懐く
………。
彼は、“鈍感”だから気付かない。
「…あれ?」
「ッ…えっ?なに?」
「あ…あー…えーっと…コイツ、かなりの人見知りだから、初対面の人にこうやって懐くの、珍しいなあ、と思って」
そう言って、飼い猫の頭を撫でる彼は、何処か嬉しそう。
「そっ…、そうなんですか?」
「こんなに懐くって、まるで、昔から知ってるみたいな……」
「!?」
「コイツが生まれた場所に、早瀬さんみたいな雰囲気の人が居たんだろうなぁ」
「っ……」
彼に気付かれない様に、ホッと胸を撫で下ろした。
ーー知ってるよ
貴方は気付いてないケド。私はずっと、貴方にバレない様に、合鍵を作って、家の中に出入りしてたの。其処で、このコとずっと会ってた。
最初は、殺したいぐらいに邪魔で、何度も始末しようと思ったケド……。
「早瀬さん。付き合いたてて、こんな事言うのアレだけど」
「?」
「もし宜しければ、俺と結婚してください」
「……えっ?…ええぇっ!?!!」
「ッ……ミーコと直ぐに打ち解けた君なら、僕達、上手くいくと思うんだ」
「………嬉しい…♡」
彼は、“鈍感”だから気付かない。
だから、私が不法侵入して、貴方の猫を手懐けた事。それで信頼を勝ち取って、結婚の話まで持ってこさせた事。貴方が、気付く事はない。
カッとなって書きました(`・ω・´)