない能無しがぁっ!」


「......わしに脳はないんじゃがなぁ......まあ見ておれ。今に始まるさ。」


 そう言い終えるや否や、右腕を上げる聖魔。そして、発動の言葉(キー)を紡ぐ。


「除け、降ろせ、滅せ。彼の者に宿りし邪悪な(かみ)を!【絶対領域(サンクチュアリ)】!」


 魔法陣の円周上に、無数の柱が聳え立つ。そして......急に震え出したかと思うと、中心に向けてもの凄い速さで収束してきた。無論、聖魔は【瞬光】で魔法陣から既に脱出している。


 急なことで、呆然としていた憑依体(たいちょう)。咄嗟に魔力を纏おうとするが、絶対領域によって魔力は霧散してしまった。


 柱に捕縛される憑依体。そしてまた柱が震え出したかと思うと.....次の瞬間、光り輝き爆発し、そこに残るはボロボロになった元の隊長の姿であった......



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