ず る い
「リリアはずるい!ずるい!使用人たちもリリアの話題ばかり!アリアが頑張って字を覚えてもリリアばかり先に進んでいてズルいの!」
「勉強は個人の進み具合によるでしょ?才能とかあるし。私は長子だから後継問題も関わってくるから…アリアが遊んでいる間も勉強しているのよ?」
半分ホント、半分ウソ。人生三回目になると大体基本的なことは流れがみえてくるし。今回は後継問題で家庭教師を雇って教えてもらっている。その分ご褒美に頑張ったねの意味を込めてマーリはお茶の時間を作ってくれるのだと思うが。
「ドレスだってズルいの!いつもリリアのお下がりばっかり…」
「それは可哀想だなって思って…」
「かわいそうなんてバカにしないで!」
これに関しては悪いとは思ってる。実際、最初の頃はリリアに似合うドレスをくれる両親にアリアのことを話したら曾祖父が口出してきて流れた。代わりにアリアの希望を聞いて作ってもらって、一回着たらアリアに渡していた。キリィはファッションに疎く、他家族はアリアに無関心なのでリリアのお下がりを着ていても誰も咎めない。なのでリリアの着ている服はいつも似合わないパステルカラーばかりだ。
ずるい!ずるい!
最近では暇さえあればアリアはリリアに突っかかるようになった。
アミリアの時、記憶が戻った6歳の同じ季節に。
ただ唯一違うのは。
リリアはキリィと違って、けしてアリアをアミリアの時の様に虐めてはなかった。
過去のアミリアと境遇が似ているアリアに手を差し伸べたかった。
ゲームとは違う。
愛情に飢えたアリアに。