ヒロインと悪役令嬢
ストロベリーの様に真っ赤な髪の毛と金色に煌めく髪の毛が二つ、小さな子供部屋で対峙していた。
「リリアばかりズルいの!」
ほっぺを膨らまし金髪の美少女はリリアと呼んだ美少女を睨みつける。睨みつけてもタレ目なのであまり怖く無いどころか、一部大人にはご褒美にも取れる仕草だが。
「いつもひいおじいちゃまから可愛がられて、パパにも期待されて、ママからも愛されて…新しいドレスだってリリアにしかなかったんだから!アリアにもちょうだいよ!!」
代わりにぬいぐるみを買ってもらっただろうと思いながら吊り目を怖くさせない様に目を閉じてリリアは諭す。ため息を一息ついた後に。
「ひいおじい様からの愛情なんて要らないし、気持ち悪いし!お父様は私が長子だから期待しているのであって、アリアにも十分愛情を注いでいるじゃない?じゃなければアリアの希望でぬいぐるみをあげないわよ!お母様は…気分屋なのよ」
同性の双子だから言いやすいのだろう。リリアの言葉は全て本心だ。特に前者。
リリア・エイデンに生まれ変わって状況が変わった。
長子ということで祖父…今回の曾祖父が気持ち悪いほどにリリアを褒める様になった。
アミリア時代に言われた容姿を全て貶しから賛美に変えいつもご機嫌を伺ってくる。ゲームのリリアの性格はこのジジイが原因ではないのかと疑うほどに。
そして、祖母が平均寿命より若く亡くなった理由は祖父だと思う。気がついたら居なかった。
キリィは親になり先代の気持ちがわかったのか、双子の姉妹を可愛がってはいるものの、やはり立場はジジイが強いのか、表立ってはリリアを可愛がる。勿論、アリアも可愛がってはいるものの年相応にませているアリアは父親の小さな気遣いに気付いていない。
1番変化したのはマーリだ。リリアは可愛い!可愛いと可愛がってはよく着せ替え人形の様にドレスを与える。子供との交流を兼ねたお茶の時間はリリアだけ呼ばれる。逆にアリアを居ない子のように振る舞い近づくと距離を置く。嫌い…ではないと思うが何度かアリアのことを話したが話を逸らされる。
流石にこれは可哀想だと思いアリアには伝えきれていない。
ゲームの中では、はじまりが学園だった為、家族のことは記載されてなかった。闇が深い。
そしてアミリアの卒業パーティーから後の記憶もすっぽり抜けており、あの後どうなったのか、ジョンや、ミナリーがどうなったのかなどわからないままであった。