1話 悪役令嬢に転生したので、男装します。(1)
私は普通のOL。ただ、ひとつ恋愛ゲームが好きなだけの。
そのゲームの名前は【夜が明けたらあなたと】、通称【ヨルアケ】だ。
主人公は「リリー・ナイトメア」。異世界で、平民生まれの少女が、ひょんな事から
色んな男からの溺愛を受けてしまう、というもの。
そして急だが、私は交通事故にあった。
そして、目が覚めたらヨルアケの悪役令嬢、
「マリオネット・アリュール」に転生してしまったのだ。
マリオネットは公爵家のご令嬢で、
よくリリーに嫌がらせをする。そして最終的には断罪エンドなのだ。
このままでは断罪エンドになってしまう。
私は、意を決して「男装女子」になり、断罪エンドを回避しようと考えたのだ。
現在、マリオネットは8歳。まず、金色の長い髪を切る。短髪にした。
通称お父様、ルース・アリュールにはたいそう驚かれたが
否定はされなかったのでこれで行こうと思う。
次に、服。これはもう、自分でやることにした。
まず、男物の服を買いに行くことにした。
そして、私は王都の服屋へ足を運んだのだ。
「すみません。男物の服って置いてますか?」
「はい!もちろんでございます!」
店員は元気よく答えてくれる。
そして、私は男性用の服が売っているコーナーへ案内された。
そこにはたくさんの服が置いてある。
そして、私はその中から1着の服を選んだ。
それは黒を基調とした服だ。
「じゃあ、この服ください」
「かしこまりました!」
店員さんは笑顔で対応してくれる。
そして、私はその服を購入後、すぐに着替えた。
「よし、これで男装は完璧!」
私は鏡で自分の姿を確認する。
そこにはどこからどう見ても男性にしか見えない自分がいた。
「うん!これならバレない!」
私は自信満々に言うのだった。そして、私はそのまま王都の店を後にした。
それからというものの、私の生活は大きく変わった。まず、一人称が変わった。
今までは「私」だったが、男性になりきるために「俺」にしたのだ。
そして、口調も変えた。男口調にしてみた。
また、女性らしい仕草も完全に捨てた。男らしく振る舞うことに徹した。
さらに、髪型も変えた。
服の色も黒一択に変えたし、アクセサリー類は全て外した。「よし!完璧だ!」
俺は鏡に映る自分を見て、そう言った。
今の格好はどこからどう見ても男性にしか見えない。
「これで男装女子に見えれば、断罪エンドは回避できるはずだ」
俺はそう確信していた。しかし、この時の俺はまだ知らなかったのだ。
これから起こる様々な困難のことを。
俺がヨルアケの世界に転生したとわかってから1週間が経った。
俺はこの世界について色々調べたり、鍛えたりして過ごしていた。
まずわかったことは、この世界には魔法が存在するということだ。
そして、その魔法を使うために必要なのが魔力である。
魔力は人によって量が違うらしいが、俺はかなり多かった。
「これならどんな魔法も使えそうだ」
俺はそう呟いた。ちなみに俺のステータスは以下の通りだ。
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名前:マリオネット・アリュール
年齢:8歳
種族:人間族(公爵令嬢)
レベル:8/100
HP:50/50
MP:50/50
攻撃力:20
防御力:20
魔法力:30
俊敏性:15 スキル
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これが俺のステータスだ。なかなかに良い数値だと思う。
これならどんな魔法でも使えそうだ。
次に、この世界のことについても調べた。
この世界はどうやら「剣と魔法の世界」らしい。
そして、この世界には様々な種族が存在している。
人間族以外にもエルフや獣人族などが存在するようだ。
また、魔物も存在するらしいが、まだ見たことが無いのでわからない。
そして、俺はこの世界がゲームの世界だと知っている。
しかし、俺が知っているのはゲームのシナリオだけで
詳しいキャラクターについては全く知らないのだ。
「とりあえず、まずは強くならないと」
俺はそう決意したのだった。
そして、俺はさらに強くなるため修行を続けたのだった。
それからさらに1年が経過したある日のことだった。
俺がいつものように修行をしていると、
突然声をかけられたのだ。それは聞き覚えのある声だった。
「マリオネット様!ここにおられましたか!」
声をかけてきたのは執事長のルインだった。俺は驚いて振り返る。
「ルイン?どうしたんだ?」
「はい!実はマリオネット様にお客様が来られているのです!」
「俺に客?」
「はい!なんでも、とても高貴なお方だそうで、
マリオネット様にお話があると言っておられました」
「話?一体どんな人なんだ?」
俺は疑問に思ったことをそのまま口にする。
すると、ルインは少し困った表情をしながら答えた。
「それが……私も詳しくは知らないのです。
ただ、とても高貴なお方だとしか……」
「そうか……わかった。とりあえず会ってみることにするよ」
俺はそう答えると、ルインに案内されながら客間へと向かったのだった。
そして、客間の扉を開けるとそこには一人の男性が座っていたのだ。
年齢は40代くらいだろうか?その男性は俺を見ると立ち上がって言ったのだ。
「初めまして、
私はアデル・フォン・エルドールと申します。
あなたがマリオネット様ですかな?」
「はい、そうですが……」
俺がそう答えると、男性は再び口を開く。
エルドール家。アリュール家と並ぶ有名な公爵家だ。
「ふむ、確かに噂通りのようだね」
「あの……失礼ですが、
アデル様は一体どのような目的でここに来られたのでしょうか?」
俺は恐る恐る聞いてみる。すると男性は微笑みながら答えた。
「ああ、すまないね。実は君にお願いがあって来たんだよ」
「お願いですか?」
「うん、そうだよ。単刀直入に言おう。
君、私の養子になってくれないかな?
もちろん、それなりの報酬は用意するよ」
「え!?」
突然の提案に俺は驚きの声を上げる。
そして、アデルと名乗る男性はさらに続けた。
「どうかな?悪い話ではないと思うがね」
「……わかりました。その話お受けいたします」
公爵家ではなんやかんや言ってもう
俺は女というのが知れ渡っているから面倒くさい。
それに、父はマリオネットが断罪される時に助けてもくれなかった。
俺は少し考えた後、そう答えたのだった。
こうして俺はアデルの養子になることが決定したのだった。
「ふむ、いい返事を聞けて嬉しいよ」
「ありがとうございます」
俺がお礼を言うと、アデルはニコリと微笑みながら言った。
「それじゃ早速手続きをしようじゃないか」
こんな感じです。のろのろ投稿していくのでお楽しみに、、、、