バトルⅣ-Ⅲ●
いきなり魔界の王子の抱擁を受けたルナ。
「な!何するんだよ!離せ!」
口は動くが、体は動かないルナ。好きに抱かれている。
【何をするだと?ふふふっ…こうするんだ!】
ルナが見ている中で魔界の王子はまだ成熟していないルナの胸部に口付けをした。
「ひゃぁあ!おいやめい!やめろって!」
【こうなったら今から既成事実をつくるぞ…】
「き、既成事実って何だよ!」
【おいおい、ルナも子供じゃないんだから解るだろ?ふふっ…】
そう言って舌で敏感な部分を責め始めた王子。
「そ、そういうのは小説家になろうを読んでいる青少年の教育に良くないと思うんだ!」
【27歳成人男性が今更なにを言っている?】
年齢まで知ってた…
「や…やめっ…くすぐったい…」
【うむ…ではこれはどうかな?】
魔界の王子は、今度は突起部分に吸い付いてきた。
「ひゃああ!す、吸うなっ!やめてっ!お願いだから…」
しかし止めるはずなんてなかった。王子も所詮は男だ。もう、命令でいえば【ガンガン行こうぜ】状態に入っている。
「あんっ…」
思わず体を震わせて悶えるルナ。
な、なんて声を出してるんだ俺は!
【ほう…なかなか良い反応ではないか?では…これはどうかな?】
はふっ!いやだっ…そこは敏感なんだって…って待て!俺は男だって言ってるだろ!男なのに…
「ま、待て!この展開はまずいって!本当に青少年の読者にとってまずいから!…はんっ…あふっ」
【大丈夫だ。既成事実の最中は作者がなんとか誤魔化す手筈になっている】
「待てっ!作者もグルかよ!」
ルナは今までに感じた事のない感覚に襲われていた。
男ではなく女になったと実感するなんとも言えない感覚。
【さぁ…名実ともに我のものとなれ…魔法少女ルナよ】
「やめ…ろ…あふっ」
こうしてルナは魔界の王子の手によって快楽に落ちてゆくのだった…
その後、魔法少女ルナは魔界の王子と結婚して魔界で幸せに暮らしましたとさ。
終わり。
って訳ないだろ!
ルナは全身に最大の力を込める!
「やめろって言ってるだろうがこのへ・ん・た・い・王子がぁぁぁ!」
ルナの体に電撃のようなものが走る!そして、《バーン!》と何かが弾ける感覚が体に伝わった!そしてその瞬間だった。
《ゴブッ!》っと鈍い音が部屋に鳴り響いたかと思うと、ルナの正拳が魔界の王子のみぞおちにめり込んでいた。
【ゲホゲホっ…な…なんだと?俺の束縛を…自力で解いた…だと?】
ガクンと肩膝をつく魔界の王子。
【お、王子!大丈夫ですか!】
メイド姿の怪人の一人が王子の側に寄り王子に肩を貸す。そしてもう一人のメイドが槍を構えてルナの前に立った。
【おのれ!魔法少女め!王子に手を出すとは!】
「いや待て!俺は悪くないだろ!王子が先に俺に手を出したんじゃないか!それに…す、す…吸ったの見ただろ…」
顔も耳も真っ赤なルナはシーツをギュウっと体に巻き付けて胸を隠した。
【黙れ、黙れ、だまれぃ!ここにおわすお方をどなたと心得る!恐れ多くも先の魔王、魔界の王子様におわせられるぞ!ひかえええい!】
そう言ってメイドは槍を突いてきた!素早く左にかわすルナ。
「ちょっと待て!その台詞もパクリだろ!ってひゃっ!」
【さっきまで人間界のジダイゲキを見てただけだ!という事で、王子の嫁になるか、ここで死ぬかを選べ!】
人型怪人はそう言いながらドンドンっと槍を突いてくる。
「何で俺が魔界の王子の嫁にならなきゃいけないんだ?俺は怪人を倒してとっとと男に戻るんだよ!っていうかだ!槍で突いてきてる時点で俺を殺す気まんまんだろ!」
魔界の王子はよろよろと立ち上がると、胸を抑えながら言う。
【や、やめろ…殺すな…勿体無い…】
「な、何が勿体ないだっ!俺は物か!」
ルナは槍を持ったメイドをバンっと押しのけると、魔界の王子の腹に飛び蹴りを食らわせた!
【うごぉぉぉ!!!!】
鈍い音と共に魔界の王子は支えていたメイドと一緒に吹き飛ぶ。そして壁に激突!
