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追憶のEarth-er  作者: だーぎー
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95 偽りの古文書

「話してくれますか、アーサーという存在について」




 地区代表達の視線がアラムへと集まる。こうなってしまっては、もう隠す必要はない。アラムは皆の前にある自分の携帯電話と端末資料を操作し、アーサーについて集めた資料と今あるアーサーのうち幾つかの資料を順にモニターへと映し出していく。皆の視線はアラムから天井のモニターに集まる。アラムにだけ説明を任せる訳にはいかないと、学長も立ち上がる。



 【ワイズオウル超高等学院】で発足されたアース研究チームの惑星探索により発見されたカプセルから現れたアーサーという存在。そして、シェンザーという科学者によって解明されたアーサーの仕組みについて。アーサーの事が記された古文書について。そして、アーサー達が持つアースの記憶とテラフォーミングの能力、彼らの使命について。


 アラムの説明とこれまでの経緯を一通り聞き終えた後、皆は一息ついてからまた話を始める。まず口を開いたのはエンノスケだ。


「ミスズが言ってたのは、こういうことだったのか。あの時【ホーム】に連行されたやつにはアースの【砂漠】の記憶があって、温泉に溶け込んだこの惑星の力である【ゼル】を使ってあの場所を砂漠化したわけか」


 エンノスケに続いてそれぞれアラムに対して何かを言いたそうではあったが、それらを抑え込むようにしてオサが真っ先に話し始める。


「アーサーについての情報は全員大体把握できました。ありがとう。地区代表の皆さん、この情報をどうすべきかは今後我々で話し合っていきましょう。

……アラム、そしてリオン。今まで通り、この情報は一般市民には他言しないように頼む」


 レオナルドが上空を飛び回りながら、資料を目を凝らして眺めている。と思ったら、突然嬉しそうな声をあげて下へと降りてくる。



「ああ、これ懐かしい! 確か僕が書いたアーサー伝記の一節だよね。【アーサーは惑星の力を借りて、世界を育てる】。それかなりフィクションも入ってるから情報としてはそんなに当てにしない方がいいよ。僕が作ったアーサーはさ、そんなにメルヘンな存在じゃないよ」


「なに!? あの古文書は作り話だったってのか!? 」


 レオナルドの言葉が嘘偽りのないものだとしたら、アラムやシェンザーの作り上げたアーサーの理論が根本から大きく変わることになる。彼等のエネルギーやテラフォーミングの謎、そしてアース復活の計画の中身そのもの。それらに対して2人が立てた予想が、大きく外れてしまう。アラムは鬼気迫る表情で、レオナルドへと詰め寄る。


 「おい、レオナルド! 一体どこからどこまでが本当の情報なんだ? お前、アーサーの生みの親なんだろ!? アーサーについて詳しいんだろ! 今すぐ俺たちに全部教えろ! 」


「ちょっと、むさ苦しいから。あんまり……寄ってこないでよ! 」


 アラムは今にも倒れそうになりながらもレオナルドに向かって詰め寄る。レオナルドは鬱陶しそうに手でアラムを押し返す。

 レオナルドの力を込めた手がアラムに触れると、アラムはまるで身体中に電気が走ったような痛みに襲われる。


「ぐがぁぁぁぁあっ!! 」

「うわぉっ。 コレは……予想外だったね。ふむ……なるほど。この惑星の科学は、僕の予想よりも深く君たちの身体を蝕んでいるようだね」


 レオナルドは苦しむアラムに驚きながらも冷静にその身体を向こうへと押し倒した。気を失い倒れ込むアラムの身体を学長とオサが支えて、レオナルドとの間にジャッジが割って入る。


「おい、今何をした。この場所での暴力的制裁は厳禁だ。【ホーム】への連行も覚悟しておけ」

「いやぁ、今のはボクのせいじゃないよ。ボクの行った人体実験が予想以上の成果を与えたという、それだけの話さ。

 それにいくつか解放されたリオンの記憶があるから、そこの人間が起きなくても話し合いは進められるでしょ」


「どういうことだ? お前と惑星リバイブにどんな関係があるというのだ」

「喋るわけないでしょー、僕はアーサーの味方であって君達の味方じゃないもの。あ、僕から情報を引き出すつもりならそれはやめておいた方がいいよ。

……それで君達が滅んじゃったらさ、元も子もないでしょ? 」

 

