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俺が魔法少女ルナだ!  作者: みずきなな
第四話 魔界の王子に拉致されたんだけど?こういう展開ってありなのか?
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バトルⅣ-Ⅱ

 顎に触れた魔界の王子の手は冷たかった。その冷たさが顎から体中へ伝わる。

 しかし、それとは逆に、魔界の王子は熱い言葉をルナに投げかけてきた。


【この可愛げな容姿。元が男という稀に無い素性。そして、我が右腕であったマンモス怪人を倒したその力。我を脅かしたあの戦いの姿勢。すべてが素晴らしい!】

「褒めてくれてありがとう…とでも言うと思ったか!さっきの台詞の中に何かちょっと可笑しい文面があっただろ?」

【おかしい文面だと?】

「えっと…だから…あれだ…お前は俺が元は男だって知ってるのか?」

【YES、I can】

「へっ?英語だと!?」


 待て…何でここで魔界の王子の返事が英語なんだ?

 そして…使う英語を間違ってないか?ちょっと意味が違うだろ?

 ここは言うべきか?いや…このシリアスシーンで違うって指摘するのもあれか?

 でも…やっぱり違うものは違うと指摘をするのが魔法少女の役目か?(そんな役目はありません)


「えっと…その英語の意味はあれだぞ…ちょっと…違う?」

【んっ?……はっ!】


 うわぁ!空気が変わったぞ!さっきまですごいシリアスな感じだったのに、すごい気まずい空気になった!


 魔界の王子はルナに指摘を受けて、何処から出したのか、英語辞書を片手に台詞の確認をした。

 それを見てしまったという表情を浮かべた次に、気まずい表情で舌打ち。

 完璧に間違いに気が付いたのか、少し恥ずかしそうな顔でルナを見た。


 というかさ…なんでここに英語の辞書があるんだよ?


【すまん、我は英語とかいう人間の言葉はあまり理解していない…ちょっとでもお前の気が和むならと思って使ってみたのだが…】


 魔界の王子は照れくさそうに辞書を閉じた。それを見て驚くというか、動揺するルナ。


 な、何だと!俺の事を想ってだと?くっ…な、なんて優しい奴なんだ…

 敵の癖にナマイキだろ!

 ……そ、そうだよな…男ならこういうちょっとした優しさがないと駄目なんだよな…

 やっぱりあれか?彼氏にするならこういう男が好まれるのか?こいつみたいに、容姿端麗でもって優しい奴が人気がるのか…


 チラリと魔界の王子を見るルナ。やっぱり格好いい。そして、ちょっと恥ずかしそうな表情に親近感が沸く。


 俺も彼氏をつくるなら、こういう格好良くって優しい男がいいかもな…でも魔族の王子はちょとなぁ…色々と後で面倒そうだしな…

 …って待てよ!?な、何を考えてるんだ俺は!?

 俺は男だろ?男だろ?彼氏とか必要ないだろ?魔界の王子とかそれ以前の問題だろ?それに俺を金縛りにしてる時点で普通にアウトだろ!

 って…まさか女にされたからって、精神までもが女性化とかないよな?

 やばい…絶対っていう言葉はこの世の中に無い。早く男に戻らないとやばい事に!?

 そうだ!まずは王子に嫌われるように貶す言葉を言ってやる!


「お、俺は人間だけど英語は苦手だぞ?だから…そんなに恥ずかしがらなくっても大丈夫だから…な?」


 ………って!何でフォローしてるんだよ俺は!


【おぉ…そうか!うむ、我も難しいと思うぞ?お前の世界の人間はあのように多くの言語をよく使いこなすものだな。魔界でも言語は多々あるが、お前のいる世界よりも多くはない。あははは】


 そしてまたそんなに嬉しそうに解説をしてくれるんだよ!

 って待てよ?ちょっと会話の内容が変わってきてないか?

 っていうか、俺は体を動かなくされてるのに何で和んでるんだよ!


「おい…王子様!」

【ん?それは我の事か?】

「お前以外に誰がいるんだよ!」

【我以外の王子はいる。我は第六王子だ。この魔界には王子が九人と王女が四人存在しているのだ。だから王子は九人存在するという事だ】

「お…多いな?多すぎだろ…」


 まさか…それが全部ラスボス級の強さとかないよな?


