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俺が魔法少女ルナだ!  作者: みずきなな
第一話 魔法少女誕生?
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バトルⅠ-Ⅱ

 魔法少女は逃げ出した!

 ザザザザザッ(効果音)ってリアルでそんな音がする訳がない。

 しかし、逃げ出したのは確かだ。魔法少女は少年を脇に抱えて公園のマラソンコースを移動する。


『何で逃げるんですか?』

「馬鹿! 流石にあそこにいたら恥ずかしいだろ!」


 真っ赤な顔の魔法少女。


『お話は?』

「移動してから聞く!」


 魔法少女は人々の視線を一身に受けつつも、中央のでっかい池の周囲にあるマラソンコースをかけ足で半周する。


「あそこでいい!」


 そう叫ぶと、前方から見えてきた公衆トイレの男子へと突入した。


「ひゃっ!」っと中で用を足していた若い男性が動揺しする。

 途中なのにも関わらずチャックを慌てて上げる。

 同時に「うぎゃぁ!」という男性の叫び声が上がった。

 ああ、痛いですよねそれ……byナレーション。

 そんな男性を無視して魔法少女は個室へと入った。


 しかし、貴方は今は女ですよ? いいのですかここで? なんて、ナレーションの私の声なんて聞こえている訳がないですね。


 魔法少女は何も気にせずに個室の鍵を閉めた。

 そして、洋便器の蓋を閉めるとその上に少年をちょこんと置く。


『えっと……』

「よし、ここなら人は来ないだろ」


 確かに個室に人は来ないでしょうね。


『え、えっと……何故トイレなんでしょうか?』

「意味はない」

『は、はぁ?』

「という事で、そこに正座しろ」


 腕組みをして魔法少女は少年へ命令した。


『へっ?』


 少年は苦笑しつつ自分の下にある便器を見る。

 まさかここに?


「そうだ、お前が乗っているその便座の上に正座しろって言ってるんだ!」

『いや、言ってる意味がわかんないです……あはは!』

「笑ってんじゃねーよ! 早く正座しろよ! ぶっ殺すぞ!」

『は、はいっ』


 すごみを効かせた魔法少女。少年は震えながら便座の上に正座した。


「さて……俺がどうしてこんな姿にされて、あんな虫みたいなのと戦わされたのかを説明してもらおうか?」


 少年は困り果てた表情をしている。


『ど、どこから説明をすれば良いのでしょうか?』

「最初から全部だよ!」

『ひぃぃ!』


 少年は怯えている。


「早くしろよ!」


 しかし、少年は怯えている。


「おい……」


 しかし、少年はまだ怯えている。

 ……イラッ!


「お……お米チップス!」


 しかし、少年はまだ怯えて……「ストップ!」いるって……ナレーションを止めないで貰えますか。

 俺はお米チップスと言っただけだぞ? なのに何で怯えるんだよ。

 ……私の気分ですが何か。

 気分かよ!

 とりあえず、ナレーションに突っ込みのはやめてもらえますか?

 お前がうざいからだろうが!


『え、えっと? どうかしましたか?』

「どうかしてるよ!」

『し、してるんですか!?』


 とりあえずナレーション!

 はい?

