ボッチな俺が美少女後輩と付き合えることになったんだけど、俺はこれからどうすればいい?
最近読んでいたジャンルがラブコメが多かったこともあり、メインの執筆中にふと「ラブコメ書きてぇ」と思ってしまい、短編なら時間もそんなにかからないかな、なんて甘い考えで書き始めたのが最後、メインの執筆が終わらないうちに土日が終わりそうであります。
私はラブコメ初心者で、実際の恋愛経験も豊富でないため、そこまでリアリティのある作品には仕上がっていないと思います。
それでもいいよと言う方は読み進めていただけると嬉しいです。
外から差し込む日光が肌を焼き、窓を吹き抜ける風も生暖かくなってきた七月。
高校生活三年目にして今後の進路が決まる大事な時期に、俺は授業もまともに聞かずにグラウンドを眺めていた。
どこのクラスなのかは知らないがちょうど女子が体育で、サッカーをしているところを眺めながら今までのことを振り返っていた。
思えば入学した時から俺は失敗をしていたのかもしれない。
小学校、中学校は俺の住んでいた場所には一つずつしかなかったので顔なじみのメンバーとしか過ごさなかった。
中学卒業を機に少し離れたところの高校に進学した俺は、物心ついた時から知った顔の人たちとしか過ごしてこなかった弊害か気の利いた挨拶もすることができずに、モブ的な立ち位置に立ってしまった。
あの時の挨拶は今でも覚えている。
『天動中学から来ました。えっと、本間仁です。好きなことは読書とゲームで、得意なことは……特にありません。よろしくお願いします』
本当に個性のない挨拶だった。
ザ・量産型って感じで俺の前の人たちが盛り上がっていた分、場をしらけさせてしまったという罪悪感もあって死にたくなったのはいい思い出だ。
それから特別仲のいい友達なんてものもできるはずはなく、基本的に一人で過ごすことが多かった。
唯一の救いは、クラス全体の雰囲気自体は悪くなく、特に虐められるなんてこともなく平穏無事に過ごせたのはよかった。
俺が入学してきたこの高校は三年間クラス替えは無く、俺のコミュ力がもう少し高ければ今頃可愛い彼女にたくさんの友達と、多くの人に囲まれた楽しい高校生活を謳歌していたことだろう。
残念ながら俺はそんなものは持ち合わせていなかったから、自責の念とたくさんの本に囲まれた寂しい高校生活を送る羽目になってしまったわけなんだが。
「……ま君! 本間君! 聞いていますか!?」
「えぁ、ハイッ!!」
「さっきから何度も呼んでいるのに返事がないですし、ちゃんと集中して授業を聞いてくださいね」
「あっ……すいません」
今が授業中ということも忘れて、考えに耽ってしまったせいで、先生に指名されていることに気が付かなかった。
「それでは黒板の問題を解いてください」
「はい」
先生にそう言われ、黒板を見ると、問題が二つ書かれていた。
現在の授業は社会科で、俺が得意な方だと自負している教科だった。
問題を見た瞬間に、答えが頭の中に浮かび上がり、俺はそれを黒板に書いた。
「……本間君、授業はしっかりと聞くようにしましょうね。二問とも不正解です」
「…………うっす」
「えー、それではこの問題の復習をしていきましょう。1868年3月に明治政府が――」
まあね、俺だって人間だもの、間違いの一つや二つくらいするさ。
本気出したらこのくらいの問題簡単に解けるんだけどな?
