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瑠璃の姫は夢合う  作者: 西埜水彩
どうしようもない未来と現実
11/11

 1月12日に何があったのか? なぜそれを事前に知っていたのか?


 これを聞きたいけど、瑠璃さんは図書館へ来なくなった。


 今までもおかしいところはあった。存在しないぬいぐるみが盗まれる話、市場が開催されないかもしれない話。


 何よりも学校の生徒は超能力を使うかもしれないらしい。この島には学校が一つしかない。小学校から高校までの全寮制学校、そこだけだ。


 そこの学校は閉鎖的で、生徒のことを私はほとんど知らない。生徒は島に親や親戚がいるのか、それとも島外に親か保護者がいるのか、それすらも分からない。


 どうしたら分かるのだろう? そもそもそういったことを聞いて良いのか、学校に通う生徒の家族そして超能力に関する話は絶対にしたらいけないって気になっている。


 どこかで洗脳でもされたのかと疑いたくなるほど、その話は駄目だって感じてしまう。


 とはいえ瑠璃さんの話す未来の話を否定したり疑ったりするのは私以外にはいないことも気になる。まるで瑠璃さんが未来予知をできて、それを他の生徒達も知っているような、そんな感じがしてくる。


 要するに分からないことがあり、自分の常識では起きないことが現実ではありそうで、どうなっているのか私は知らない。


 すべてのできごとがまるで、私とは無関係なところで起きているようだ。とはいえ仕事は仕事。私はいつものように図書館で働いている。


「こんにちは」


 声がきれいで『うたかたの森』で歌っているのを見かけたことがある、歌歩(かほ)さんが図書館にやってきた。


 どうやらもう放課後の時間になったらしい。


「こんにちは」


「今週末はライブがあるんですよ。島の外に出たらライブに行きまくるので、動画で予習しとこうと思いまして」


 歌歩さんはある歌い手グループのメンバーをかなり押している。そのため図書館ではその歌い手グループ関係の動画ばかり見ている。


「今はライブに行けないのですか?」


 高校生がライブに行けないって話はよくある。特に全寮制学校の生徒は厳しいだろうが、夏休みとかも駄目なのかな?


「今は島の外へ出れないんですよ。高校を卒業して島外へ出れば良いのですが」


 うきうきしながら歌歩さんは答える。


 そりゃあ学校がある間は島から出られないだろうし、ライブに子供が行けないって事は多いかもしれない。


 でも絶対に島から出られないなんてありえない。


「学校行事で、島の外には出られませんか?」


「あっそれはないです。そんな機会、在学中はあり得ません」


「修学旅行や遠足もないですか?」


「ありません。私達は神に選ばれた存在です。そういうのは必要ありません」


 神に選ばれた存在っていうのは意味が分からないけど、何か特別な意味でもあるのか?


 会話を終わらせた歌歩さんはパソコンで動画を見始めたので、もう質問はできない。


 そういえばKPOP禁止だけど、動画サイトを見ることは禁止されていない。ということは動画サイトを見れば、KPOPを見ることができるのではないか? それともKPOPはブロックされているのかな?


 この図書館は、動画サイトのアカウントを持っている。このアカウントのこと私はよく知らない。でもこのアカウントがKPOPをブロックしている可能性はある。


「こんにちは~」


 ひよこさんだ。今日はいつもよりも遅いけど、何かあったのかな? ひよこさんの年だと放課後に補習とかもないはずなのだけど。


「こんにちは。今日は遅めですね」


「今日は特別な補習があって、遅くなりました。とはいえたいしたことしていませんし、瑠璃先輩とか盛大に文句を言っていました」


「瑠璃さんとひよこさんが同じ補習を受けるなんて意外です。学年がかなり離れていると思いますが・・・・・・」


 瑠璃さんが確か中一くらいで、ひよこさんは小学校低学年か中学年くらい。そこで同じ補習を受けることは、本来ならなさそう。


 小学生と中学生で勉強している内容で、共通している点が思いつかない。


「課外活動みたいなのですから、瑠璃先輩と同じなんです。とはいえ瑠璃先輩は最近うまくいっていないみたいで、なんか悩んでいるみたいです。そこであんまり話していないです」


 瑠璃さんが悩んでいるのは意外だ。よく分からない話をしているイメージはあるけど、悩んでいることは見たことがない。


「こんにちは。瑠璃先輩でも分からないことはありますよ。それに分かったって相手は序列2位だったんです、うまくいくわけありません」


 雀さんは話しながら、私の手をぎゅっとにぎる。これはもういつものやりとりになってしまった。


 さっきまで外にいたからだろう、雀さんの手は冷たい。


「そうですよね。瑠璃先輩は確かに強いです。でも見るだけですから、どうしようもないときはどうしよもないですよ」


 ひよこさんも瑠璃さんをフォローする。


 序列のことが分からないので、私は聞き流した。


「へへへへ明日の給食はにんじんとさつまいののカレーか」


「どうでもいいことでしかなくてすみません」


「いや大事なことですよ~」


 雀さんは私から手を離して、いつもなのかひよこさんの手を握っている。そうして2人でわいわいと話し始めた。


 しょせん私は部外者だ。学校の生徒達の仲間でもないから、そこへ入っていけるわけがない。


「未来なんて変わる物を見てもしゃーないって、過去を知ることが大事。あっこんにちは」


 海都さんもやってきた。この中で1人だけ海都さんだけ若干イケメンなので、若干浮いている。


「こんにちは」


「それにしてもここは外からの物が多くて良いです。やっぱりこの島の外についてのこと、もっと知りたいですから」


 あいさつもそこそこに、本を手に取る海都さん。


「学校内の情報が一番だって」


「もっと大事なことがありますよ」


 雀さんとひよこさんが海都さんに話しかける。そのせいでよりいっそうにぎやかになった。


 そんな中に瑠璃さんはいない。


 まるで当たり前のように、瑠璃さんはいない。



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