雨音だけが残る朝
掲載日:2026/04/26
低い雨音で、目が覚める。
目覚ましを止めると同時に、
たくさんのため息がベッドに転がる。
生ぬるい空気を抜ける。
外に出ると、土砂降り。
雨粒に叩きつけられる傘が重たい。
視界に線が走り、足取りだけが現実で。
跳ねる雨粒と共に流れていく。
一歩、一歩、波紋は広がるが形になりきらない。
一緒にいなくなれそうな気がした。
誰の足跡も残らない。
屋根に入ると視界が晴れて、少し寒くなる。
傘を畳む。
水滴が、やけに冷たい。
ガラス越しの自分が少し猫背で、小さく見えた。
雨音だけが、そっと包みこんだまま。
動きたくない思いの分だけ、ため息が溢れていく。