今日はちょっと調子が悪いというか……やっぱ朝に食べた二年前の海苔の佃煮がいけなかったかもしれない。何ならおなか痛くなってきた気までしてきたしな。
それからは腹痛と戦いながら残りの授業時間を過ごした。
時は進んで昼休み、俺は今日も一人で昼食をとっていた。
最近のマイブームは麺類。
ここの所昼食として持ってきている弁当の中身は麺ばかりだ。
暑くなり始めた最近は冷たいものを食べたいね、と話すクラスメイトを尻目に俺はカレーうどんをすすった。
「マジうめぇ」
ワイシャツにカレーが飛ばないよう気を付けながら麺をすする。
最近では慣れてきたものの、少し前まではちょくちょく飛び散ってしまい、ワイシャツに点々としたシミを残していた。
しかし、そんな屈辱を晴らすことに成功したのは、冷やし中華を食べていた時だった。
あの時も俺は汁が飛ぶんだろうと思いながら麺をすすっていた。
だが、食べ終わってみるとあら不思議、俺のワイシャツにはシミ一つついてはいなかったのだった。
あの時の優越感は今でも鮮明に思い出すことができる。
憎き汁どもをたたき伏せるだけの実力が身に付いたと悟ったときには、もうカレーうどんに対する恐怖は無くなっていた。
まぁ、そんなバカみたいなことを考えながら一人の昼食は終わったのだった。
***
残りの授業は特に何事もなく、無事に終わりを迎えることができた。
HRが終わると、次に俺は部活に向かう。
俺が入部したのは文芸部で、基本的に幽霊部員しかいないといわれる部活だ。
文芸部に入るに至った経緯はハリー〇ッター一冊分くらいの超大作になってしまうので今は割愛するが、本当は運動部にはいるつもりだったのが文化部、最終的には文芸部になったということだけ言っておく。
「ちわ~」
今日も人は少ないだろうと思いながらも部室の扉を開けると、そこでは一人の女子生徒が机に向かい本を読んでいた。
「あ、せんぱい!」
「今日も一人しかいない感じか、よくもまぁ木瀬も毎日来る気になるな……」
女子生徒、木瀬湊は俺の方を見るなり笑顔を向けてきた。
木瀬は一つ下の二年生で、何かしら部活に入っていた方がいいということで幽霊部員しかいないと噂の文芸部に入部した。
入部届を出したその日、一応一回くらいは部室に顔を出しておこうと思いこの教室に来たところ、俺が一人怪しげな笑みを浮かべながら本を読んでいたと。
……実際には俺以外人がいないのを良いことに、めっちゃ面白いシーンで大爆笑していただけっていうね。
俺だったらそんな一人で大爆笑している先輩に声かけるなんてできないわけなんだが、こいつはそんなこと気にしないとばかりに声をかけてきやがった。
ほっといてくれたら見られたという羞恥に悶えなくて済んだのに……!
それからなんだかんだあって部活でそこそこ話すような仲になった。
というか、来てるのが俺らしかいないから必然的に話すことが多くなっただけというか。
まぁ、学校生活で唯一仲良くできてる気がする相手だ。
「家に帰ってもやることないですしね。だったらせんぱいとお話でもしていようかと思いまして」
「え、新刊出たから今日は普通に読書しようかと思ってたんだけど……」
「そんなこと帰ってからでもできるじゃないですか! 私と話せるのは今だけなんですよ? あーあ、せんぱいと話したいこといっぱいあったのになぁ?」
「うっ……わかったよ。本は家で読むことにする」
可愛い女の子にそんなことを言われて本を読むことができる男がいるだろうか、いや、いないだろう。
別に、人と話せることが嬉しいとかそんなんじゃないんだからね! 勘違いしないでよね!
