バトルⅣ-Ⅳ
赤いメイド服の怪人は【ヤァァ!】と掛け声と同時に鉄球をルナに投げつけた!
「そんな攻撃は俺には効かないぜ!」
ルナは鉄球があたる瞬間に、全力を込めた拳を繰り出す!同時に《ガーン》と激しい金属音が部屋に響いた。
《ドシャーン》と音がまた部屋に鳴り響くと同時に、部屋が揺れる。
鉄球はルナによって弾き返されて壁にめり込んでいた。しかし…
「痛てぇ!ぐがぁぁあぁぁ」
右手の拳を押さえて全力で痛がるルナ。見ればルナの拳は血まみれ。右拳は凄まじいダメージを受けた!(自業自得)
「やっぱり鉄球に拳は無理があったぁぁっ!ぐうう」
そりゃ50倍の強さがあっても、向かってくる鉄球に拳しようなんて無理があります。
【えっ?わ、わ、私の攻撃が?いとも簡単に弾かれた?】
怪人の女の子はペタンと両膝を同時につくように崩れ落ちた。
「えっ?あっと…」
これって俺の勝ちなのか?ま、まぁいいや…
「お…俺の勝ちだな!」
《パララララーン!》(効果音)
ルナはメイド怪人少女を捕まえた!28の経験値を得た!
「右拳が死んでしまった…が…どうしよう」
ルナは座り込んだ怪人を見る。目が合った瞬間、怪人の女の子はブルブルっと震えた。
【た、助けて下さいっ!何でもしますからっ!お願いします】
あれ?さっきの勢いからして【貴方に捕まるくらいなら自害します!】くらい言うかと思ったら、普通に命乞いしてきたジャマイカ。
「えっと?助けて欲しいの?」
【は、はい…】
ルナに捕まった赤メイド服の女の子怪人は怯えて震えている。
しかし、考えてみればこの城は王子以外の全員がなんでメイド服なんだ?あの王子はそんなにメイドが好きなのか?こうも全員がメイド服だと、誰が誰だか解らなくならないのか?
ここでルナは閃いた!
そうか!俺もメイド服を着ればいいんだ!メイド服だ!俺がメイド服を着れば、きっと城の内部でも怪しまれずらくなるんじゃないのか?
それに俺は今なにも着てない。ようするに防御力は0だ。メイド服でもないよりはましだろ!
怯える怪人の女の子を舐める様に見ると、ルナはニヤリと微笑んだ。
「よし、お前の着ているメイド服をよこせ!」
そして、躊躇なしに言い放った。
おいおい、何を言ってるのか解ってるのかルナさん?これはエロゲーじゃなんだぞ?なんて突っ込みたいが、男性の読者はこういうシーンは大好きかもしれないので、しいて突っ込みません。(作者)
【えっ!?わ、私の着ているメイド服を?……】
自分のメイド服を見て驚く怪人少女。
「それ以外に何がある?」
ルナの言葉に【カー】っと耳まで真っ赤になった。
そんな女の子を見たルナは。
うわぁ!その顔はやめて!すっごいなんていうか…萌える!可愛い!
もう、お持ち帰りしたい!なんて悶えていた。
【…そ、それだけは…】
悪代官に着物を脱がされそうになっている芸者のような状態の怪人少女。
どっちか正義の味方なのやら…
「早く脱げ!それを着て俺は早くここから脱出したいんだ!」
ルナがそう言うと、怪人少女は吃驚した表情になった。
【この城から脱出なんて無謀です!無理ですよ!】
「そんなのやってみなきゃわかんねーだろ!」
【何で城から出たいのですか?】
「俺はな…戻るんだ。そう、人間の世界に…そして男に!」
ルナがそう言うと怪人の少女は固まった。
【えっ?だ、男性なんですか?】
「い、いまは女だ!元は男なだけだ!」
つい、言い訳してしまうルナ。
【ど、どういう事ですか?】
「あれだ、ここで事情を説明している暇はないんだ!ほんと申し訳ないと思うけど、そのメイド服を貸してくれ!」
メイド服の怪人の少女はすこし考えると、ゆっくりと立ち上がった。しかし、体はまだ震えている。
【わかりました…そこまで仰るなら…】
そう言って怪人の少女はゆっくりと赤いメイド服を脱ぎ始める。
少し震えながらも、頬を桜色に染めつつメイド服を脱ぐ怪人の少女。
スルスルという服の擦れる音と、恥ずかしそうな怪人少女の姿が妙にいやらしいく感じた。
そんな怪人少女の姿を見ていると、ルナまで恥ずかしくなり、赤くなった。
ルナは顔を反らして直視しないようにする。一応は彼女の事を考えたらしい。
【私…あまりスタイルには自信がないので…あまり見ないで…下さいね…】
そう言った怪人の少女だが、ぶっちゃけルナの数倍はスタイルがよい。
そして、あまりって事は少しは見ていいのか?なんてルナは少しだけチラ見してしまった。
すると、ルナの目の飛び込んだのは半裸になりかけている少女。
胸の谷間とか丸見えじゃないですか!
