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《 深き眠りに行く 》
この悲しみは 私の全身をすっぽり覆い、内側の隅々まで侵しているから、苦しくて苦しくて もう一歩も動けない。
こんな私を受けとめて。
こんな私を抱きしめて。
そう望み、その思いさえ薄れていく悲しみが胸の中に充満し 息ができない。苦しくて苦しくて 涙さえ流れない。
こんな私を助けて。
こんな私を救い出して。
そう求め、その思いさえ消滅していく悲しみから 脱け出す事ができない。
だから、何も要らない。
もう、何も要らない。
ありのまま 悲しみに私の全てを沈めて、そのまま このまま 深き眠りに逃避する。
深き 無の 眠りの中へ。
悲しみの苦しさも、和らぐ希望も、自分が歩んで来た足跡も、いずれ静かな深き眠りの中に溶けるから。
深き眠りの中に 行く。