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とある探索者は山の中を彷徨っていた。
任務を終えて、後は帰るだけとなった時、荷物の入った袋を猿に奪われてしまったのだ。
残された水はもうわずか。せめて川へ辿り着きたい。
焦りから足をなんとか進めるが、陽はとうに落ちて、これ以上進むことは悪手だった。
しかしその時、探索者の耳に何かが聞こえた。
人だ、人がいるのだ。
これで助かると、疲れて重くなった脚を気合いで動かして前に進む。
明かりが見えた。松明だ。集落がある。
祭りでもあるのか、集落は明るく騒がしかった。
必死の思いで森を駆け、探索者は見た。
その異様な光景を。
松明に囲まれた低い櫓やぐらの上で、発光したゴブリンが歌って踊る。
『ギャーギャギャー♪』
櫓の周りでは、手を発光させながら蠢くゴブリンの集団が声を合わせて叫んでいる。
『『ゴッ! ゴッ! ゴーーーーギャッ!!』』
『『ゴッ! ゴッ! ゴーーーーギャッ!!』』
『『ゴッ! ゴッ! ゴーーーーギャッ!!』』
理解の出来ない現実に心が折れた探索者は、力が尽き、膝から崩れ落ちた。
いつか周り巡ってこの探索者の話がクロに伝わった時、あの時の自分は自分じゃなかったと恥ずかしさに悔やむだろうか。
一周回って開き直り、酒の話のタネとして笑い話にするだろうか。
それは誰にもわからないが、この集落はゴブリンと人間が共存してひとつとなり、今この夜を楽しんだのは事実だった。
三章完結です。
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