「い、いや…十分にスタイルいいって!自信もてよ…」俺よりもずっと…
しかし、そうは言ったが妙に悔しさが込み上げる。そして、無意識に自分の胸部をぺたぺたと触っていた。
ないな…俺って無いよな…うん…
で、でも貧乳はステータスって誰かが言ってただろ!だからいいんだ!
……くっ…
怪人の少女の姿を見ないようにしたルナの耳にスルスル…スルル…と服のすれる音が聞こえてくる。
また、なんというか、その音が…とても萌えるしエッチだな…
【脱ぎました…これでいいですか?】
目を瞑り危ない妄想中をしていたルナの耳に脱ぎ終わったコールが聞こえる。
勢いよく少女の方を向いてしまったルナ。するとそこには生まれたままの姿の少女が立っていた。
「は、は、裸だと!?」
ルナは真っ赤な顔で慌てて横を向いた。
何で裸なんだ?裸の上にメイド服だったのか?下着は?下着はつけないのか?か、怪人だから人間の常識が通用しない系!?
か、母さん以外のリアル全裸って初めて見た…
【あの…恥ずかしいです…だから早く…受け取ってください】
胸を両手で隠して震える怪人少女。しかし、その豊満は胸部は腕なんかでは隠せるはずもない。その存在をドーンとアピールしていた。
ルナは流石にやりきれないのか、少女から目隠しでメイド服を受け取った。
「ご、ごめんな?本当になんていうか…まさか下着をつけてないとか思ってなくって…本当にごめん…あ、そうだこれ」
ルナは少女に自分が纏っていたシーツを渡す。
「ま、まぁ…それだと隠すしか出来ないけどさ…俺が目を閉じてる間にそれを纏って隠してくれるかな…」
【は、はい…ありがとうございます】
するするっとシーツが動いた。怪人少女が受け取ったらしい。それを確認してルナは目を開けた。
すると、シーツを体に巻き付けた怪人少女の姿が視界に飛び込む。
いや、もう…これってどう表現すればいいのかな?俺と違ってシーツでもエロさ満点すぎるんだが…
「お…お前って可愛いよな…それに…優しいし…」
ルナは思わず思った事を口にしてしまった。
【えっ?な、何を言ってるのですか!私は貴方の敵ですよ?】
そう言いながらもルナを見て頬を染める怪物の少女。
「ああ…そうだよな…でもさ、俺は思うんだ。お前が敵じゃなかったらよかったのにって…」
【それって…どういう意味ですか?】
「いや…魔族にもお前みたいな良い奴はいるんだなって…まぁ…深く考えないでいいよ」
【…ですが…貴方は敵じゃなかったら…私は貴方とここで出逢えなかった…】
何か意味深な事を言った少女。
「えっ?えっと?まぁそうかな?そうなるよな…」
【私は…私もっと言うべきですかね…正直に言うと、天界に属するものはすべが悪い人ばかりだと思ってました】
…えっ?天界?あれ?俺って天界側なのか?って…相手が悪魔なんだし…天使と悪魔の抗争なんてベタな設定だよな?って!じゃあ、なんであいつの出身が未設定なんだよ!
【でも…貴方を見て違うかなって思いました】
「え、えっと…あ、ありがとう…」
【そうだ!出口ですよね?出口はこの部屋を出て…】
こいつ…出口までの経路を教えてくれるのか?
【真っ直ぐ7つ目の十字路を右に曲がって、その先12個目のドアを入って、12階層上って、青いドアから外に出て、その先にあるT字路を左に行って、23個目部屋に入ると外へと続くバルコニーがあります】
ルナ、固まる。
【あの…?】
「ごめん…覚えられません…」
ルナの言葉に少し悩んだ怪人少女。
【では…私も行きます!】
そう言ってコクリと頷いた。
「えっ!?」
《トゥルルルッルーン!チャララーン!》(効果音)
怪人少女が仲間になった!