 急に真面目な顔になって物騒な事を当たり前のように言いながら歩み寄ってくるレオナルドに、ジャッジは思わず一歩、二歩と退いてしまう。


「だったら俺が話すよ。俺の決定ならお前も文句はないんだろ」


 そう声を上げたのはリオンだった。レオナルドはリオンの行動を予想していなかったようで、アースを出てから会わない間に起きた彼の小さな変化に少し嬉しそうな表情を見せる。

 

「あー……そうか。アーサーに関する記憶のロックが解錠されたんだね。もちろんいいよ、リオン。キミの決定に僕が従わないはずがない。それじゃ、この場はキミに任せるよ」


 そう言ってレオナルドはリオンの前に立つ。レオナルドがリオンの頬を右手で愛おしそうに撫でる。リオンは無表情のままレオナルドの方を見つめている。


 段々とレオナルドの身体が気化したように薄くなり、リオンの身体に溶け込むようにして消えていった。リオンは一呼吸置いて、気絶したまま目覚めないアラムをちらりと見てから全員の方へ向き直る。


「俺が思い出したことは全て話すよ。この惑星リバイブを巻き込んだレオナルドのアース復活計画と、俺たちアーサーの使命について」




 


 目を開けたとき最初に見えてきたのは見覚えのない天井だった。視界の隅には眠ったまま座っているリオンの姿があった。


「ここは……そうだ、俺たちは【ホーム】にある別荘に泊まって……っておい、リオン! 会議はどうなったんだ! 」


「んん……おお。やっと起きたのか。アラム、お前あいつに気絶させられてから丸3日眠ってたんだぞ」


 丸3日。確かにレオナルドが現れてからの記憶が少しあやふやだが、まさかそんなに時間が経っていたとは。何か強い痛みが身体を走ったような覚えがある。アラムは痛む身体を動かしながら、自分の身体中を見回してみる。心なしか力も入りにくく、自分でも少し細くなったのがわかる。

 様子を見ていたリオンが肩を貸すようにしてアラムを抱え上げる。


「そろそろヒョウガが食事の準備をしてくれてる時間だ。アースには腹が減っては戦はできぬ、って言葉もあるぐらいだ。とりあえず朝食にしよう」






 ヒョウガは既に朝食を準備し終えており、コーヒーを飲みながら皆が降りてくるのを待っていた。アラムは学長の姿が見えないことに気づき、ヒョウガに確認する。


「あぁ、学長なら朝から地区代表会議に行ったぜェ」

「地区代表会議って……あれから3日経ってもまだ続いてるのか? 」


「ああ……一応、今日が最終日ってことになってるらしいゼェ。お前ら、大分かましてやったらしいじゃねぇかァ。学長から聞いたぜェ」



 ヒョウガはニヤニヤしながら2人の方を見ている。地区代表会議で少なくとも全ての地区代表にはアーサーのことが明らかになり、彼等に対して惑星リバイブがどういう対応をとる事になるのかは恐らく今日までの代表会議で決まるはずだ。

 しかし、地区代表会議の内容は極秘事項、地区代表以外に知ることは出来ない。会議で決められた新たな政策などは全て発表される日付や時間までもがこの会議で確定される。つまり、アラム達は世間と同じタイミングで知ることになるだろう。


「リオン、俺が倒れてからどんな話をしたんだ? 」

「え? それは……ほら、守秘義務のサインしたから言えない」


「はぁ!? 俺だって会議に参加してたから別にいいだろう! 教えろよ! 」


「いやーでも、学長にも一応ダメって言われてるから」

「なんだよそれ……くそっ。もう一度寝るから起こすなよ。帰る時は声かけてくれ」



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