表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追憶のEarth-er  作者: だーぎー
80/370

80 乱暴な挨拶

 【キャピタルドーム】到着が目前に迫った頃、隣の車両に繋がる扉の方からドンドンと2回ノック音が響く。その乱暴なノック音に学長は自分の仕事を続けながら振り返らず少し面倒くさそうな表情をすると、ヒョウガに目配せで合図をする。ヒョウガは察したように頷き立ち上がると扉に近づいていく。


 しかしヒョウガが扉を開けるより先にノックをした男が扉を開けてずかずかと入ってきた。


「なんだ、ちゃんと居るではないか。コウゾウ、こうしてワシが来てやったのだから返事くらいせんか」


 アラムとリオンは座席の背もたれに隠れながら声の方を覗き込む。そこに立っていたのはかなり体格のいい麦わら帽子を被った老人と、この惑星ではかなり珍しい身体の小さな少年だった。こえの主は老人らしかったが、相変わらず学長は振り向きもせずに軽く手を降る。


「あー。わざわざ来ていただいたのにすいません、今仕事中なんです。また代表会議のときにゆっくりと話しましょう。それでは」

「面白い冗談よのぅ。ワシとの再会より大事な仕事などあるものか。いいからはよ、こっちこい」


 そう言うと謎の老人は拳を思い切り振りかぶると、学長の襟元めがけて思い切り拳を突きだす。アラムとリオンの目に飛び込んできたのは、彼のその異様な腕だった。


「何だ……機械の腕!? 」


 老人のぶ厚い右腕は、肩から全部が大きな機械で出来ていたのだ。彼が伸ばした腕は大きな音を立てながら速度を上げて伸び始める。学長の襟首を手先でつまみ上げると、そのまま老人の前へと引っ張り上げて連れてくる。アラムは学長のピンチかと思い警戒しながら立ち上がるが、学長は縮こまったまま不満そうに愚痴る。


「もう……なんなんです。お互いもういい歳なんだから、そろそろ会う度にはしゃぐの止めませんか?」 


「ああ……非道いのぅ、なんて非道いんじゃ!! 昔はあれだけ世話してやったというのに電話にも出んし、そちらからは連絡一つ寄越さないし。ほんとにお前は……あー辛いのぅ、辛い辛い」


 そう言って学長をぶら下げたまま、老人はハンカチで涙を拭うフリをしている。となりの小さい少年も何も言わず頭を抱えていた。

 リオンは目の前の混沌とした光景を黙って眺めていたが、痺れを切らして学長に近寄る。


「……学長、この人は誰なの? 」

「この人はな……【メカニカルフォックス】の地区代表、カゲツさんだ」


 地区代表カゲツ、その名前はアラムにも聞いたことがあった。


「この人がカゲツさん……学長から話を聞いたことある。たしか工業特区【メカニカルフォックス】はゼル養殖の牧場域とゼル改良の工場域にわかれていて、全く違う性質の2つの地区を併せ持つ特区。その2つを纏める凄腕の地区代表だって」


 アラムの話にカゲツはニヤリと笑いながら返事をする。


「ほぅ……コウゾウも可愛いとこあるじゃねえか。確かに……見ての通り凄腕だろ? 」


 そう言って機械の腕を二人の方へ見せつけてくる。そういう意味ではないと心のなかでツッコミを入れながら愛想笑いする。続けてカゲツは訂正する。


「それとな、その情報には1つ違うところがあるぞ坊主。牧場の方はもうワシの管轄区域じゃあないんだ。……ほら、お前も自己紹介せんか」

「じっちゃんが延々と喋り続けてたのでありますです……」


 そう言って、カゲツの隣に立っていた小さな少年がアラムとリオンの前へとぴょこぴょこと歩いてくる。


「皆さん、はじめましてでありますです。オイラ、ジュノって言いますです」

「今はワシとこのジュノが二人で地区代表なんじゃ。これからよろしく頼むぞ、コウゾウ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