《 植物化 》
人一倍 本能が強く生まれついて
良い雄を嗅ぎ分ける力も強い雌が
植物にでもなったような顔をして
ぼんやり風に吹かれてるから
雄が焦れて殺気立つ
それを感じ取る
風に吹かれながら
雄の苛立ちを解ってる
元々 強い雌だから
《 空虚 》
ふと見つけた小さな喜びを
そっと拾ってポケットにしまう
束の間
ポケットの中を覗き眺めて
それを握り潰す
知らぬ間に消えてしまうのが
悲しいから
その悲しみの苦しさを
感じないように防御の為
喜びは自ら握り潰す
喜びが幸せに育ち
それが壊れるのが
怖いから
幸せというものは
刹那的なものであり
絶対的なものではないから
私は信じない
決して信じない
ごめんね
小さな喜びに謝りながら
手のひらの上の
潰れ崩れたそれを喰らう
せめて私の血や肉になるように
微かに苦味のあるそれが
口一杯に広がって
空虚の中に独り佇む