まぁとにかく、今日もいつもと変わらない部活になりそうだ。
「それでですね、今日の授業中に小牧の頭に虫が飛んできたんですよ。小牧わかります? 二年の数学教えてるハゲてて眼鏡かけてる人なんですけど」
「俺が二年の時も小牧先生が教科担当だったからわかるけど」
「えっ、そうなんですか!? それならアレわかります? 『私の父はね! 立派な人でしたよ! 男手一つで私を育ててくれてね!』っていう謎の話」
「あー……そういえばよく言ってた気がする」
「あれほんとになんで最初に親の自慢するんでしょうね? 後に言ってることはまともなのに、そのせいで面白い話にしかならないっていう」
確かその続きは『ちゃんとした大学も出させてくれて、感謝しかないんですよ! だから皆さんもしっかりと勉強して親に苦労を掛けないようにしましょう』って話だったはず。
最後はいい事言ってるのに前半の身の丈話はいるのかと俺らの時も話題になっていた。
……俺はそんなこと話す相手もいなかったから基本周りが話しているのを聞いていただけなんだけど。
「あー、それでその小牧先生がどうしたんだ?」
「そうでした! それで、小牧の頭に虫が飛んできまして、ちょっと大きめの虫です。それが頭にぶつかったんですよ。それに驚いた小牧が『シュワッチ!』みたいな声出してて、その時は周りも静かに話聞いてたんで急な奇声がもう面白くて! それからあだ名はウル〇ラマンですよ!」
「小牧先生もかわいそうに……。木瀬だっていきなりなんか飛んで来たら驚いて声ぐらい出るだろ」
「さすがにそんなシュワッチなんて言いませんよ!」
こいつのことだから割と平気でそんくらいは叫びそうな気がするんだが……。
確認することもできないし、木瀬の言うことを信じておいてやるか。
「そうだな、そんなことは言わないだろうな」
「……せんぱい、信じてないですよね? 分かりましたよ、じゃあ私は本を読んでるのでせんぱいはこっそり何かしてみてくださいよ! 絶対変な声出ませんからね」
「えぇ……いいよ、そんなことしなくても。俺は木瀬がそんな声出さないって信じてるからさ」
「信じてる人の目じゃないんですよ! なんでそんな温かい目で私のことを見てるんですか!」
まさか目で信じていないことがばれるとは……!
木瀬も俺のことがわかるようになってきたじゃないか。
「じゃあ読んでますからせんぱいは何かしてきてください」
「えー……」
無理やりそう言うと、木瀬はさっさと本を読み始めてしまった。
これ俺も本読んでたら怒られるやつかな?
でもちょっかいかけろって言われても何すればいいのか分かんないしな……。
まぁいいや、一旦ソシャゲのログインでもしよ。
「…………せんぱい? なんでゲームしてるんですか?」
「んー? ちょっと待って、もう少しで終わるから」
「おかしくないですか? なんでこんなかわいい後輩がいたずらしてもいいですよって言ってるのに真っ先にゲームやりだすのか理解できないんですけど」
「かわいいとか自分で言うなよ……ていうかいたずらしていいって言われても何したらいいのかわからんし」
「そこはいろいろあるじゃないですか! 今なら私の身体触り放題なんですよ!?」
「そう言う事は勘違いされるから言わないほうがいいって前に言ったよな? 相手が俺だから大丈夫だけど、もし心無い奴が相手だったら間違いなく好き勝手されてるぞ」
「言う相手くらい選んでますし……」
だったら俺にも遠慮してほしいんですけどね。
木瀬は見た目も整ってるし、こんなボッチの俺にも優しくしてくれるから下手したら惚れるんだよな。
俺と木瀬じゃ釣り合わないってわかってるから変な勘違いしないだけで。
俺がいつまでも返事しないでいると、木瀬は飽きたのか本をパタンと閉じて俺のゲームを妨害してきた。
それをうまく躱しながらデイリーを終わらせると、俺もスマホをしまって木瀬の相手をしてやる。
「さっきからなんだよ」
「せんぱい、暇なんですけど」
「さっきまで本読んでたじゃん。それで我慢しとけよ」
「そうだあれやりましょうよ、愛してるゲーム!」
「知ってるぞ、リア充がやるクソゲーだろ」
「なんでそう言いう事いうんですかね? あれは相手の恥ずかしがってる顔が見られる最高のゲームなんですよ?」
「お前俺のそんな顔見たって得にならんだろ」
「それは秘密です」
なんでそんな思わせぶりな態度とるんだろうな?
ボッチからかって楽しいのかね?
