ある近衛兵の活躍
近衛隊長、ルーズーフ子爵はエメラルド色の瞳をある小隊に向ける。
「最近城下で若い娘の人攫いが起きている。第一小隊は歓楽街、第二小隊は商業街を警備にあたれ」
一同、敬礼を行い街へ散らばった。
眼鏡をかけた水色の髪の少年は訝しげに上司に問う。
「私が来てもよかったのですか?」
第二小隊長は「まぁ、実力は折り紙付きだからな」と気楽に言った。
「小さな子が一人迷子になってたら助けてやってくれ。実力はあるが、経験はないだろ、お前」
頭を叩かれながら、少年は腑に落ちない顔をした。
商業街は学園の生徒も帰省しているので賑わっていた。
若い娘。事件が起きるとしたら裏通りや路地の間だろう。
少年は人気のない路地裏に入っていった。
「離してよ!」
やはりか。声がした。
眼鏡の少年は声のする方に走る。
甘い蜂蜜色の髪の少女に、暗い色の少年が手を掴んでいた。
少年の方は平民が着ている服、片や少女は身なりこそシンプルだが、質の良いワンピースを着て声を荒げている。青い空色の瞳からポロポロと涙が浮かんでいる。
小さな兵士は駆け出し、剣を構え黒髪の少年の喉元に刃を向ける。
「彼女から離れろ」
諭す様に話しているはずなのに、恐怖心を煽る行動。
少年は「コイツが悪いんだからな!」と眼鏡の少年をまじまじと見た後。
「お前…その髪…」
そう呟くと逃げ出した。
「痴話喧嘩だったのですか」
表通りに出て少女を連れて隊長の所まで行き事情を聞いた。
人攫いではなく個人的恨みとは…
初の成果を上げたかったのに。
落胆し、クセで眼鏡を正しくする。こうすると心が冷静になる。
「助けてくれてありがとうございましたっ!」
話が終わった少女は少年に駆け寄り笑顔を見せる。
普通の男なら、可愛い。と感じる仕草。
目の前の少年には
「心のこもってない言葉ですね。薄っぺらい」
わざとらしく感じた。
少女の顔が一瞬にして能面になり、口を尖らせた。
「何よ、人がせっかく感謝しているのに!」
「感謝しているなら、わざわざ顔や声を作らなくとも良いではないですか。今の顔で御礼を言って下さった方がよっぽど誠意がありますけどね。貴方は人を馬鹿にしているのですか?誰もが貴方の思い通りになるなんて思わないでください」
なぜ初対面の彼女にそう言ったのか少年はわからなかったが、とりあえず。
彼女の笑顔がムカついた。




