表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ああ、あれか。夢か。

作者: 多之 良世

肩の力を抜いてご覧ください。

感想頂けるとありがたいです。

 ここはどこだ?見渡す限り真っ白な空間。


ん?向こうのほうに建物が見えるな。


他は何もなさそうだしな。行ってみるか。


…いやいや待て。なんか順調にストーリー進めてるけど待て。そもそも俺は寝てたはずだぞ。何この状況。



 あぁ、あれか。夢か。よくあるパターンだな。


こういうぶっ飛んだ展開とかは決まって夢なんだよな。最後は夢オチでしたってな。


頬をつねっても・・・ほら、痛くない。




 おいおいおい。俺の本能はここぞとばかりに現実じゃできないあんなことやこんなことをやれと言ってるぞ。


「傍若無人」とか数々の不名誉な称号を授けられた俺でもそれはやらんぞ。つーかこんなとこじゃ対象がいねーし。


落ち着け本能。


今はとりあえずあの建物を目指すだけだ。




 おい、びっくりするじゃねーか。急に女が現れやがった。心臓止まるかと思ったわ。夢で心臓止まらせてたまるか。


だがこの女、よく見ると綺麗だ。25、6才ぐらいか。顔立ちも体もスマート。黒いストレートのロングヘアーで、黒い着物を着ている。だが俺の好みではないな。


女は何も言わず俺を見ている。とりあえず挨拶しろよ。


「さびしい人生だねぇ」


まず挨拶しろよ。


「言っとくけど、心の声とか聞こえてるからね」


尚更挨拶しろよ。


「ああ、私は案内人だから」


こいつは言葉がわからないらしい。


「あ、私の名前はゆかり。よろしくね」


こいつはおちょくってるらしい。




 そういや、心の声が聞けるって言ってたな。なぁ、俺の名前聞きたいか?


「何故ここにいるかわかってる?」


スルーか。それとも聞こえるってのがただのハッタリだったのか。


「名前なんて知ってるわよ、山田」


聞こえてんのかよ。つーかなんで俺の名前を・・・ってか夢だもんな。深く考えるもんじゃない。


「それで、何故ここにいるかわかってるの?」


知るわけねーよ。わざわざ人の夢ん中に来てまで何したいんだこいつ。


「ここは夢じゃないわよ」


は?


「今、この瞬間は夢じゃないって言ってるの」


人の夢に現れて何言ってんだ、こいつは。


「ここは死後の世界よ」


はは。出鱈目いってりゃビビると思ってんだろうな。これは夢だっての。ビビる要素がない。


「確かに突然死だもんね。信じられないのはわかるよ」


こいつは詐欺師が天職だろう。


「とりあえず、ついてきなよ」


めんどくせ。どうせあれだろついて行ったらヤバいお兄さん方に囲まれてサインとかさせられるんだろ。


「ほら、突っ立ってないで、早く来なよ」


はいはい。ここからは恐いイベントか。夢とは言え、嫌だな。


夢よ、切り替われ!





 女に連れられてやってきたのは先ほど歩いて行こうとした建物だった。


俺の家だ。つーかデカイ。こんなデカくないぞ。ああ、俺の理想の大きさか。


「家の中は見れるよ。見るかい?」


もう決心したぞ。お前の猿芝居にとことん付き合ってやるよ。大サービスだ、感謝しろよ。


「といっても、家の中には誰もいないけど。ほんと、寂しいね」


ほーほー。両親は外出中と。いつものことだな。あ、そういやちょっと俺の部屋だけ見させてくれ。


「どうぞ。時間なんて気にせず、ゆっくり過ごしな」


自分の部屋をこうやって客観的に見たら、えらく汚いな。


本とかどんだけ積んでるんだか。そういやあのゲームクリアしてねーや。今度久しぶりにやるか。


「もう『今度』とかないってば」


はいはい、わかったから。何回言ったところで説得力は生まれんぞ。


「頑固なやつね。もう次行っていい?」


どうぞどうぞ。できれば早く終わらせてくれよな。







「あら。さっきのやつでもう終わりだね」


自称案内人は案内プランも練ってないのか。


「まさか家だけとはね。逆に珍しいよ。すごい」


またもや意味不明である。


「あんた確かに日本人よね?神も仏もいない人なんて初めて見たわ。サイズは人ぞれぞれだけど、基本的にはいるものなのにね」


何だって?神?セカイに話が広がるの?


「ああ、ちゃんと説明しないとね」


次はどんなネタがくるのやら。詐欺師になれるかどうかチェックしてやるよ。


「ここは、死者の記憶・感情を整理する場所でね」


ダメダメ。それじゃ詐欺師にはなれん。話が突然すぎる。


「生前に信頼していたもの、幸福を感じたものがここに現れる。その気持ちが大きいほどそのサイズも大きくなるわけ」


夢の中なのに寝たい。


「だから人によっちゃここは学校があって人が大勢いて、活気ある場所になったりするんだけどね」


まだ話は続くのか。それこそ校長の長ったらしい話みたいだな。


「そうしてここに現れたものと決別をして旅立っていく、そのための場所なのさ」


じゃあ俺はこんな胸糞悪い夢と決別したい。


「やっぱり聞いちゃいないね。じゃ、私の役目は次で最後」


ようやく茶番も終わりか。やっと次の夢だ。いや、もうお目覚めの時間か。







 女はゆっくりと俺に手をかざしたかと思うと、一瞬で視界は暗くなり、俺の意識は千切れた。

発想自体は別にありふれてるでしょうけど、なんとなくこんな主人公が書きたくなったので書きました。

山田さんの心情ばっかり書きました。こういうのはどう読まれるのか気になります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