 イラッとするナレーションはやめろ。

 私としてはナレーションに突っ込むのをやめて欲しいです。ってさっきも言いましたね。


『あ、あのぉ?』

「うるさい! ちょっと待ってろ!」

『ひっ』


 すこぶる理不尽な扱いを受ける便座の上の少年。

 と、とりあえず、そういう事だかんな。

 わかりました。善処します。

 と、落ち着いたのか、私にちょっかい出しても意味ないと悟ったのか、今度は少年の瞳を睨む魔法少女。

 単なる八つ当たりにも見えなくない。


「うるせぇな……」

『ひっ?』


 話してもないのにうるさいと言われ、やっぱり怯えている少年。

 本当に理不尽な魔法少女だった。


「じゃあ、俺が質問するから答えろ」

『は、はい?』

「はい? っじゃねぇ! 質問するからちゃんと答えろって言ってるんだよ! それくらい出来るだろ!」

『は、はい! 頑張ります!』

「よし、じゃあまず俺を魔法少女に選んだ理由は?」

『理由?』

「そう、理由だよ…」

『……』


 少年は苦笑した。


「おい、まさか理由が無いとか言わないよな?」


 魔法少女は手を胸の前で組むと【パキパキ】と指を鳴らす。


『あっ! あります! そうですよ! ありますよ! え、えっと……ある本を参考にしました!』

「本だと? 俺が載ってる本なんてないだろ?」


 魔法少女がそう言うと、少年はごそごそと何処からともなく一冊の本を取り出した。


「ちょ、ちょっと待て……」


 それを見た少女は驚愕する。それはそうだ。その本は普通は人選で参考にする為に使う本ではない。


「イ……イエローページだと?」


 少年が取り出したのは日本語で言う電話帳だった。


『イエロー? ああ、この本が黄色いからそう言うんですか?』

「表紙に書いてあるだろ! ここだよ! ここにイエローページって書いてあるだろ!」


 魔法少女は真っ赤な顔でイエローページの表紙をばんばんと叩く。


『あ、僕はこれが何て書いてあるか読めません』


 笑顔で答える少年。いらっとする魔法少女。


「じゃあ、なんで俺と会話が出来るんだよ」

『えっと、翻訳機がこの歯に……このはひないひょうされてはして』


 そう言いながら少年は自分の歯を指さす。


「何を言ってるのかわからん!」

『あっ! えっと……翻訳機が歯に内蔵されているのです』


 そう説明する笑顔の少年。少女は溜息をついた。


「お前はどこの近未来からやってきたんだ?」

『えっと? 僕が何処から来たかですよね? そこはまだ未設定でして……』

「未設定!? こ、こらっ! お前はアドリブって言葉を知らないのか? 未設定ならアドリブを効かせろよ!」

『えっ? あっ……ごめんなさい……』


 つくづく呆れる魔法少女。とうか、未設定でいいのでしょうか? 作者さん。


「……で? そのイエローページを見て、何で俺が選ばれたんだ?」

『えっと、適当に開けて……女性らしい可愛い名前を探したら……ですね』

「俺の名前を見つけたのか?」

『はい』

「ほう……でも、お前は少女を捜していたんだよな?」

『はい! だからルナさんを選びました!』

「なるほど……」

『ルナって名前だったし、まさか男性だとは思いませんでした!』

「くっ……」


 少女は頭を抱えた。


『月って書いてルナって読ませるなんて……なんて中二病的な発想の名前なんでしょうね? あはは!』


 本気で笑う少年。しかし少女は真っ赤な顔をしながらも我慢した。


「こ、ここは否定できない……お前の言う通りだから怒れないよ……実は俺もそう思ってるんだ……マジ……マジで俺の親は何でこんな名前を俺につけたんだよ! うぅ……」


 がくっと肩を落とした少女の肩に手をぽんぽんと当てる少年。


『大丈夫ですよ。きっと良い事がありますから。気を落とさないで下さい』


 少女の肩が震える。


『あ? もしかして僕ってすっごく良いこと言いました? 感動しました?』

「誰が感動するって?」

『えっ? どう考えてもルナさんが僕に感謝を……』

「自分の名前を女と間違えられて、あげくにこんな姿にされた時点で全然良い事が起こってねーじゃねーかよ! それで感謝とかあるか!」

『ひぃぃ!』


 殴られるかと思った少年は頭の上を両手で覆った。

 しかし、少女は殴る寸前で手をとめた。


「くっ……それでも名前は俺の親に責任があるからな。女と間違ったのは仕方ない事にしてやるよ」

『そ、そうですよね?』

「けどな? そこを突っ込む前にな?」


 どうやら、少女の怒るポイントが違ったらしい。

 少女の背景に再び火の手が……(以下省略)

 こんな場面で次回へ続く。

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