《 冷凍保存 》
冬の夜空からキィーンと響く、
凍てつく音が聞こえるような気がして。
丁度、今の頃の生々しい光景の思い出は、
一年経ち、
二年経ち、
哀しみと共に私の中に冷凍保存された。
凍った思い出は、
時々、私を捕まえて私自身を凍らせる。
でも大丈夫。
保存場所にそっと戻して、
扉を閉める事を覚えたから。
思い出すのは温かなものだけで良いと、
自分を許す事が出来るようになったから。
《 明鏡止水 》
我
静かに 鎮まり
抗う事を止め
足掻く事なく
此処に在る
恐れも
哀しみも
喜びさえも
流れて 過ぎゆく
時の中に溶けて
時折
吹く風に揺らぎ
振り向き見る後ろ
風のそよぎが遠退けば
向き戻り
求めずに
望まずに
淡々と
我 此処に在る