81 小さな代表
「こ……このちっこい少年が地区代表だって? 」
あまりの驚きに本音をこぼすリオンをカゲツが睨む。慌ててアラムは口を抑えて頭を下げさせる。ジュノも少し不服そうに二人の方に背伸びをして抗議する。
「確かにちっこいでありますが、その言い草は失礼極まりないでありますです! これでもオイラ、ゼルの知識に関してはお二人にも負けないという自信がありますです」
「ま、そういうことじゃな……この惑星におけるゼル研究の全てをこいつはマスターしとるからのぉ。身体は小さくともこの分野に関してはワシにも劣らぬほどの実力と実績よ」
ジュノはカゲツの言葉に得意そうに胸を張る。カゲツの実力をよく知る学長は、彼の言葉に驚きを隠せないようであった。やがてカゲツの機械の腕からヒョウガに助け出された学長は、乱れた服装を正してからジュノに丁寧に挨拶する。
「改めまして……【ワイズオウル】地区代表のコウゾウと申します。これから同じ地区代表としてよろしくお願い致します、ジュノ殿」
「あ、あの……よろしくお願いしますです。ご丁寧にありがとうございますです」
学長がジュノに対して笑顔でお辞儀すると、ジュノも照れながらも真似してお辞儀をする。その顔はとても嬉しそうに見えた。
学長はジュノに対して向けた優しそうな笑顔から一転して無表情になって、まるで興味のなさそうな眼をカゲツに向ける。
「それで、先輩のご要件は? 」
「こりゃまた冷たい眼をしておるなぁ……少しばかりこの車両の温度設定を上げてもらえんかのぅ」
「……用がないようでしたら、仕事に戻りますね」
「かーーーっ、昔っから真面目よのぅ、おまえは。そう怒るな、少し挨拶にと思っただけじゃよ。そんな真面目なお前があんな無茶を言い出したことに少し興味があったもんでな」
そう言って、今度はリオンとアラムの方をじっくりと見つめる。アラムはふざけた態度でありながらもやはり風格のあるカゲツに緊張して固まってしまう。対象的にリオンは構えたまま威嚇するように睨み返す。カゲツはじっくりと面白いものを見るように二人を眺めながら言った。
「君たちじゃな、代表会議へ出席をしたいと言い出したのは。こんなことは前例がないが、まさかまさかよく通ったものよな、本当に運が良い。
……まだまだ青く、そして無謀な若造共よ。お主らが一体何を企んでおるのか……ワシは会議を楽しみにしておるよ、ガッハッハッ! 」
それだけ言うとカゲツは皆に背を向け、豪快に笑いながら自分達の車両へと戻っていった。その様子を呆然として眺めていたジュノも慌ててカゲツの後を追う。
「あ、待ってくださいです! ……すいません、失礼しますです」
まるで嵐が去ったあとのように静かになった車両で皆がどっと疲れたように座席に倒れ込む。
「なんだよ一体……何しに来たんだあの爺さん。訳がわかんねぇ」
「まぁ……本当にただの挨拶だろうな。先輩はそういう人だ、ああ見えてちゃんとしてるからな。
まぁなにはともあれ……到着だな。ふたりとも降りる準備をしなさい、荷物を忘れるなよ」