【王子がやられたぞ!であえ!であえいっ!】
槍を持っていたメイドが仲間を呼んだ。
「おい、また時代劇かよ!」
なんて言っている間にも部屋の入口からぞくぞくとメイド服を着た怪人が突入してくる。
「くそっ!こうなったらやってやるよ!一度は死んだはずだったんだ!もうヤケだ!かかって来い!」
ルナは裸のまま次々に怪人を倒してゆく。よく言う主人公補正がかかっているにしても強かった。もうランクなんてどうでもいいくらいになぎ倒す。
「あばよっ!」
そしてシンゴばりの台詞を残して部屋を飛び出した。
石造りの幅が二メートルくらいの廊下をとにかく走るルナ。前から迫る怪人をどんどん薙ぎ倒す。
俺は魔界の王子と戦った。こんな普通の怪人なんかザコだ!
「どけどけどけー!」
まるでクリボーみたいに面白いように倒せる。
(あれ?クリボーって面白いように倒せたっけ?)
そして、ルナはとある部屋に突入した。普通の部屋とは違う。金属製の扉の部屋だ。決して土管の中じゃない。
「ここは何かがありそうだぞ…」
ルナは中に入ると、真っ先にバタンと金属製の扉を内側から閉めた。
扉には都合よく鍵がついている。だから鍵も掛けた。
そしてルナは中をゆっくりと見渡した。それほど広い部屋ではない。広さは十四畳くらいか?部屋の中はやっぱり石造りだ。
石造りなのはこの城全体みたいだな。
ここでルナは宝箱?に入っている剣や盾や槍を発見する。
おお!ここには武器が大量に置いてあるじゃないか!
そうか、ここは武器庫か?これはラッキー!俺は武器がなかったんだ!
【だ、誰ですか!】
武器を手に取ろうとしたルナの耳に女性の声が入ってきた。
ルナは声の方を見る。すると、部屋の端っこで自分と同じくらいの体格(胸以外)の赤いメイドを発見した。ちなみにさっきのメイドは深緑のメイド服だった。
(ま、まさか、シャア専用?)んな訳ない。
そのメイド怪人はさっきの王子の部屋にいた怪人と同じく人型で、肌は薄い緑色をしている。肌の色で人間では無いとは一目でわかる。
瞳は黒くパッチリしていて、本当は長いのであろうピンク色の髪をきゅっと後頭部で括ったポニーテールはすごぶるよく似合っていた。
おまけだが、胸がおっきい。メイド服の上からでも解るくらいでっかい。見ればスタイルも良い。そしてすっげー可愛い!
人間でいえば…そうだな?女子高生くらいの年齢か?
ルナの感想まとめ。
怪人にしておくのがもったい無い!
そんな、すこぶる可愛いメイド怪人はルナに気が付くと、近くにあった直径1メートルはあろうかという鉄球を軽々と持ち上げた。それを見たルナは苦笑する。
「え、えっと…俺は別に戦いたい訳じゃないんだけど?」
しかし、赤いメイド服の怪人は気を緩める気配はない。険しい顔でルナを睨む。
そして、ジャラジャラと鎖を鳴らしながら鉄球を頭上で回し始めた。
こ、これが鉄球メイド…なにかこう萌えるものがあるな…鉄球にメイド服って微妙にあうんだな…(ちょっとルナの感覚がおかしかった)
【貴方が脱走した魔法少女ですね】
どうやら彼女は俺を知っているらしい。こうなったら話しは早い。
「そうですが、何か?」
【お、大人しくしなさい!】
「いや、俺って普段から大人しいって言われてるですけど?」
【そうじゃなくって!今です!今ここで大人しくしなさい!】
「いや、十分いまでも大人しいでしょ?暴れてないし」
メイド服の女の子の怪人は困った表情になった。
「大丈夫だって。俺は女の子には手を出すつもりはない。もちろん、俺に攻撃してきたら別だけどな」
ルナがそう言うと怪人の女の子は厳しい表情になる。
【敵である魔法少女をむざむざ見過ごすなど、私に出来るはずないでしょう!】
どうやら攻撃してくるつもりらしい。
しかし、魔界の王子とは違い、まったく威圧感を感じない。ようするに弱いんだなこいつ。
【魔法少女!覚悟っ!】
赤いメイド服の怪人は、鉄球を振り回しながらルナに突っ込んできた!
「仕方ないな…」
ルナは反撃の為に拳に力を込めた!
続く