お話ししましょう。
旅行から帰ってきたら今まで以上に二人は仲睦まじくなった。
ルキアスに対してリリアは遠慮がなくなり、少し上下関係が見え隠れしていたわだかまりもなくなり、長年連れ添ってきたオシドリ夫婦みたいな蜜月はないけれど、お互いを理解してますよ?オーラが凄くなった。
あっ、なにかあったな。とか両家使用人一同、生温い視線を送るので合った。
リリア、11歳。ルキアス12歳。
とうとうルキアスが学園に通う季節になった。
「はい、キア!プレゼント!ハンカチとネクタイピンよ!」
「ありがとうリア、ハンカチに刺繍はしてないの?」
「既製品だからねぇ…今度作ったら渡すわぁ」
公の場では畏まるが、二人きりの空間ではほぼ砕けた口調ではなす。
入学まで残りわずか。
学園に入れば寮生活が待っており、長期休暇以外は帰郷出来ない。王族以外は。
「今日は叔母上の所に行くからね」
そう言うと薄いコートを羽織る。
「とうとう、ね…」
話すのだ。信じてもらえないだろうが。
ルキアスが入学したら、そばに居られない。
前もそんな事があったが、今回はリリアが素直に「寂しい」と話してくれたから。
そして邸には別邸にクソジジイがいる。ここ数年顔を合わせていないけど存在確認はできている。まだ、婚約を認めていない、と、風の噂で聞いたのだ。
後ろ盾は多い事、この上ないのだ。
ルキアスはクソジジイを追い出す情報を知っているらしい。「まだ子供だからソレは何かは言えないけれど…切り札だよ」とはぐらかした。
クレイン候爵家に到着すると、ミナリー本人がお出迎えしてくれた。
「こんにちは、叔母上」
「こんにちは、リリィ!」
ルキアスガン無視である。ミナリーの視線はリリアしか見ていない。
「ミナリー様、ごきげんよう。本日は貴重なお時間を割いていただきありがとうございます」
「リリィの為なら大丈夫よ!」
さぁ、案内するわ!といつもの応接間に案内された。
最初は他愛のない会話から始まり、数分後。
いよいよ本題に切り出す。
「信じられないかもしれないのですがーーー」
ルキアスとリリアの話にミナリーは声も出なかった。
話し終えた後。
「そう…そうなのね。リリィはアミィだったの…ルキがあの恋人さんの…」
「いえ、恋人じゃなかったんですが」
「今はリリィよね、…はぁ」
思いため息が部屋に纏う。信じてくれたのはよかったけれど何故ため息?
「リリィをムートのお嫁さんにする計画が台無しだわ」
昔のままいけば確実に婚約解除となってこっちにリリィを貰う予定だったのに。
「叔母上?!何で婚約解除して欲しかったんですか?!甥の幸せを奪わないでくださいよ!」
「だってリリィよ!可愛いじゃない?!ルキアスってばいつもリリィ困らせてばかりで、それならムートの方がリリィの幸せになると思ってたの!あー!もう!リリィがアミィならしょうがないわ。前世の友人が息子のお嫁さんとか嫌だものね」
さらりと毒吐くな!中身、同い年だけども!
「でも、リリィはアミィだし、これからも親友ですわよね?リリィが親族になるなんて嬉しいわ!」切り替えの速さよ。
とりあえずこれからもズッ友!の誓いを果たし、候爵家訪問を終えたのだった。




