73/276
懐中時計ともう一つのプレゼント
「ありがとう、リア」
背後から抱きしめながらルキアスは言うと、
プレゼントをリアの前に置き、包みを開けていく。
テープを丁寧に開けていき、木箱が姿を現し、蓋を開ける。
「懐中時計なの、お揃いの」
ちゃっかり、自分の分も用意した。
ナナに口止めし、ナルシスの目を掻い潜り、作ってもらった。
「ほら、学園私も始まるし、あったら便利かな。って」
ルキアスの方には翡翠が。リリアはアメジストが。クリスマスローズが施されていた。
花言葉を少し勉強して職人さんに頼んで作った。世界に二つしかないデザイン。
慣れないことをするんじゃないなって、背中がこそばゆい。
「キア…?」
「…ありがとうございます」
敬語?!
肩にうつむかれ、肩からルキアスの体温が上がるのを感じる。
「リア」
顔を上げたらしい。振り返ると不意打ちで唇を奪われる。
「最高のプレゼントをありがとう」
極上の笑顔であった。
イケメンって罪だな、と思った。
「リアにはもう一つプレゼントを用意しないといけないね」
首元に甘噛みされ、ルキアスは「入学祝い期待しててね」と、静かに言った。
春。
曾祖父が、他界した。