俺は羞恥に打ち震えていますけど。
「絶対やらない」
「えー! そういわずに一回だけやりましょうよ! 意外と楽しいですよ?」
「それ楽しいのお前だけじゃねぇか!」
「やってないのになんでそんなことが言えるんですか? そういうの食わず嫌いっていうんですよ? 知ってました?」
「やばいな、こいつ人の話なんも聞かないじゃん」
「一回だけ! ほんとに一回だけですから! 先っぽだけなんで!」
「オイ最後! 女子高生が言って良いセリフじゃねぇだろ! もっと慎みを持てよ!」
「じゃあ慎みを持つのでやりましょうよ!」
「もうヤダこいつ……」
それから、やるやらないの論争を繰り広げ、結果的に俺が木瀬に押し切られる形でやることになってしまった。
あの時じゃんけんでパーを出していればとこれほど自分のこぶしを恨んだことはない。
「せんぱいはルールわかってますか?」
「あー、『愛してる』って言って照れたりしたら負けなんだっけ?」
「基本的なルールはそうですね。ただそれだけだと面白くないので、今回は特別ルールを追加しましょうか」
「いいだろそんなのつけなくて。そのままゲームやろうぜ」
絶対にこいつの提案するルールは碌なもんじゃない。
この一年以上部活で付き合ってきて、さすがの俺でもこいつがやばい奴だというのは分かってる。
下手に追加ルールなんてもんを許可してしまったらそれこそ俺が死ぬ。恥ずか死ぬ。
「だめです。敗者は勝者に従うのが絶対のルールですよね?」
「……追加ルールをかけて一戦やらん?」
「いいですよ? どうせ私が勝ちますし」
「この勝負を受けたことを後悔させてやる」
結果は惨敗。
一回負けた瞬間に、『三回先取にしようぜ!』と叫んだにも関わらず一勝もできずに敗れ去った。
「せんぱいってじゃんけん弱いですよね」
「……これだけやって一勝もできないなんてことある?」
「私、対せんぱい用の必勝法みたいなの見つけたんです」
「知ってるか? そういうのズルって言うんだぞ」
「相手のパターンを覚えるのは立派な攻略の一つですよ」
「もう俺二度とお前とじゃんけんしないわ」
「えへ、負けちゃいますもんね?」
「うるせ……それで追加ルールってなんだよ」
「それでは、『愛してる』という単語だけで使うのを禁止するのと、ときめきそうな行動もセットでやりましょう。ただ座った状態で向かい合ったままやったんじゃ、せんぱいの表情変わらなそうですし」
「それは普通に恥ずかしいんだけど」
「だからやるんですよ!」
今までにない笑顔でそんなことを言われると、かわいいと思うよりも先に腹が立った。
相手が男だったら平気で殴ってるまである気がする。
俺のこぶしと引き換えにして。
「じゃあ私が先行でいいですか?」
「いいけど、これって俺が照れたらそこでゲーム終了になるのか?」
「そんなルールだとせんぱいすぐに照れたふりしてゲーム終わらせちゃうじゃないですか……私が照れるまで終わりませんからね」
「なんだこのクソゲー……」
「ハイやりますよ、せんぱいは立ってこっち来てください」
木瀬に言われるがまま、俺は壁際に立った。
すると、木瀬は俺の目の前に立って、後ろで手を組み上目遣いをしながら――
「せんぱい、いつも私の相手をしてくれてありがとうございます……愛してるの言葉じゃ足りないくらいです」
「ッ!! お、おう」
「あれ? せんぱい照れてません? ガチ照れですか?」
「はぁ!? 照れてねぇし! 次俺の番な!?」
……やばかった。
普段ふざけてるやつが真剣に告白してくるなんて萌えないわけがない。
むしろ『俺もだぞ』と言わなかったことを褒めてほしい。
何とかして仕返ししたいが、どんな感じでやれば木瀬を照れさせてやれるだろうか。
「じゃあやるぞ。今度はお前が壁側行ってくれ」
「さて、せんぱいに私を照れさせることが出来ますかね?」
俺は余裕をぶっこいている木瀬の顔の横に手を着く。
壁ドンと呼ばれる状態になってから、耳元で囁く。
「木瀬は可愛いな。愛してるぞ」
「ぃひ!」
「なんだ? 顔が真っ赤になってるぞ? 照れてんのか?」
「そ、そんなことあるわけないじゃないですか! ちょっと揺れましたけど、せんぱいくらいの言葉全然余裕ですし!」
