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俺が魔法少女ルナだ!  作者: みずきなな
第二話 敵と戦うだけが戦いじゃない!俺の敵は…敵は?
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バトルⅡ-Ⅱ

 ルナは少年少女に質問をした。


「えっと…最近の怪人って立ち読みとかするものなのか?」

『…さ、さぁ…僕は文字が読めないからなんとも言えません』


 そこで怪人とはまったく関係ない事をふと思い付くルナ。


「おい…」

『はい?』

「何で字が読めないのにイエローページの俺の名前が読めたんだ?」


 ルナの素朴な疑問です。


『えっ?ああ!えっと…僕ってカタカナは読めるんですよ~』

「そ、そっか…だからルナだけ読めたのか?」

『はいっ!』


 ルナの眉間の血管が浮いた。


「……おい」

『は、はい?』

「お前はイエローページっていう表紙の文字が読めないって言ったよな!あれはカタカナだ!そしてな、イエローページに載っている俺の名前は漢字でルナだ!」


 ルナの鋭い突っ込みに、少年少女は気まずい表情で視線をはずす。


『な、何の事でしょうか?き、記憶にございません…』

「てめえ政治家か!っていうか、本当に全ての記憶を飛ばしてやろうか?おい?」


 ルナの眼が紅く光った。ように見えた。その目つきと言葉に震える少年少女。ぶるぶると震えだす。


 しかし、こんな事をしている暇がないのをお二人はわかってますか?とりあえず怪人をどうにかして下さい。(byナレーション)


『ら、らしいですよ?』

「ナレーションに反応するな!」

『えっ?ダ、ダメでしたか?』


 ルナは溜息をついて項垂れてしまった。


「もういい…お前を相手をするだけ面倒だ…で、あいつって倒すべきなのか?」


 そう言うと魚頭怪人を指さす。


『も、もちろん!怪人ですから!』

「いや、どう見ても悪い奴に見えないぞ?容姿以外はな…」

『いいえ!容姿が悪いは勿論ですが、匂います!』


 確かに…本屋の中は魚臭かった…

 でも、こんなに魚臭いのに何で誰も反応しないんだ?いや、あまりの変な出来事に反応出来ないだけか!?なんて不思議に思ったルナ。

 確かに、本屋のお客も店員もまったく怪人には反応していなかった。


 しかし…あの立ち読み怪人…マジで悪い奴に見えないな…


「おい、ちょっとそこで待ってろ」

『えっ?』


 ルナは少年少女を残して怪人の元へ。


 少年少女は、ぽけーとルナを見詰めていた。すると魚頭にルナが声を掛けるのが見えた。

 怪人とルナが何やら会話をしている。会話の内容はまったく聞こえなかったが、魚頭はぺこりとルナに頭を下げると本を片手にレジに並んだ。

 レジに並ぶ怪人とはまた滑稽な姿である。それに驚かないお客も店員もすごい。

 おまけにレジで「Tカードはお持ちですかとか?」とか、ちゃんと聞いてた。

 怪人は「持ってません」ときちんと日本語で答えてレジで会計を済ませた。

 紙袋に入った本を片手に出口へ移動する魚頭怪人。

 そして、ルナに向かって手を振りながら店を出ていってしまった。

 笑顔のルナが少年少女の元へと戻ってくる。


「いや、あの魚頭怪人さ、普通に良い奴だったぞ?日本語も通じたしな。って?おい?どうした?」


 ルナは少年少女の違和感に気が付く。さっきと何かが違う…と思ったら少年少女は目を輝かせていた!ルナを尊敬の眼差しで見た!


『すごいです!どうやってあんな凶悪な怪人を素直に撤退させる事が出来たのですか!』

「えっ?い、いや、立ち読みはよくないですよ?もし、その本が気に入ったのなら買ったほうがいいじゃないんですか?その本って結構やくに立ちますから。って言ったら素直に買って行っただけだけど?」

『す、すごい…交渉のテクニックが並じゃないです!流石です!世界でも通用します!』


 あまりの少年少女のハイテンションさに少し引くルナ。


「いや、いや待て、さっきの俺の会話のどこにテクニックがあったんだ?」

『もうっ!謙遜しちゃって!無血開城とは流石ですよ!』

「え、えっと?その例はおかしい気がするが…ってそこまで凄いか?うーん…調子狂うなぁ…」

『すごいってもんじゃないです!ルナさん流石です!』


 ちょっと照れて顔を赤くするルナ。褒められてちょっと嬉しかったらしい。

 ブイーブイーっと何かの振動音が聞こえた。すると、少年少女はどこからともなく携帯みたいな機械を取り出す。


『おお!メールがきましたよ!怪人がこの世界から撤退したそうです!わー!すごい!』

「……えっと?撤退でも怪人を退治した事になるのか?」

『はい!ですからもう今日は2匹ですよ!すごいです!流石です!』

「…いや…俺は怪人を倒したっていう実感がないんだけど?ゴキも弱かったし…」

『もうっ!そんなに遠慮しなくていいですよ?』

「いや…遠慮してないし…」

『ああっ!こんな素敵なルナさんにだったら僕の全てを捧げちゃってもいいくらいです!』


 マックスハイテンションな少年少女は、周囲の目も気にせずに話まくりだ。


「お、おい!声がでかいって!もう少しボリュームを下げて話せよ」

『もうっ!僕の全てを捧げちゃいます!』


 さらに大声で話しをする少年少女。このボリュームは確実に周囲に聞こえているレベルだ。


「だ、だから声が…」


 ルナはゆっくりと周囲を見渡した。


 か、囲まれているだと!?俺たちは野次馬に囲まれている!

 そして視線が!すごい量の視線が俺に突き刺さる!見ないでくれ!お願いだからっ!

 おまけにひそひそ声まで!聞きたくない!聞かない!聞いちゃ駄目だ!


「て、撤退するぞ!」

『へっ?ひゃっ?』


 ルナは少年少女を連れて、いや、強引に抱えてその場から撤退した!


 自動ドアオープン。そして店員の声「ありがとうございました~」

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