貴方の、赤
お兄様?リベタ公爵家の兄だろうか?
思わず首を捻り、泣いているレベッカにハンカチを差し出す。アリアと一緒に縫ったものだ。
ありがとう、と言いながら赤い瞳を涙で濁す。
「エイデン様は」
「リリアで結構ですよ?」
「リリア様は、赤いですよね」
髪の事だろうか?
「まぁ、髪色は赤ですね」
「私も赤なんです。私が赤だったんです」
話が見えてこず、首を傾げる。
「赤い薔薇が好きです。お兄様が下さったから。赤い薔薇はレベッカの瞳の色だって。私は赤色なんです、私の赤色なんです。でもお兄様が見たのはリリア様の赤色なのです。私の赤じゃなくリリア様の赤なのです。薔薇を見てお兄様を思い出していたらリリア様が来たのです」
何でここにきたのですか?
睨みつけられた。
「痛いって聞こえたんですよ!怪我してるかなぁって思うじゃないですか!」
思わず地で話してしまった。
「お兄様って公爵家の跡取りの方ですか?面識ないんですが…」
あまり外出ないし…一定の場所しか行かないし、アリアみたいに行動範囲広くないし。
わからない。
「お兄様はお兄様ですの」
年上だよね?
「キアのこと?」
「はぁぁぁ?! 違いますわ!そもそもあの方昔から人形みたいに笑いませんでしたし!」
なぜ私にマウント取ってたし?!
「マークお兄様ですわ!何で貴方なんかと話していたのか理解不能でしたわ!」
マーク!!
ちょっ、おま!マーク!
「あのお茶会の時、貴方お兄様とお話されてましたよね?お兄様、あれから変わられて…どんどんとおかしな方向に行ってしまって…」渡したハンカチでまた溢れてきた涙を拭う。
「お屋敷に面会に行っても門前払いで、学園でも会えないし、王子妃候補にされてしまうし…、外されたと思ったら何故か持ち上げられてますし…」
おぉ…原因がほぼほぼルキアス…マークのトラウマじゃん…
アリアの放蕩に走った黒歴史も原因がルキアス…
さっきまでちょっと会いたいな、ってしんみりしてたのになんか女子の敵に見えてきた、おかしいな!
「お兄様を取った貴方に仕返しでルキアスにちょっかいを出したら勘違いされましたし…散々ですわ!」
「じゃあ、キアの事は何とも思ってないんですね?」
「昔っから無表情で何を考えているのかわからない方でしたわ。何事も面白みなく簡単に終わらせて、いつも楽しくなさそうにしていて。貴方と婚約して変わりましたもの。すごく人間らしくなりましたわ」
多分、アミリア以外がどうでも良い時期だったんだ…ソレ。
「だから今回の噂、誰かが意図的に流してる気がしてならないのです。私とアリア様の件も、貴方の件も」
そう言って目を伏せた。
お腹がぐーとあちらから聞こえ、顔を赤らめながら「ランチ…ご学友の方達に会いたくなくていつもここで食べてたんですの」そしたら、貴方がきて…!と可愛らしい反論が聞こえた。
私はレベッカを引っ張りアリアとカーラの元へと行った。
「外れたもの同士で仲良くしませんか」
と言ったら心底冷めた目で見られた。
「私は浮いてはいませんわ!自分から距離を置いているのですわ!」