「あれぇ? なんか動揺してね? ほんとに余裕なのかなぁ!?」
壮絶な煽りあい。
もう木瀬の顔の赤みは照れなのか怒りなのか分からなかった。
その後数回繰り返し『愛してる』を言い合い、木瀬の番。
それまではゲームとしてやっていたはずなのに、急に木瀬の雰囲気が変わったような気がした。
「せんぱい……好きです、大好き。どこにも行かないでください……!」
「ちょっ……」
何が来るのかと身構えていると、いきなり木瀬が抱きついてきた。
それから離したくないと言うように俺のワイシャツをぎゅっと握りしめる。
「ゲームだよな?」
「……どっちだと思いますか?」
「ゲームであって欲しいと思ってる」
「……えへへ、残念でした。本気ですよ」
そう言いながら木瀬は顔を上げる。
その目からは涙が溢れ、悲しげに眉を下げながらも必死で笑顔を作ろうとしていた。
「なんで泣いてんだよ……」
「だってせんぱいとの関係が終わっちゃうと思ったら……」
「まだ返事してねぇだろ」
「せんぱい困った顔してましたし」
「それは……俺なんかのどこがいいんだろって思っただけで」
「せんぱいは良い所ばっかりじゃないですか! 私みたいにダル絡みしてくる後輩を嫌がらずに相手してくれますし、雨の日に捨てられた子犬に傘あげたり……」
「……なんかやったことも無いことを褒められてんだけど。子犬に傘とかあげた記憶ないぞ」
「これはあれですよ、比喩表現的な。そのくらい優しいってことですよ」
「比喩表現の使い方間違ってんだろ。前の現文テストもお前それでバツ貰ってたじゃねぇか」
もうグダグダだよ……。
なんかついさっき告白されたとは思えないほどいつも通りの景色がそこにはあった。
それでも木瀬が頑張って気持ちを伝えてくれたんだ。
ここで俺が日和るのは男が廃るというもんだろう。
「なぁ、木瀬は俺とどうなりたいんだ?」
「付き合いたいに決まってるじゃないですか。でも、せんぱいは県外の大学に進学してしまうんですよね?」
「……そうだな。人間関係をリセットするためにってのが主な目的でな」
「ですから、私はせんぱいと同じ大学に進学しようと思います。もし合格出来たら、その時は私をせんぱいの彼女にしてくれますか……?」
「……嫌だ」
「え……」
「俺はそんなに待つのは嫌だ。ここでお前の気持ちを知っちゃったのに、あと二年も待てない」
「遠距離になっちゃうじゃないですか! 私せんぱいに会いたすぎて我慢できなくなりますよ!?」
「なら俺が県内で進学する。いまから志望校帰るのもヤバいだろうけど、木瀬と一緒にいるためなら頑張れる……からな」
これから忙しくなるなぁ。
まずは大学探すところから始めなきゃだし、それにあった試験勉強もやらなきゃ。
「せんぱいに負担をかけたいわけじゃないんです」
「今までみたいにわがまま言ってもいいんだぞ? 俺はこれからもお前と一緒にいたい」
「私だってせんぱいと一緒にいたいです! ですけど、せんぱいに無理はして欲しくないです……」
「そっか、そうだな、まずは告白に対する返事をさせてくれないか?」
「……いいですよ」
「俺は木瀬が好きだ。こんな俺を好きだと言ってくれる木瀬が大好きだ。だから、少しでも長く木瀬と一緒にいたいんだよ。俺が無理すんのは、俺のためだから心配すんな」
そう言いながら俺は木瀬の頭を優しく撫でる。
すると、木瀬は止まったと思っていた涙がまた溢れ出し、顔を見られないようにするためか、それともただ抱きつきたかっただけなのか、俺の胸に飛び込んできたのだった。
「仁せんぱい、これからも末永くよろしくお願いします……!」
「木瀬……俺だけ苗字ってのも変な話か、湊、これからもよろしくな」
そうして俺たちは恋人同士となったのだった。
初めての短編でどのくらいの長さにすればいいのか分からずよく分からない長さになってしまいました。
短時間に読むにはちょっと長いし、かと言ってガッツリ読むには内容が少なすぎる。
それでもここまでお読みいただいた読者の方々には感謝の念が禁じえません。
拙作をお読みいただき誠にありがとうございます。
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