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悲しみの波からゆっくりとメリーは浮上していく。
少年と同調した心は傷つき、浮上していく毎にそれは少年へと慈しみへと変わる。
愛しい。それでいて、切ない。
「わっ! お姉ちゃん起きた!」
メリーが目を開くと、ハンカチを持ったリリィが間近にいた。
ホロリと頬を伝う涙を指で拭って、メリーは気づく。
「リリィちゃん、拭ってくれてたんだ」
「お姉ちゃん大丈夫?」
「ありがとう。大丈夫か大丈夫じゃないかって言ったら、全然大丈夫じゃない」
「ええ!! どうしよう!?」
「あははっ。取り敢えず、もう夜だよね? 私ご飯食べたいな」
「わかった! お願いしてくる!」
リリィがハンカチを握ったまま扉を開けて出て行くと、メリーはゆっくりと息を吐いた。
「ちょっと、辛すぎるね……」
思わず吐いた独り言は、同調したクロの感情からか。それとも、愛する人の過去を知ってか。
「……ああ、壊れそうな少年のクロ様、好き」
しかし、メリー節は通常運転の様だ。
ゆっくりとメリーは立ち上がり伸びをした後、窓を開いて風を浴びる。
そこから見える月を眺めて呟く。
「クロ様、早く帰ってこないと全部過去覗いちゃうぞ」
楽しげに言いながら、メリーは悲痛な表情を浮かべた。
そんな彼女の様子を月だけが見ていた。
第二部一章完結です。
ブクマ・評価ありがとうございます。とても励みになります。
突如の過去編、更に第一部の一章完結型とは違う形式となりました。次章も過去返信続きますが、お付き合いいただけますと幸いです。