【で、我を呼んだという認識でいいのか?】

「認識も何も、この部屋には俺とお前だけしか居ないだろ」

【何を言っておる?見るが良い。あそこにも、あそこにも我が僕がいるではないか】


 そう言って何も無い場所を指差す。


「へっ!?」


 何もいないはずなのに、何かの気配を感じたルナ。硬直したまま身震いする。全身に鳥肌がたった。


「な、何かいる!?」


 すると、ふわっと姿を現したのはメイド姿の女性の人型怪人。それも二人。


「うわぁぁ!」


 ものすっごく驚いたルナはブルブルと硬直したまま震え上がった。


【どうしたのだ?何故それほど驚く?透明になれる能力を持つ怪人など珍しくもないだろう?】


 いや待って…透明になれる怪人は初めてみたし…あと、俺は怪人なんてどうでもいいんだよ…いいんだけどさ…

 そう、ルナは単純におばけが怖かったのだ!


「い、いきなり現れるな…び、びっくりしたじゃないか…」

【ふむ…それは申し訳ない事をした】


 深々と頭を下げる王子。


「い、いや、お前が悪い訳じゃないし…別に謝らなくてもいいけど」

【そうか?うむ、流石は我の見込んだ魔法少女だ。寛大な心の持ち主だな】


 ニコリと爽やかに微笑む王子。


「あ、あれだ…褒めてくれるとかいいからさ?そろそろこの金縛りみたいなのを解いてくれないかな?」

【んっ?】

「だから、この硬直をいい加減どうにかしてくれって言ってるんだけど?」


 ルナの訴えを聞いた魔界の王子はニヤリと笑みを浮かべた。

 その笑みを見てルナの額には汗が浮かぶ。何か嫌な予感がする…


【そうだな…それには条件がある】


 やっぱり?普通は何かあるよね?ここはテンプレな展開?


「条件だと?」

【そうだ】

「条件って何だよ…」


 魔界の王子はキリっと真面目な表情になり言い放った!


【我のものとなれ魔法少女よ!】


「…」

【どうしたのだ?そのさげすんだような目は?我はまた何かやらかしたのか?】

「いや、やらかしたもなにも、パクリはまずいでしょ?いやいや、そのままのフレーズじゃないにしても、そのフレーズはまずくないですか王子様?」

【!?】


 魔界の王子は何が悪いんだかさっぱりな様子で珍しくあわふたしている。


【な、何がまずいのだ?私は自分の気持ちを素直にお前に訴えただけだぞ?】

「いやいや…それでもねぇ…それはねぇ…ちょっとねぇ…」


 ルナは目を細めて魔界の王子を見詰めた。


【何が問題なのだ!我の気持ちは言葉の通りだ!我はお前が欲しい!お前の全てが欲しい!我はお前を自分のものにしたい!愛おしいのだ!お前に惚れたのだ!】

「へっ?」


 パクリ台詞の指摘をしていたら、真剣な顔でイキナリ告白されました。


 魔界の王子からの告白キタ?

 いや、俺を仲間にしたいのかとは思ってたよ?そりゃなんとなく展開的にもそうかなーって予想はしてたよ?でもこれって何なの?いきなり魔界の王子に告白されるとかおかしいだろ?


「おい王子様!今なにを言ったのか解ってるのか?これから先の展開を考えろよ!俺は敵だぞ?敵なんだぞ?こう、もっとあれだろ?ここで俺を仲間にしようとするが断られ、そして俺を人間界に戻す。そこでまた再びライバルとして戦う。そしてお互いに認めあう。こういのが普通のバトルものの展開じゃないのか?」


 魔界の王子は真剣な表情で言い返した。


【黙れ!敵なのがどうした!展開なんてくそ食らえだ!もう口調もどうでもいい!ハッキリ言うぞ?俺はお前が好きだ!一目惚れなんだよ!お前が愛おしくて、いますぐにでも抱きたい!だから俺と結婚しろ!】


 告白の次はプロポーズキタ!?

 ルナの顔が茹で蛸のように真っ赤になる。


「いやいや!待って!ちょっと待って!いきなりラスボスから告白とプロポーズのコンボ攻撃とか無いだろ!」

【ある!今、俺がお前に告白からプロポーズのコンボ攻撃をした!】


 魔界の王子は今までの紳士的な態度はどこへやら、【ルナぁぁ!】と叫びながら裸のルナをぎゅっと強引に抱きしめた。


 続く

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