表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

【テーマ1】推理

「先生は推理小説を書いたら如何ですか?」

「推理小説か……」

 アシスタントの提案に、作家は「うーん」と言わんばかりの反応を示した。

「先生はこれまで推理小説を何作か書いてきました。そして、実際に売れているのは推理小説でしょう?」

「確かに僕の推理小説は、予想以上の人気を見せている。他のジャンルは売れなすぎて絶版になったが、推理系に限っては、なぜか上手く行くみたいだ。実際、僕の推理小説に関するファンレターが何通か来たしね」

「それほど、先生の推理系のお話は面白い、ということですよね? それ以外の作品はゴミ同然ですけど、推理系に限って光り輝いているんです。ならば一層、次の作品も、その得意分野を活かして執筆されては如何でしょうか?」

 アシスタントは目を輝かせて提案し終えた。しかし、その言葉の内容に作家はしっくりこない。

「褒めてるのかディスってるのか分かりにくいけど、確かにそれは悪くないね。よし、それで行くか」

 これで一つ目のテーマとして、大まかなジャンルが決まった。たが、これだけでは物足りない。それに作家には、いまいち腑に落ちない部分もあった。

「どうして私の作品は、推理系に限って売れているのかな?」

 その質疑を、アシスタントに向けて発した。アシスタントは、「なんで私か答えなければいけないの?」と言わんばかりの面持ちで答えた。

「先生の作品には、どれも共通することなのですが、冒頭部分に必ず死体が現れているんです。これはズバリ、『最初に死体を転がせ』という推理小説の鉄則を遵守しているんです。それで読者を機械的に引き付けてるのかと」

「成る程ね。でも、そんな手法は、僕の作品に限ったことじゃない。他の作家だって大概やってることだ。そういう手法を使っても売れない作品が、この世に何冊あると思う? 累計すると、その本だけで日本の国土は埋まっちゃうよ?」

「過言なのか、過言じゃないのか分からない喩えですね。それでも、先生の作品が売れ行きを伸ばしているのは、先生にしか無い何かが作品に表れているのではないしょうか?」

「僕にしか無い何かって、具体的に何?」

「分かりません。そもそも、先生自身はご存知ないんですか? 何作も小説を書き上げてきたのに……」

 アシスタントは謎だと言わんばかりの反応を示した。それに対して、作家は自信を持ってこう言った。

「知らない」

 アシスタントも、これ以上は何も言わなかった。暫くの沈黙が流れたまま、この話は終止した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