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子泣き爺へ 愛情一本!

 38歳を超えたあたりから、うすうす気づいていた。

 あれ? なんだか、疲れが取れにくいな・・・と。


 なんやかんやでごまかしつつ、気付けば40歳。

 疲れが取れないどころか、疲れていない日がない。

 朝起きた段階で既に疲れている。


 スマホのアラームが鳴る少し前に目が覚めて、あと少し眠れたのに・・・

 なんて思いつつ横になったまま「んーっ」と声を漏らしながら背伸びをすると、


 バキッ!


「えっ? いま、なんかへし折れた?」

 そう思ってしまうほどの音が朝の薄暗い部屋に響きわたる。

 どこぞの関節から鳴り響いたバキッと音を無視して、

「もう少し体を伸ばしたら気持ちいかもー」

 なんて、調子に乗って背伸びを続けると・・・


「やばい!足がつる!」

 脳が察知した瞬間、

「ふくらはぎが引きちぎれたんか?」

 と、いうくらいの激痛が全身を貫き、布団の中で一人悶え苦しむ。

 

 痛みが治まり、「はぁー」と深く息を吐きながら、ゆっくりと起き上がる。

 ・・・体が重くて、だるい。

 毎日、毎日、イヤになるよ、ホントにさ。

「どこかで子泣き爺でも拾ったんか?」というくらい日に日に重くなる体。


 年を重ねると元気な日がない。

 とは聞いていたが40歳になったばかりなのに、

 もうそれを体感する羽目になるとは・・・あー、情けない。


 どうにか疲労回復せねば! と思ってしっかり睡眠をとろうとしても、

 そもそも寝て起きるまで泥のように眠る体力すらない始末・・・。


 自力じゃ無理だと栄養ドリンクに手を出すものの、子泣き爺の威力には勝てず、

 ただトイレで栄養成分がそのまま出てしまっていることを確認する日々。


 仕事が終わって家に帰り、

「はぁー、疲れた」なんて言いながら床に寝そべり、ふと思う。


 もうこのまま子泣き爺と共に生きていくしかないのか!?


 まあ、独り身の私からしてみれば、たとえそれが子泣き爺だとしても

 誰かの重さを感じられるだけ幸せなのかも・・・

 なんて思いゴロゴロしながら部屋をなんとなーく見回してみると、


『大切なあの人のために、愛情一本』


 疲労回復のために自らまとめ買いした栄養ドリンクの箱が目に飛び込んできて、

 はっとする。


 ダメだ。疲労から弱気になっては!

 独り身だからって子泣き爺と共に生きる覚悟はまだ早い。


『大切なあの人のため』

 そうだ! 愛情一本を渡せる相手を見つけなければ!

 よしっ! と決意を新たに体を起こす。

 凝り固まった体をほぐそうと早速ストレッチをすると、

 回復していないふくらはぎが再び引きちぎられ、痛みに悶え苦しみながら、

 笑えてくる。

 

 はぁー、

 子泣き爺から愛された私が元気ハツラツ!と過ごせる日は来るのだろうか・・・


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