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パイロットスーツ着て勃起させられるのはヤバい


「ちょっと男子! 操縦訓練でパイロットスーツに着替えた途端に勃起を強調して私たちに見せびらかすのやめてもらえる? 完全にセクハラなんだけど!」


 女子たちの怒声が訓練棟に響き渡った。

 アヤメを筆頭に、ハイレグとTバックが際立つパイロットスーツに身を包んだ女子たちが、男子たちを睨みつける。その姿は、訓練とは名ばかりの扇情的な雰囲気を漂わせていた。


 男子のリーダー、タカシが即座に立ち上がって反撃に出る。


「セクハラって言うなら、それはお前らのハイレグTバックの方だろ!」


彼の声に、他の男子たちが「そうだそうだ!」と賛同の声を上げる。


「つーか、なんで俺たちがパイロットスーツに着替えた途端、普段よりエロいことしてくるんだよ! ハイレグさらに食い込ませたり、Tバックの紐ずらしてマンコとアナル見せつけたり、俺たちの手を取って膣に指入れさせたり、股間を鷲掴みどころか完全な手コキまでしてくるって何!? 痴女ってレベルじゃねえぞ!」


 男子たちの言い分も分からないではない。

 彼らが着用する操縦訓練用のパイロットスーツは、全身を覆うタイツ型のデザインで、神経接続を最適化するためピッチリとフィットする。

 その結果、股間が否応なく強調されてしまうのだ。だが、それにしても女子たちの行動は度を越している。


 女子たちは負けじと反論する。


「宇宙戦争時代のパイロットの間じゃ、人前でうっかり勃起しちゃった男のために、女がわざとエロいことしたり手コキしてあげて勃起を誤魔化すのが当たり前だったんだよ!」


 アヤメが胸を張って続ける。


「勃起が先で、エロや手コキが後なんだから、私たちはあんたたちを助けてるの。むしろ感謝しろって話!」


 さらに彼女はニヤリと笑って付け加えた。


「それにさ、勃起して女にエロいことや手コキしてもらった男は、感謝の気持ちで一杯奢るのが常識だったんだから。訓練教官のミサト先生が言ってたよ。担任の山崎先生だって、ミサト先生に何度も助けられて、そのたびにバーで奢って口説いてたって。間違いない。あんたたちも缶ジュース一本でも奢ったらどうなの?」


 その言葉に、担任の山崎は内心で盛大に頭を抱えた。


(確かにそんなこともあったが……いや、待てよ。あれはミサトに無理やり勃起させられて、強制的に奢らされてただけだろ……)


 山崎は宇宙戦争時代、ミサトと戦場を共にした元パイロットだ。

 当時恋人だったミサトには、何度も股間を弄られ勃起させられ、その流れでバーに連れ込まれて奢らされた。

 結果的に口説くチャンスになり、今では妻となったわけだが、真相を話すとミサトの名誉が傷つくし、面倒な質問攻めに遭いそうなので、彼は黙ることにした。


(まあ、結果オーライだったからいいか……)


 教室、いや訓練棟では、男女のバトルがさらに加熱していく。


「少しは感謝しろよ!」


 アヤメが腕を組んで言い放つ。


「そもそもエロいことや手コキすんな!」


 タカシが顔を真っ赤にして叫び返す。


「奢るのが礼儀だろ!」

「勃起させんなって言ってるだろ!」

「助けてやってるんだから!」

「助けんな! 俺たちの理性が死ぬ!」


 騒ぎは収まるどころかエスカレートし、訓練用のシュミレーターまでが揺れるほどの勢いだった。

 山崎は疲れた目でその光景を見つめる。


(エイリアンよりこいつらの相手の方が厄介だな……)


 彼の脳裏には、ミサトに「奢れよ!」と笑いながら手コキされた記憶が蘇る。あの時は命懸けの戦場だったから耐えられたが、今のこの状況は別次元の試練だ。


 そして今日も、女子と男子のバトルは平行線をたどる。

 この過激で奇妙な日常が、このクラスの常態だった。

 だが、そんな彼らの知らないところで、宇宙の深淵から新たな敵が迫りつつあった。次なる戦いの日、パイロットスーツに隠された真の力が試される時が来ることを、彼らはまだ知らない。

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