10/29
《 過ぎ去った輝く日々 》
お揃いの靴を履いて、
小さなクワガタを見つけて喜び、
大きな蛾に驚いて、
幼い姉妹の夏の日。
姉も私も、
人生はこんなにも、
苛酷なものだと知らなかった頃。
蜩の鳴き声を 二人で聞いた夏の日。
あの頃、
私が転んで膝に怪我をした時、
姉は私を慰め 傷の手当てをしてくれた。
夏祭りは、
私は 父に肩車をしてもらい、
姉は 母と手を繋ぎ、
家族皆が束の間 笑顔で過ごした。
その時間と共に、
姉の笑顔が消えた遠い過去の日。
家族揃って笑顔で歩いた道。
姉と一緒に歩いた夏の道。
失われた時間。
けれど 決して色褪せる事なく、
私の心の中で光り輝く時間。