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追憶のEarth-er  作者: だーぎー
44/370

44 サバクの想い

「アラムさん……しっかりしてくださいッス、アラムさん! ……だめッス、やっぱり気を失ったままッスね 」


 ユーシアは気を失ったままのアラムをかついだまま砂に埋もれた敷地内を歩いていた。ユーシアはまずシェンザーの安否を確認しなければいけないと判断し、アラムが持っている携帯を気を失っアラムのポケットから見つけ出すと、シェンザーに連絡をとろうと試みる。しかしシェンザーからの応答もない。

 

「……シェンザーさんはリオンと一緒にいたはずッスよね。それなのにリオンはサバクに着いていって、シェンザーさんはなぜかあそこには来なかった……嫌な予感がするッス」


 シェンザーの身に何かが起きたかもしれない。ユーシアは二人が向かったはずの貯水槽のある場所へと向かってあるき始めた。

 二人が向かう予定だった場所は話し合いのときに一度聞いていたため、アラムを背負っていた分時間はかかってしまったものの迷わず到着することができた。二人が向かったはずの地下の貯水槽への入口付近まで何事もなく辿り着くが、シェンザーの姿は見当たらない。


「もしかして、リオンにやられちゃったッスかね? どこっすか、シェンザーさん……シェンザーさんっ! 」


「……は、はいいっ! 寝てないっ、寝てないよ! 」


 ユーシアの叫び声に反応して物陰から慌ててシェンザーが立ち上がる。どうやら地下室の入り口の壁にもたれ掛かって居眠りしていたようだ。まだ眠いのか目を擦りながら歩いてきたが、ユーシアの睨むような目線を感じてひきつった笑顔で手を振る。


「……って、こんなことしてる場合じゃないッス! シェンザーさん、アラムさんが……」


「アラム!? もしかして、サバクにやられたの……そういえばヨシノは? 」

「そ、それが……」


  ユーシアは自分が目撃した全てをシェンザーに話す。シェンザーは真剣に話を聞いていたが、ユーシアが話を終えるとにっこりと微笑んで言った。


「なるほど、一応作戦は順調そうだね」

「さ、作戦? って、一体何のことッスか? 

「それはアラムの怪我を治療してから話すよ……まずはミスズに連絡をとらなきゃ、アラムの携帯ちよっと貸してくれる? 」





 

 【ミザルの湯】の屋上には特別大きな露天風呂がある。地区全体を一望しながら、またドームの外の暗闇の世界に浮かんでは沈む大小様々なゼルが織り成す神秘的な黒と緑の風景を眺めながら浴びる湯は格別の評判だった。

 しかしリバイブの民が愛した露天風呂は今や砂の下深くに埋もれ影も形もない。人気のなくなった屋上は、隅から隅までサバクのテラフォーミング能力によって砂漠化している。

 サバクとリオン、そしてヨシノは屋上の端の方にあるサバクの作ったベースキャンプにいた。

 サバクとリオンは屋上に装飾品として設置されていた焚き火を囲みながらそれぞれ休息をとっていた。

 ヨシノはサバクの手によって先日捕らえられたフゥに並べて縛られたまま座らされていた。ふたりとも何かうめき声を上げているが、サバクの包帯で口を塞がれているため何を言っているのかわからない。

 ずっと眠っていたサバクが目を覚まして身体を起こす。リオンは軽く挨拶をするように手を振る。


「おお、やっと起きたか。なぁ、この二人ずっと元気そうに騒いでるぜ。やかましくて眠れやしないぜ、どうにかならねえ? 」


 サバクはどうしようもないとでも言いたげに、軽く頭を降る。リオンは悪態をつきながら頭を掻く。


「そうだ……さっきはありがと。これ……博士にもらった、すごく大事な物だから」


 そう言って、サバクは自分が被っている深緑のフードを撫でる。


「ああ……それ、あの野郎からもらったのか。なぁ、お前知ってるか? さっき拾った時に調べといたんだけどさ、そのフードは光から俺たちアーサーの活動エネルギーを作り出す機能が備わってるんだ。植物の光合成に近いな」


「ふーん……そうなんだ」

「あんまり興味ないってか……まぁいいけどよ」


「そんなこと……ない。サバク……アースが好きだから。博士がサバクのために、考えて作ってくれたの……嬉しいよ」


「そうか……にしても人間だったあの博士とそんな仲が良いのによ、サバクはどうして人間を滅ぼそうとしてるんだ? 」


「アースを滅ぼしたのは……人間。悪い事をしたから……サバクが裁く。それもきっと……アースを救うことに繋がると思うから」


「なるほど、それがお前の人間嫌いの理由か……そうだ、もう一つだけ聞きたいんだけど。この屋上から下に降りるのってさ、俺の背後にある階段しかないの? 」


「うん、そう。だからいつ敵が来ても、すぐにわかるよ」


「なるほどね、だからその位置に座って誰が来てもわかるようにしてんのか。とりあえず、俺も疲れたからそろそろ寝るよ。おやすみ」


 そう言って、リオンはサバクに背を向けて寝転がった。サバクも目を閉じてまた眠り始めた。リオンはそれを確認して、こっそりと手に握っていたシェンザーから預かった携帯の通話を切った。


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