令嬢は使用人に扮する
下ネタあります。
4-13
ルキアスの夏季休暇はあっという間に過ぎた。
結局、ライアンも忙しくてなかなか会えなかった。
婚活お茶会の後、王城に呼ばれ続けるルキアスはさながら社畜の様だな、と思いながら時々訪れる際にハーブティーを用意する。
「王子の婚約者内定はサラマンド候爵令嬢に決まりそうだよ」
少しげっそりとした頬を無理やり笑顔にしながらルキアスは言った。
いや、知らんがな。
ハーブティーを淹れながら、リリアは突っ込んだ。
「今日のデザートはエクレアといちごムースです」
使用人服に身を包んだアリアが丁寧にテーブルに置いていく。
「ありがとう、妹君」
「はい。リリアもどうぞ」
「ありがとう、アリア」
淑女の微笑みをすると軽く会釈してミミさんの元に駆け寄る。
小さな声で「上手くできてましたかっ?」「出来てましたよ、後で私たちもお茶しましょうね〜」と頭撫でられて軽く百合の世界に入っていた。
ミミさんはどうやら年下キラーらしい。姉のリリアより姉らしい。リリアもミミさんを姉代わりにしているが。
過去のアミリア同様、使用人の方達がしている家事が面白いかもー!ってノリで。
本当にノリノリで使用服着て、ミミさんに色々教わっている。
さすヒロ、の能力か。手芸を教えたらはまって、ミミさんの実家のラビリアル商会経由でお小遣い稼ぎしているらしい、たくましい。
お小遣いを商会に還元して社員価格で髪留めとか購入している。
早速ナルシスフラグが立っている。さすヒロ。ない、と断言した人物を真っ先に突っ込んでいく運の良さよ。
とりあえず、まだアリアの指導は始まったばかりだが、屋敷の使用人の方達の態度が彼女に対して柔らかくなったのは確かだった。
仕事内容を知れば苦労もわかるもんね。ワガママを言わずにお礼を言い始めるようになったらしい。
キリィが娘の成長を喜んで廊下の柱の影で見守っている日もあるくらい。
「リア。僕の方を見て」
アメジスト色の瞳が近づいてくる、おい胸揉むな。
「サラマンド候爵令嬢には関わっちゃダメだよ」
警告。
されているはずなのに。
胸から手が離れない。
「サラマンド候爵令嬢の特徴を教えて下さい」
「ピンクの髪にいつも髪の毛を結んでいるよ。歳はムートと同い年で。彼女自体は単純な性格をしているんだけど、候爵が野心家なんだ。今回の内定は、彼女の殿下に対する好意を利用して候爵が仕組んでる、とこちらは考えているけど」
ワガママで王子の婚約者を勝ち取ったのですね、わかります。
どこの世界でも、どこのゲームでもいらっしゃいますよね、そんな方。
ゲームの世界でのリリアはそんな令嬢でしたよ!
相手のルキアスもマトモだったけどなぁ!!
「わかりました。気をつけます」
「うん、ありがとう。お礼に…」
「履きません」
「今回はそれじゃなくて胸に顔を埋めたいなって!」
変化球が来た!
疲れてるの?おっぱい触る?とか言う展開を通り越して
疲れてるの?おいで!って言いながら胸に挟んで頭撫でるやつかい!
「…ダメ?こんなに休みを返上して殿下の補佐をしながら久々に会いに来たのに?リアは癒してくれないの?この時期のリアは今だけなのに?またしばらく会えなくなるのに?リアに甘えたいなぁ〜」
あざとい。
ダメ?とか言われたら引き下がれないじゃないか。
私はミミさんとアリアを退室させ、
「キア、おいでー」
ソファにかけ直しおいでおいでする。
変わらずの棒読みである。
犬みたいに顔から胸に突っ込んでくる。ヨシヨシって頭を撫でるとなんか違和感を感じた。
「…キア、なんかくすぐったいんだけど」
「マーキングしてるんだよ」
それいわゆるキスマーク!
思わず引き離そうと髪の毛を掴むが微動だにしない。
そして胸元舐め始めた。
犬みたいに。




