カードもご利用可能で
「ルキアス、殿下を迎え来たのですよ。護衛の仕事をしなさいな」
口を酸っぱくしながらライアンが言う。彼はどうやら令嬢の壁を打破しアレクを救出したようだ。
「殿下、ランチにしましょうか。って言ったよ」
「言うだけなら誰にでもできますよ。なんのための私たちなんですか。職務を全うしなさいな」
ごもっともである。
「でもライアン」「でもではありません」
オカンか!
「だってライアン、ようやくリアが入学してきたんだよ?!長期休暇のさらに休みの日しか会えなかったんだよ?!学園で会い放題なんだよ!その初日なんだよ?!」
軽く胸に触れる。多分ガッツリ掴みたいんだろうなぁ、バイブの様に手が震えている。
「新入生を威嚇するんじゃありません。高学年らしくお手本となるべきなのです。私達は殿下の側近としてこの学園に居るのです。誇れる仕事をなさい。さぁ、行きますよ。殿下は本日学園長との食事になりますゆえ」
アレクを女子の様にエスコートしながら、ミリアムを引き連れ(こちらは気が付いたらライアンの後ろに引っ付いてた)、踵を返す。
「早く行きますよ、ルキアス」
紳士だった。まごう事なき紳士だった。
「じゃあね、リア!愛してるよ!」と恒例のキスの嵐をした後、変態は去っていった。
アリアの方に駆け寄ろうとすると周りが身をひき、道を作ってくれた。
なんか、女子が同情する様な視線を送ってくれてた。私もあんなことされる人見たら同情したくなるもん、わかるわ、その気持ち。
真昼の公開官能ショーは終わった。
アリアとカーラとシロンと一緒に食堂に来た。ご都合主義の乙女ゲームはどうやらクレジットカードも発行されるらしく、アリアが小さな財布が一緒についてるポシェットの中にカードを入れていた。さながら女社長である。食堂がカードも対応しているとか全くご都合主義の賜物である。
小銭を出す生徒の横をスルーしながらカードでピッて支払う様は正しく社長である。
「みんなの分は今日は私が奢るわよ!」と、太っ腹発言したので乗っかった。
売店と食堂とカフェスペースがあるゲームのイベント御用達仕様万歳で、お庭にはガゼボとか小さな池とか、とりあえず背景スチルが様になる様な作りの人工物や綺麗な場所は一通り揃っている。
身内に何かあれば休学し、学外に出れるらしい。実際、クソジジイの葬式の時にルキアスは活用していた。
自活する生徒もいるのでスーパー的なやつも寮の近くにあるらしい。
シロンが先に席を取っており、スムーズに座れた。4人がけのテーブルに各々の食事が置かれていく。
「ライアン様はあんな性格なんですねー」
「カーラもシロンもライアン様に会ったことなかったの?」
カーラの会話にアリアが乗っかった。シロンは食事中は黙って食べたい派らしい。ひたすら食事を口に運ぶ。
「はいっ、ライアン様一度も商会に来たことなかったので」
王城の兵舎住まいと言ってたな、ルキアスが。と、リリアは思いながらロールキャベツをフォークで突き刺す。
「アリア様は会ったことあるんですか?」
「街でちょっとね。……あの人初めて会った時人の笑顔がわざとらしいって言ったのよ…心がこもってないとも」
以前のアリアを思い出す。人工ぶりっ子時代。あれを変えるきっかけを作ったのがライアンだったのか?!
「二回目に会った時は。私当時ひどく荒れていた時期があってね、その噂を聞いた令嬢に、自分は聞いたことないってハッキリ言ったの。ドレスに飲み物をかけられたからって騎士団の制服の上着を貸してくれてね。学園に通う事になったからそれまでに返してくださいって。ナルシス様がきっかけを与えてくれて返せた時にようやくお互い名乗れたの」
ラブコメじゃん!青春じゃん!
そう語るアリアはとても恋する乙女だった。
カーラも声を弾ませ「応援してますねっ!」と、同じ様なことを言っていた。
「リリアは…うん」
「ちょっと、自己納得しないでよ!」
双子で恋バナは出来ないな、だと思った。




