表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強魔術師は無職です  作者: 十字たぬき
奇妙な双子

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/73

6




「どうした!?」


 レオが二階の廊下へ駆けつけると、メイドの一人が少女を抱きしめるようにして床に座っていた。


「お嬢様がいきなり倒れられて……私、どうしたらいいかわからなくて……」


 そう言ってメイドが嗚咽を漏らし始めた頃、料理人を除く他の使用人達も集まってきた。


「まずはベットに運ぼう」


 そう言って、レオは少女を抱き抱えた。


「医者を呼んできます」


 すると使用人の青年が即座に反応し、その場から踵を返して階段を降りていった。


「お嬢様の部屋はこちらです」


 家令のビルは部屋の扉を開け案内し、中年のメイドは歳若いメイドの背中をさすって落ち着かせている。


 レオがラルムの娘をベットに寝かせると、もう一人の娘いない事に気づく。


「もう一人はどこへ行ったんだ?」


「私は存じません。お前達」


 ビルが遅れて部屋に入ってきたメイド二人に問いかけるが、二人は首を横に振った。


「ここは任せた」


 そう言って、レオは部屋を後にした。向かうはクロのいる客間だ。


 レオは知っている。

 クロが魔術を使いこなすことを。

 魔術で色々な事ができるのを。


『突然の流行病』

『階段からの転落』

『謎の毒と虫の死骸』

『奇妙な双子』


 わからないことだらけだが、きっとクロなら解決してくれる。


 廊下を早足で歩くレオは、非常事態の中で自分の胸が高鳴っていることに気づいていた。










「クロ! 君の力が必要だ!」


 レオが客間の扉を開けると、クロは窓の外を眺めながら黄昏ていた。どうやら本は読み終わったらしい。


「なんだよ。また凄い作品に出会ったんだ。少しは浸らせてくれ」


 気だるげに言うクロと読み終わった本を見て、レオは急に思い出した事があった。


「その本は、前編後編で二冊あった筈だがもう読み終わったのか?」


「…………え?」


「まあいい。取り敢えず聞いてくれ、緊急事態なんだ」


「待て待て待て! 今何か大事なこと言っただろ!? 二冊あるのか!?」


「その筈だが。酒場に忘れてきてしまったかな?」


「まじかよ。この壮大な物語の続きがあるのかよ。まじやべぇよロベルト先生。……じゃ、俺は帰るわ」


「待て! 緊急事態なんだ! 双子の娘のうち、片方が倒れた。もう片方は行方不明だ」


「まあ、そうなるだろうなって思ってたよ」


 クロの言葉に、レオの開いた口は塞がらない。


「じゃ、帰るわ」


「待て! 僕はこの結末が知りたいんだ! それに、色々と問題が残ってるだろ! 君の力が必要だ!」


 そこでクロは思い出す。

 貰った本と追加の本。本が自分に与えてくれた感動と自分は何もしていない事実を。


 クロは、人に借りることはよくするが、借りっぱなしは気持ち悪く感じて嫌いだ。今回はレオからお気に入りの作家・ロベルトの超大作の本を貰った。


「しょうがねえなあ」


 その言葉を聞いて、レオの顔は晴れた。


 レオは常に目立つ行動を起こすが、自分は物語の主人公的な存在ではないと思っている。だが、それでいい。

 変わらない日々を忘れさせてくれるような、何かがあればそれでいい。それを間近で見られるなら、それが嬉しい。そういう性分であった。


 先程聞いた使用人達の話を掻い摘んでレオは話した。


 聞き終えると、クロは腕を組んで目を閉じたまま、リズムを刻むかのように右の踵を鳴らし始めた。


 カツ、カツ、カツ


 三拍鳴ると、ソファの布部分が黄色地に黒の水玉模様に変化した。


 カツ、カツ、カツ、


 また別のソファが黄色地に黒の水玉へと変わった。


 ソファとカーテンが見る間に変わり、異様な部屋へと変わった頃、クロは目を開けた。


「んじゃ、終わらすか」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