64 ミスズからのお礼
「惑星リバイブの地区代表会議に同席する」。その場にいた全員がアラムのその突拍子もない言葉を理解するためにはかなり時間がかかった。しかし、地区代表の娘であるミスズだけはその言葉の無謀さを理解しているようで突然叫び始める。
「な、ななな、何言ってるんですかぁ!? アラムさん、地区代表会議っていうのは各ドームを率いる代表達によって惑星リバイブの未来についての話し合いがされる唯一の場なんですよ! そんな大事な会議に参加なんて出来る訳がないじゃないですかぁ! 」
「いや、そりゃもちろん分かってるつもりだし親父に……いや、学長に交渉してみてからになるけど……」
「ふぇ? 学長が……親父? どういうことなんですか? 」
アラムが訳もわからず叫んでいるミスズに対して説明をする。アラムの話を真剣に頷きながら聞いていたミスズの表情はたちまち驚きに歪んでいく。
「アラムさんのお父様があの【ワイズオウル超高等学院】の学長さん……!? あわわわ、そんな偉い人の子どもだったんですかぁ! 」
「いやいや、ミスズさんだって地区代表の娘さんじゃないッスか! 」
「そ、それはそうなんですけどぉ……ほんと、ビックリですよぉ」
「まぁ、そういう事だから俺は準備のために今日中に【ワイズオウル】に戻るよ。皆はミスズをもう少し手伝ってあげてほしい。ゼルの再構築はどんどん進んでるし、段々とこの場所の砂も水に変わって少なくなってきてる。あとひと踏ん張りだぞ」
アラムの言葉に皆は頷きあう。話し合いの結果、リオン以外のメンバーはここに残ることになった。リオンは一度研究所の方へ帰ってゼルの研究結果やゴーグル解析で得た情報などを整理しておきたいらしく共に戻ることになった。
シェンザーも共に戻ろうとしたのだが、なにせこのフェアのために作られた機材を修理できるのはまだ彼だけだ。学院での授業以外でここを離れる訳にもいかない。もう少しここに滞在せざるをえなかった。他のアーサー組もこのフェアがとても楽しいらしく、手伝いの為に残る事を選んだ。
話がまとまりかけた時、ミスズが何かを思い出したような表情でアラム達の方を見る。慌てて自分の荷物の中から、エンノスケのサインが入った白い長めの封筒を取り出す。
「あー! すっかり忘れてました。パパから皆さんにお礼を渡してって言われてたんですぅ。戸籍登録されてる3人分しかないんですけど……」
アラムはミスズから封筒を受け取ると、シェンザーとユーシアを近くに呼び寄せる。2人はアラムの両脇に並び、アラムが手に持った封筒を覗き込むようにして見つめた。アラムは封筒を開けてゆっくりと中身を取り出す。中から出てきたのは3枚のチケットだった。
「あああああああっ!? これは……まさかぁ!? 」
アラムはあまりの衝撃に手が震え始める。チケットには美しくも妖しげな一人の女性の顔がアップで印刷されている。
「コンサートチケット……しかもあのリバイブの歌姫【サーズ・デイ】のコンサートだと!? ……ミスズさん? ほほほ本当にいいんですか、こんな貴重なものを!? 」
「もちろんですよぉ、むしろこんな事しか出来なくてすいませんって感じですぅ」
「……うひょおお、夢じゃねえんだな! これはやばい! サーズ・デイ! サーズ・デイ! 」
チケットを手にぴょんぴょんとその場を跳ね回り喜ぶアラムを眺めながらシェンザーとユーシアは顔を見合わせる。
「シェンザーさん、知ってるッスか? この人」
「いやー……ちょっとわかんない。……誰なんだろ? 」




